惨事
猛烈な寒さをもたらした寒気も過ぎ去ったのか、ゆったりした年の瀬を表すような穏やかなお天気の今日。相変わらず風は肌を突き刺すように冷たいが、ほのかに顔を覗かせる太陽は温かい。
しかし、必ずしも全ての家庭が穏やかではないようで。中には、寒波を超える大惨事が巻き起こっている家庭もあるようだ。
これは、昨日の満員電車内での一幕。
皆さま仕事納めラッシュなのだろうか。すっかり日が沈んだ20時過ぎの電車内もスーツに身を纏ったサラリーマンの方々でごった返していた。
人1人分の隙間もないほどに人と人が密着した社内。ポケットからスマホを取り出すこともできず、不自由な態勢で人と人の間に固定される。
そんな中、目の前に虫眼鏡で拡大したような大きな文字が表示されたスマホ画面が入って来た。初期設定の文字の1.5倍ほどの拡大率だろう。
小柄なおじさんが、より身体を小さく丸め、狭い隙間の中で器用にスマホを操作していたのだ。
「見たらあかんなぁ」と思いつつ、容易に首の角度を変えることもできないほど人が敷き詰められた車内の中では、どうしても目に入ってしまった。
また、文字が大きいだけに文章が読めてしまう。恐らく、老眼対策で文字を大きくしているのだろうが、おかげでLINEのやり取りが丸見えだ。
奥さんとやり取りなさっているようで、何と奥さんは骨折なさったそうだ。
この年の瀬に何という惨事だろうか。
恐らく、コロナ禍も収まりつつある今年は、実家を出た子ども帰って来るだろう。料理も作らねばならないし、大掃除もしなければならない。
そんな中で、「家庭のエース」奥様の戦線離脱。
これはバタつく年末年始になりそうな予感。
偶然にも目に入ったスマホ画面から、年末年始の大惨事を予感できてしまった満員電車ないでの一幕。
とにもかくにも、奥様の骨が一日でも早くくっつくこと。そして、穏便に楽しく年を越すことができることを願うばかりだ。
そう言えば、我が家も今年は数年ぶりに母親の妹、すなわち私の叔母が帰って来るとか来ないとか。
祖母、母、叔母が揃う。
記憶の限りでは、これまでに3人揃って揉めなかったことはない。些細な揉め事から、幼少期まで遡り、「だいたいあんたは昔からそんなとこあるねん!」のキラーフレーズが召喚される。
果たして、今年はどんなバトルが勃発するのか。
当人たちはどう思っているかはさておき、こちらとしてはこれも正月の風物詩。
揉め事ができるぐらい平和な世の中が帰って来たということに乾杯かな。