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後輩

 今年に入って間もない頃に、接客時代の後輩とお茶をしてきた。私が退職をする少し前に何を思ったのが、その子とお茶をしたいと思った。元々私は人とお茶をするのが好きなタイプで、よほど性格が終わっている人でない限りは誰とでもお茶をしたいと思う人である。雑談が好きなので、喋り相手になってくれるのであれば、本当に誰でも良いのである。しかし、職場の雰囲気というか、時代というか、そもそも私が年を取りすぎてしまったからか、職場の人を誘うのはやはり微妙な感じを持ってしまった。

 勿論今でも誘ったら付き合ってくれるスタッフも居るだろうが、人間関係という意味では申し訳ないけどかなり崩れやすい環境だった事もあり、仲良くなる事が後のリスクに繋がるケースが後を絶たなかった。仲良くなったとしても、退職後には全く連絡が取れなくなるというパターンも当たり前にあった。だからこそ、仲良くなると無駄に傷つく事もあるので、気づけば職場で余計な人間関係を作るのは辞めておいた方が良いという考えになっていた。

 退職を決めた後だとその辺りの気持ちというのが薄れていく。というより、今の取引先の人間関係がフレンドリーな現場なので、時代というよりやっぱ職場の空気がそもそも宜しくなかったんだろうなと思う事もある。これに関しては答えが正直分かっていない。それはそうと退職時期も近づいていた事もあって、大きなトラブルは起きないだろうと判断して、お茶に誘ってみたのである。

 その子は今年成人式を迎えた子で、20歳である。ちなみに男の子である。男性ではなく男の子と呼ぶ理由は察してほしい。私の性格上の問題なので、私がスタエフでやっているラジオ番組を聞いてみて頂けたら、たまに男の子と表現する人の意味が分かるのでここでは割愛したい。というより堂々と言いたいことではないので察してほしい。

 そんな20歳の男の子とお茶に行く事がそもそもどうなんだろう?という気持ちも無いわけではなかった。何せ私が37歳のオッサンであり、17歳差ともなると話が合う合わない以前に、かなりの年齢差である。彼の担任を出来るレベルの年齢差であり、彼が小学4年生だとしても私は27歳という事になり、小学生なら十分担任の先生になっていてもおかしくないのである。私が当時20歳だとした時、37歳のオッサンからお茶に誘われたその時に、とてもじゃないが「はい」と言える自信がない。というより平気で断っていると思う。勿論今の年なら気にせずお茶でもお酒でも付き合いを持てるとは思う。しかし、彼はお茶に付き合ってくれたのである。

 バリバリZ世代の子で、こうも付き合いの良い子にもなると、それだけで可愛く見えるもので、今時人見知りもなければ、嫌悪感を抱かない子というのは珍しい。そりゃオッサンから見たら可愛く見える。今の子は平気で思っている事を言うし、嫌悪感を隠す気の無い言ってしまえば滅茶苦茶失礼な子が多い。思っててもいいからせめて態度には出すなと。と、ここまで書いていて俺ってどうだっけ?と振り返ったらこれ以上何も言えなくなってしまった。

 私の性格とは正反対の良い子だという事も、多分私は彼を誘ってみたいと思う動機となったのかもしれない。

 特筆するような事は別になかったのだが、年齢差を感じない楽しい時間を過ごすことが出来た。やはり付き合いを持つ気のある人との会話というのは、話す内容なんて考える必要はなく、自然と出来るものなんだという事を改めて実感する。話が続かない時というのは本当に人見知りで会話をするのが辛いと思っているか、そもそも会話をする気がない場合だと思う。これはこの年になっても思う事で、話が続かない時って思い返せばほとんど書いた事が該当する。酷い場合は嫌われているか嫌っているか、お世辞にも良い関係ではない事がほとんどだ。更に酷い場合はお互い環境が変わればもう付き合いなんて持たないだろうなっていうぐらい冷めている場合もある。

 彼は背も小さいし、かわいらしい子なので、恐らく彼女が出来るのは23歳ぐらいまで無理じゃないかな?と、他の後輩と話していたのだが、何だかんだ私と一緒にお茶が出来る時点で、ちゃんと大人なんだよなと思う。まあ、大学生のうちに彼女は難しいとは思うが。

 しかし、この年になって随分と誰かに惹かれる事がなかったので、非常に新鮮な気持ちになれた。今月は年上の姉さんとお茶をする予定があるので予定を組むのは難しいのだが、まだラインで連絡を取れる状況であれば、また彼とはお茶かバーに行きたい。そう思わせてくれる子は可愛がりたいものである。

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