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黄昏

 過去や未来を考える事。意味の無い時間。でも、意味なんてなくて良い。意味の無い時間を振り返ったり、想像する事でザラついた気持ちを癒す。私は感情の揺らぎが激しいタイプの人間なので、どんな時でも関係なく、気持ちの変化が大きい。黄昏る時間が何だかんだで好きだ。

 夕焼けの奇麗な日は特に黄昏やすい。何でもない只の夕焼け。その何でもない夕焼けは今までもずっと見てきたし、これからも見ていくだろう。

 ぼーっと夕焼けを見る時は、過去を振り返るというより、見つめ直す感じに近い。

 私が広告代理店時代の末期の頃、会社が傾きかけていた頃で、当時の上司はもうやる気を失っており、勿論私もやる気を失っており、出勤をしてから会社に出た後、真っ先にご飯をその上司と一緒に食べにいくような、今にして思えば本当にあり得ない動きを、その当時は平気で行っていた。やる気を失くした社員が集まると、こうも平気で仕事をサボって愚痴をこぼすような状況になるのだ。

 そんな状況の中で、精神的に参っていた私は営業先へ向かう足で夕焼けを見ていた。やはりこれからの事を考えていたと思う。実際会社の状況だったり、当時の仕事のスタイルを考えていた時、出勤してから毎日上司と一緒にご飯へ行くようなサボる日々を過ごしていては、社会人としてこのままではダメになるなと思い、転職を決意する事となる。

 それもまあ10年近く前の話なので、今更振り返ってもあの頃から状況がずっと変わっており、そこから転職を何回か経験しているし、何より今ではフリーランスだ。

 今も昔も夕方に黄昏る時は、大体過去を見つめ直す事よりも、これからの未来を考える事の方が多い気がしている。上手く理由を説明する事は出来ないのだが、何かを落ち着いて考えるには気持ちが落ち着く時間なのだろう。

 今では精神的にもだいぶ落ち着いてしまった為、未来を考えるような事が減っているが、その分過去を振り返る時間が増えた。

 黄昏る度に、私はきっと色々と満足する事は出来ないのだろうと悟る。

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