『オクトパストラベラー大陸の覇者』はスマホゲームとして最適化され尽くされた王道RPG
こんにちは、Fujiです。
最近リリースされた『オクトパストラベラー 大陸の覇者』(以下『大陸の覇者』と略します)にハマっています。
もともとはSwitch及びPCで販売されていたコンソールゲームですが、遂にスマホに来た!と話題になりましたね。
僕も例に漏れずプレイしていますが、遊んでいると所々で「スマホゲームとして上手く落とし込んでるな~」と関心したので、どういう部分に関心したのか紹介したくてこのnoteを書くことにしました。
スマホゲームとして成立させるためのバトルシステムが秀逸
まずはバトルについて見ていきましょう。
バトルシステムは、いわゆる「ターン制コマンドバトル」と呼ばれるバトルシステムです。
ちなみに、ターン制コマンドバトルの面白さについては過去に考察を書いたnoteがあるので、もしよろしければ↓↓
コンソール版では、4人が戦闘に出て4人に対してコマンドを入力していくバトルでした。
これが、スマホ版では前衛4人・後衛4人の最大8人で戦闘します。
実際に攻撃するのは前衛の4人で、この4人に対して1人ずつどのような攻撃をするかコマンドを振っていきます。
1ターンごとに前衛4人が順番に攻撃をしていき、後衛の4人はHP、SP(特殊攻撃をするためのポイント)を回復します。
この「前衛4人・後衛4人」という仕組みが、スマホゲームとして凄く最適化されていると感じました。
このような「前衛4人・後衛4人」システムにしているのは、下記の意図があると僕は考えています。
①バトル人数を増やすことで、商材を増やすため
②「負けにくいバトル」を実現することで、心が折れないようにするため
以下で詳しく解説していきます。
①バトル人数を増やすことで、商材を増やすため
これはもうパッと見で、「あっ」と察しました。
スマホゲームとして運営していくにはしょうがない部分がありますね。
売上を立てないと運営することはできないですからね。
『大陸の覇者』では、キャラクターを仲間にするためには、ルビーを消費してガチャを引く必要があります。
バトルに必要な人数を増やしたということは、その分ガチャに必要なルビーが多く必要です。
『大陸の覇者』では、「☆5キャラクターの確率が低い」「Lvの上限突破をするためには同キャラを重ねる必要がある」という仕様のため、大量にガチャで引く必要があります。
ここが課金ポイントになりますね。
強いキャラクターは入手するだけでもムズくて、さらに上限突破もムズい、そして最強になるにはこれを8人分、ということです。
4人だと売上を立てづらいですもんね。
スマホゲームの課金設計としては優秀だと思います。
②「負けにくいバトル」を実現することで、心が折れないようにするため
バトルを8人制にした理由として商材を増やすのは見え見えだったのですが、個人的にはこの2つ目の理由もあると考えていて、これが秀逸だと思います。
コンソール版では4人で戦うので、1人でも戦闘不能になると戦局が一気にしんどくなります。
ただスマホ版では後衛がいるので、1人倒れても「4人で攻撃する」という構図は変わらず、1ターンごとの攻撃回数が減ることはありません。
こういう状況になってもまだ望みはあります
さらに、後衛にいるキャラクターたちはHPとSPを回復するので、これによってそもそもキャラクターが戦闘不能になりにくいです。
前・後衛システムであることで、バトルに負けにくくなっています。
スマホ版でこのようなシステムになっているのは、僕は「心が折れないようにするため」という意図があるのではないかと考えています。
本格的なRPGゲームとはいえ、良くも悪くもスマホゲームです。
つまり、「すぐに始めてすぐにやめれる」「無課金でもプレイできる」という側面を持っているので、ゲームをプレイ中に少しでもイラっとする瞬間が来ると、プレイをやめられてしまいます。
得にゲームアプリに限っては、「勝負に勝つ気持ちよさ」を感じることができないと、凄くストレスです。
そのため、スマホゲーム開発者としては、「負け」の体験を与えることについてはとてもセンシティブに取り扱うべきなのです。
極端に言うと、スマホゲームでは「とにかく、まず負けないようにしておく」ぐらいがちょうど良いのかもしれません。
ましてや『大陸の覇者』のような、マップを移動して物語を鑑賞した上でバトルをするようなタイプのゲームでは、1度負けてしまうと次にもといたバトルに復帰するまでに時間がかかってしまいます。
・・・と、スマホゲームではこういう事情があるため、『大陸の覇者』ではまず「負けにくいバトル」を目指したのではないかと思います。
他にも細かいところを見てみると、コンソール版にはあった「防御」や「アイテム」コマンドがなくなっていて、戦略性をシンプルにしています。
このシンプルさも、スマホゲームRPGとして、サクッとバトルができるように最適化されているなぁと感じました。
「影響力(富、名声、権力)」はとてもキレイなゲームデザイン
次は「影響力」というパラメータについて考察していきます。
このシステムも、『大陸の覇者』をスマホゲームRPGに落とし込むための、とても綺麗なゲームデザインだと言えます。
その理由について述べていきます。
①ゲーム全体に影響力を持たせることで、継続プレイと課金を促している
「影響力」というパラメータは、まさにゲーム全体に対して様々なところで影響力を持ちます。
大まかな構造としては、
ゲームをプレイ→「影響力」を上げる→ゲームを有利にする→ゲームをプレイ・・・
といった感じ。
細かく見ていくと、まず、キャラクターを入手し、ストーリーを進めて、功績を達成することで「影響力」が上がります。
