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徒然がばメタ認知

 度々人からおちょくられるほどに、すぐ否定から入るへきが酷い典型的な陰キャだった俺は、大人になってから意識の改革を始めた。他人にまるで興味が無く、そんな癖を気にする必要のなかった当時と比べると、最近は悪い方に尖ることは呼吸を苦しくするだけと勉強し、そして何事も素敵なところを探してみる、ことを始めた。案外、意識すれば難しくなかった。

 自分があまり知らないもの、一見で理解できないものに対して拒絶しない。その人がこれを好きな理由ってなんだろうか。そう思って理解を進めると、なんだか素敵なものに見えてくる。自分の場合、否定することの背景に相手を拒絶したいとかそういった思いはない。知的好奇心からくる疑問「なんでそんなもの好きなんだ?」の取っ掛かりが、非常に否定的な振る舞いだっただけだ。最初から好きになるつもりで物事を見ればいいだけだった。(探られているようで快く思えないとも言われたが…笑)そして次第に人が好きなものを好きになるのが得意になった。今俺が好きなものの多くは、元々は知っていても好きでも何でもなかったが、誰かが好きなものだった。しかし今日に来て思う。まてよ、本来の俺の好きなものって一体なんだったっけ?と。

 生きていると「好きなものは何ですか?」と聞かれるシーンは、わりかし多い。しかしなぜかいつも言葉に詰まってしまう。普通の人にとっては酷く直感的な話だろう。自分の好きなものを見失っているのか…?今回はそんな苦しみや疑問への答えを深く考えていきたい。


 この問題は根深く、真因は端的でないように思う。確かに自分の好きなものを直感が見失っているのもあるが、単純に自分の好きなものを言うという行為が怖くなっている感覚もあるのだ。

 悲しいことに、他人を否定する人間の好きなものに興味を持とうとする人は少ない。物事の面白さとは別に、人と人が会話している以上印象や信用でいくらでも興味の度合いはかわってくる。自分が説明下手なのも加えて、あまり興味をもってもらえない実感は、好きなものを他人と共有することをやめさせた。幸いにも自分が好きなものを好きな人と繋がれる時代になったし、何より、他人の好きなものを好きになって過ごす方がよっぽど楽だと学んでしまった。他人からもらったお墨付きの好きは堂々と言えるが、誰とも共有していない好きはなんとも共有しきれていない。面白いと思うところが人とずれている感覚もあるから、尚更自分の好きを主張しにくい。苦しみ~~~~~!


 まじめにプロフィールを書く際、趣味の欄には次のようなものをよく並べる。絵を描くこと、プログラミング、甘味巡り、ボードゲーム、製菓、ゲーム、ペットの飼育、漫画、音楽鑑賞…。
 でも、他にも好きなものはたくさんある。プラモデルだってやるし、オーディオ機器も好き、時計も、香水も、筆塗りも、PCの自作だって趣味と言えるか、デザインの勉強や、インテリアコーディネートも好き、漫画を描くことも、歌うことも、読書もする、アニメも見る、SNSもYoutubeも好きだ、技術書で勉強することや、最適化アルゴリズムをチューンナップすることも好き、バスケやその他運動も好き、エッセイや小説を書くのも好き、ぬいぐるみ集めや、羊毛フェルトや木彫りも好き、為替やバイナリオプションも好き、仕事も、あとは…きりがないな。

 しかしここまで並べてみて、ふと思う。もしや「なにか物事に対する深い執着があるわけではない」のかと。例えば、ある日突然絵が描けなったり、コーディングができなくなったり、漫画が読めなくなっても、別に困らないよなと思う。現に彼女にゲームやるなと言われて半年以上一度もゲームを触らなかったこともある。実際に、自信をもって言える具体的好きな”もの”というのは取り分けて無いのかもしれない。好きである事実は確かなのだが。

 ならば、考えを変えてみることにした。なるべく自分が答えを言いやすいような質問へ、「好きなことはなんなのか?」と変えてみる。すると、意外にもすぐに答えは出てきた。

 「ディスカッションや、分析と推論(妄想)、ときどき検証です。」

 そうこれだ。自分は知的好奇心をベースにして、一人だったり他人と共に或ることを考えることが好きだ。
 どんなことでも。創作のシナリオを考えるだっていい。SNSの運用に関してでもいい。明日の政治の話や、仕事をどうやったらうまくできるか、宗教の解釈の話、アルゴリズムの高速化の話、年末どこに行ったら楽しいか、とあるYoutuberの本日の動画がなぜ面白かったか、どんなデッキを組んだらカードゲームに勝てるかでもいい。価値観や死生観の話なんて最高だ!!!ああでもないこうでもないと悩んだ末に一つの答えが出るとき、人生のどんな楽しみをも凌駕する興奮をもたらしてくれる。
 必ずしも全てではないが、大概の自分の好きはこの感覚に沿ったものだ。(例外的にかわいいものは好きなので、これを集めたり見たりする際は比較的直観に従っているな。しかし、大の成人男性が可愛いもの集めが好きとあまり言うのも憚られるもので、これは考えないものとする。草)


 例の質問に対しては、次からはこのように言おう。「とても趣味は多様ですが、基本的に議論したり、推論して考え事をすることがすきです」と。ちょうどいい感じの答えじゃないか?。

どうだ。
他人からの共感や同調は期待できないが、答えは悪くない気がしてきた。
ドーパミンも出る。

以上


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