掃除

 私は昔から掃除というものが嫌いだった。よく母親に部屋の掃除をしなさいと言われれば、寧ろ散らかしてしまうような、そんな子供だった掃除をしなさいと言われ続けた事で片付けそのものを嫌いになっていた。だが、この歳になって思う事は、やはり部屋の掃除が出来ないとどんどん部屋は散らかるし、パソコン内のデータは無駄なコピーデータで溢れるような、そんな状況になってしまう。

 間違いなく私の掃除嫌いは、口うるさく掃除をするように言われ続けた事が大きい。だが、勿論それだけではなく、性格的にもすぐに必要なものを取り出したいと思ったものであればあるほど、片付けずにその場に置いてしまうクセがついていた。

 だが、部屋の汚れは心の汚れとでも言うのだろうか?そんな話を聞くと正直納得と言えば納得だなと思う事がある。

 はっきり言って遊びに来たいといきなり言われると「ちょっと待てと」止まってしまう。本当であればいつでも誰かが遊びに来たとしても、部屋に入れられる程度の整理はしておきたいとは思いつつ、日々の疲れで家事が後回しになってしまう。

 思い返せば一人暮らしになってからの期間、片づけを始めとした作業に時間を費やせなかった。料理はやるくせに、片づけは嫌いなのである。

 普通の人は物をそのままテーブルに置き去りにしてしまうっていうぐらいの事であれば割とやってしまうと思うが、ごみをそのままにする人は少ないだろう。だが、飲みかけのペットボトルを置いたままにしてみたり、レジ袋をそのまま置いてみたりする事で、少しずつゴミが増えていく。そして、そもそものゴミを捨てるという気力が湧かない為、ゴミが蓄積していく。他にも埃が溜まってしまったり、洗濯物を畳まず放置してみたり、そういう事が積み重なり続けると、部屋が汚くなるのだが、疲れていればいる程、時間を作れない人であればある程、肉体的にも精神的にも付かれており、平気でこれらの家事は後回しになり、結果として部屋が汚くなってしまう。

 このエッセイを書いている今でも、ゴミが落ちている状況が全然平気なのだから、割と終わっている。だが、終わっていると実感出来る程度には今の状況をどうにかしなければと思う自分も居る。

 幸いな事に私は仕事がフリーランスとなった事もあり、以前よりも自分の時間を確保する事が出来るようになった。特に今回の年末年始は久々の長期休暇を取る事が出来た為、流石に少しは掃除をしなければと思い、少しずつだがゴミを捨てたり部屋の整理を始めている。本当はこの休みに終わらせたかったのだが、長年の蓄積したゴミの量、範囲が尋常ではない。そして年始の3日間ぐらいは頭痛に悩まされて思うように作業を進める事が出来なかった。やりたい事が色々あると何かと手が付かない。だが、これも頭の中で優先順位もそうだし、やりたい事をいっきに増やしすぎてしまうから、どれも手が付けられず、そして掃除にも手をつけられなくなる。

 つまり順番を決めて作業をする能力が足りていない、鍛えるチャンスが無かったのか失ったのかは分からないが、本来得るべきであったこのあたりの能力を私は身に着ける事が出来なかったが為に、現在非常に苦労をしているのである。

 しかし、私はフリーランスになった為、やりたい事が多くあってもいいから、ちゃんと全部出来るようにスケジュール能力を身に着けたり、整理整頓をするクセをつけておきたい。最低でも、やりたい事の全てが出来なくても、どれもやりたくて結果何も終わらないという状況だけは避けたい。全く何も終わらないより、何かを確実に終わらせた方がゼロよりはマシである。

 こうしてエッセイを書いていて思う事がある。やはり部屋の掃除が出来ない人というのは、仕事にもやはり表れてしまう。そしてこのエッセイの文章にも。すぐに話が脱線してしまう部分は学力というよりも、書きたい事の順番をしっかり決めずに書き始めてしまい、結果途中で何が言いたいのか分からないような文章になってしまう。これも意識をしないとならない。

 思いついた流れで起承転結を意識して文章を書けないのであれば、箇条書きでもいいから最初に書きたい事の順番を決めてから書くようにしなければと感じる。

 部屋の掃除は本当に何に於いても繋がるものだと実感する日々である。フリーランスになってある程度時間の自由が利くようになった事で以前よりは部屋の掃除が進んでいるし、ゴミもだいぶ捨てる事が出来ている。だが、裏を返せばこれだけ捨てるものが多かったという事でもある。まだまだ捨てる物が多いからこそ、まずは捨てる物を捨ててしまおう。そしてメルカリのようにお金に変えようだなんて発想も捨てよう。そんな器用な事が出来る人であれば、そもそも部屋が汚くなるなんてことはないだろうから、諦めて使わないもの、使えないものは全てゴミとして捨ててしまおう。それからだ、部屋の整理は。

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