就活支援団体に入ってみた

友達に誘われてプレスタという就活支援団体に加入した。そこで体験した出来事を備忘録として残す。

はじまり


ある日、サークルの友達から一年半ぶりに連絡がきた。そして駅に19時集合でその友達の家に行って飲みながら近況を聞いていた。不動産から内定が出たという話と、別れた彼氏の話をされ、自慢するために誘ったのかよとうんざりしていたところ、23時を過ぎたあたりで、プレスタという就活支援団体を紹介される。「面接練習とか企業紹介をしてもらえるよ」と言われ、最初はへーと言ってスルーしようとしていた。しかしホームページを見るように勧められ、「登録しないの?」という圧に負けて、私はプレスタに登録した。

自分は宗教にははまらないと思っている人ほど宗教にはまるという話を聞くが、まさにこれだった。宗教や怪しげな団体は、怪しげな団体として近づいてくるわけではない。ちゃんとしていて信頼できる友達からある日突然ここすごくいいよとなんかよさそうなサービスを紹介されるのだ。おいしいラーメン屋さんを教えてくるようなノリで。

入会後

まず、登録の時点で最初にプレスタについて説明を受ける日時を決める。一度、めんどくさいと思って予約をキャンセルしたが、そうすると電話がかかってきて、そこで日時を再度決めることになる。
プレスタに登録しただけでは料金は一円もかからない。一か月後くらいに有料サービスを勧められたタイミングでそれに入会しなければプレスタは無料だ。
オンラインでプレスタについて(怪しい団体ではなく、広告を打たなくても学生の口コミで広まる程素晴らしい団体だと)一時間程度の説明を受ける。そして担当社員の電話番号を教えられ、20時に電話して一回目の面談の日程を決めることになる。

一回目の面談

1,プレスタが無料の理由は、学生の人間力を鍛えて企業に紹介することで企業からお金をもらっているからだと説明される。(学生からお金を取るつもりはないという主張を一番最初にすることで学生の警戒心を解きたいのだと思う。しかしこれは嘘で、あとあと「絶対に」有料会員にさせられる。)

2,バブル以降の就活の歴史について教えられる
現在企業は厳選就活を行っている→人間力が必要で、内定が出る人はたくさん内定が出て、出ない人は全くでない状況だと説明される(プレスタで人間力を鍛える必要があると思わせてくる)

3,自己分析シートを見ながら学生の今までの人生や性格について話す(担当と仲良くなる)

4,宿題を出される。(48シリーズというイベントと面接トレーニングに参加)

5,バイトをはじめるようにも言われる。(有料会員になると入会料3300円。月会費9,900円がかかり続ける。プラスで、ランクアップしていくために数か月ごとに数万円かかり、イベント参加、合宿、教材費にも数万円かかるため、バイトを始めるように言われたのだと思う。)

企業紹介

一回目の面談後、企業紹介を受ける。担当の社員以外に企業紹介をする主任を紹介される。一時間程度オンラインで内容のない話をされ、「大手も中小もいいところそれぞれあるからね」とずっと言っているので、やはり微妙な企業しか紹介されないのだろうと思う。主任との話が終わり、すぐにそのままっキャリアコンサルタントと話をすることになる。キャリアコンサルタントから、ベンチャー二社とちょっと大きめのグループ会社の三社を紹介され、その三社の説明会をその場で予約する。特に優遇などがあるわけではなく、説明会後、普通に適性検査などのルートに進む。この企業紹介で出会った企業に就職する人は1割程度だと主任が言っていた。とにかくこの主任は、プレスタは入社後の活躍を見据えて企業を紹介しているという話をしつこいくらいにしてくる。大手は入社後の出世競争も激しいから今成長中の会社に入社して効率よく出世したほうがいいということらしい。採用にはA採用とB採用があって、入社時点でもう出世できるかどうかは決まっているから、おとなしくプレスタが紹介するベンチャーや中小に入って楽に出世ルートを歩めということを言いたかったのだと思う。

二回目の面談

抜き打ち面接、フィードバック
「才能がある」「可能性がある」「成長している」と言われしがく(有料でリーダーシップを鍛える)を勧められる。しがくについて、勧誘してきた友達(しがくに入会している)に詳しく話を聞くように言われる。