そして「影響力」が上がることで、フィールドコマンドがたくさんできたり、パラメータが上がってバトルで勝ちやすくなります。
その結果バトルで勝てるようになり、ストーリーをクリアして、功績を達成して、「影響力」が上がります。
このようにして、「影響力」が基幹エンジンとなることで、ゲームサイクルが回るよう作用しています。
影響力があることで、とても綺麗にゲームサイクルが回りますね。
ゲームプレイを促す、という役目を果たしています。
②ストーリーと紐付けることで、世界に奥行きを持たせて飽きないようにしている
2つ目は、「影響力」をストーリーと紐付けていることです。
『大陸の覇者』では、富・権力・名声それぞれにちなんだ悪役が登場し、プレイヤーは悪役に対峙する人々と協力しながら物語を進めていきます。
ゲーム開始時に富・権力・名声から1つのストーリーを選択して、徐々に他のストーリーも進めることができるようになる、という構造です。
1番最初に3択から選ばせることで、(自分が選んだが故に)ストーリーが気になるようになっているし、また選ばなかった他のストーリーも気になるようになっています。
ストーリーは1章、2章と章立てで細切れで遊べるので、例えば「富」の序章をプレイした後、「名声」の序章→「権力」の序章、と順々にストーリーを遊べます。
この構造は飽きが来ないですね。1つの章が終わったと思ったら「そういえばあっちのストーリーはどう進むんだろう?」と気になって遊び、「そういえばこっちのストーリーは・・・」といつまでも遊べます。
1本道のストーリーと比べて、気分転換しつつ遊べます。
このように、ストーリーが1本道ではなく3分割されたことで、飽きが来づらい構造になっていて、『大陸の覇者』の世界の広がりと奥行きを感じることができます。
飽きが来ないよう工夫されたストーリー(ネタバレあり)
※ネタバレを含みます。ご注意ください。
メインストーリーの3章まで進んでいない方は、
クリア後にご覧ください。
1本道ではなく3本道になっているストーリーの構造もそうですが、ストーリーの内容そのものも、かなり飽きが来ないよう工夫されていると思います。
その理由としては、「刺激的な内容」ということです。
『大陸の覇者』では、序盤からまぁまぁショッキングな出来事があります。
ドットのゲームなので、絵的なリアリティは少ないですが、声優さんの迫力ある演技と言葉遣いが凄くて、プレイヤーの脳内でショッキングさが増幅されるような体験ですね。
僕もプレイしていて「うげ」という心の声が漏れるようなことが幾度かありました。
また、セリフも刺激的です。
思わずスクショしてしまいました。
このように、かなり刺激的な内容を含んでいることが分かりましたが、なぜそのようにしているのでしょうか?
僕は、あえて序盤から刺激的なストーリーにすることで、飽きを防止していると考えます。
誰かが殺されたりすれば、やっぱりプレイヤーとしては刺激的な体験になるし、記憶に残ります。
そして『大陸の覇者』ではその刺激的な出来事がなぜ起こっているか、どうすれば幸せになれるのか、という大義名分をすかさず描いているため、プレイヤーは「その大義名分を果たさないと!」という気持ちになって、ゲームプレイを進めることになります。
何度も言いますがあくまでスマホゲームのRPGなので、コンソールゲームのように「まずは街でおつかいして、次に街を出て・・・」と展開が遅いストーリー展開だとすぐに飽きられてしまうでしょう。
やっぱりストーリー性のあるRPGをやるなら、プレイヤーはボスを倒す大義名分と、ボスを倒す瞬間と、大義名分が果たされる瞬間を体験したいわけです。
そのエッセンスを濃く抽出して、刺激的な内容にしたのが『大陸の覇者』と言えるでしょう。
その他
その他、『大陸の覇者』を遊んでいて、「これめっちゃいい!」と思ったことなど、気づいたことを紹介してみます。
①取扱説明書がめっちゃいい
まずなんといってもこれですね!
公式ページから見ることができるこの取扱説明書ですが、完全に昔の取扱説明書を意識しています。
ゲームを始める前にひたすら読み込んだ、あの紙冊子を思い出させてくれますね。
テンションが上がりました。
ただ、ブラウザで表示している取扱説明書だけあって、ゲーム画面は実際に動いているプレイ映像が使われていて、そこは現代的だし分かりやすいと思いました。
②アイコンがわかりやすい
元々のコンソール版でもそうですが、オクトパストラベラーはアイコンがとても分かりやすいですね。
この画面は「アビリティ習得」の画面ですが、どんな能力が上がりそうかということが、アイコンを見ただけで分かります。
また、バトル中も、バフ・デバフがかかった時に何のことを指しているのかがアイコンだけで予想できます。(めっちゃ大事)
③クレジットが流れる
このゲーム、シングルプレイRPGというだけあって、コンソールゲームのようにゲーム内でクレジットが流れます。
多くのスマホゲームだとそんなことはまず無いので、これは同業者としては凄く憧れますね・・・。
いつか流れるクレジットに名前を載せてみたい・・・。
④ハンイットが出てきた。ということは・・・?
来ましたね。ハンイット。
コンソール版のキャラクターがガチャの目玉として登場しました。
ということは・・・・・・?
まぁコンソール版のキャラクターが出てくれることは嬉しいので、首を長くして残りのキャラクターが登場するのを待ちましょう・・・。
(オフィーリアかオルベリクが出てきたらガッツリ引きます)
・・・ということで、『オクトパストラベラー 大陸の覇者』をプレイして関心した部分について書き綴ってみました。
まだまだコンテンツが追加されるようなので、これからもワクワクしながら楽しんでプレイしたいと思います!