三回目の面談

偉い人(次長)と面談し、就活などの悩みについて相談する。その後、担当から次長にできるだけ長いお礼のメールを22時までに送るように言われる。「次長と一対一でお話しできるなんてすごいこと」だと社員に言われまくるが、絶対に信じてはいけない。それを信じて自分は特別で期待されていると少しでも思った瞬間、次回の面談で快速有料会員行き。

人にもよるかもしれないが、4回目の面談で本格的に2時間かけて勧誘される。自分は絶対に断れるとは思わない方がいい。イベントに行けばわかるが、ほとんどの人が有料会員になっているため、勧誘方法も完璧なテクニックを持っていると思われる。私は4回目の面談の前に退会した。

私がプレスタをやめた理由は三回目の面談の後に企業紹介をしてくれる主任とまた話をして、そのときの遠回しでしつこくて長くて中身のない話に休日をつぶされたことに腹が立ったから。わざわざスーツを着て九段下にいって30分と言われていたのに意味不明な話を50分も聞かされてブチギレて勢いで退会。しかも、企業紹介をしてくれるはずの主任は一生意味不明な話(超遠回しにプレスタが紹介する企業に入れという話)をしてくるだけで、実際に企業を紹介してくれるのはキャリアコンサルタントという別の人。

プレスタに入会するときは100%友達の紹介なので、退会するときはその友達との関係もあきらめたほうがいい。

プレスタ、しがくの特徴

①とにかく口コミで広がること
→勧誘してくる友達は株式会社キャリアコンサルティングからは一銭ももらっていない。それなのになぜ勧誘をし続けるかというと、プレスタに勧誘して友達の人間力を伸ばすことがその組織のなかで素晴らしいことだとされており、それを信じているだけだから。本当にこれだけの理由。もはや、街中で見る宗教系のチラシを無賃金で配り続けている人たちと同じ。それが正しいことで、日本をよくすることだと信じているから善意で人を勧誘している。

システムとしてはマルチよりも悪質だとすら思う。マルチは元が取れる可能性が一ミリくらいはあるが、プレスタやしがくに友達を勧誘している人たちは、一銭ももらわずに、社員でもないのにキャリアコンサルティング株式会社のために働き、やりがいを搾取され、お金も取られながら「人間力」と「リーダーシップ」を鍛えている。

②イベントに漂う独特の雰囲気
1,完全に統制された愛想笑い。社員のつまらない話にもどんな講演会でも聞いたことがないような完璧な愛想笑いを響かせ続ける学生たち。プレスタやしがくに通った果てがこれだとしたら悲しすぎると思った。普通に軍隊。

2,みんなまじめでちゃんとしている
イベントに出るといろんな学生と交流ができる。「〇〇さんは私が本当に尊敬している人」というのがしがくに通う学生の口癖。4年生で、いろんな人と仲良くしている人が尊敬されていた。だいたい、しがくにお金を払う人は本当に自分の力を高めたいと思っている真面目でちゃんとしていて前向きな人が多いので、イベントに出るとだいたいのひとは自分もしがくに入るべきなんじゃないかと思い始める。代表面談というものもあり、社長の話をみんなで聞くイベントがある。社長はほんとにすごい人だとみんな言っていた。

3,ネガティブなことを言うと怒られる
褒められたことに対してネガティブなことを言ったら、さっきまでバキバキな目をしていた担当の目が曇った。

4,例え話がとにかく多い(話が遠回しで長い)
鬼に金棒(鬼=人間力、金棒=学歴)という話を一生される。

5,「なりたくない」の「ない」とか、「できない」「できる」とかの「ない」とか「る」の部分を学生に言わせてきて本当にうざい。担当も次長もやってくる。社員全員が学生にそうやれって教育されている。

6,プレスタが掲げる「ワンランク上の就職活動」は絶対に覚えさせられる。私自身今もう何も見なくてもこれを書ける。もう一生忘れないと思う。

7,100-1=0
もちろん100-1=0。99なんて言ってる間はワンランク上には行けない。

退会方法

マイページの下の方に退会のボタンがあるのでそれを押すだけ。心配であれば担当と企業紹介の人の電話番号を着拒して勧誘してきた友達と縁を切る。そうしたら何も起きない。



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