#203_チームラボ「秩序がなくともピースは成り立つ / Peace can be Realized Even without Order」
チームラボの作品は、初期のころからずっと注目していて(やはり猪子さんの強力な個性によるところも大きいのですが)、刺激を受けているのですが、
その中でも好きなものが表題の作品。「秩序がなくともピースは成り立つ」。
チームラボのHPからその説明を引用すると、以下のとおりです(https://www.teamlab.art/jp/w/peace_sg/)。
無数のホログラムによるインタラクティブデジタルインスタレーション。ホログラムによって映し出された人々は、おのおの自律している。
そして、楽器を奏でたり踊ったり、それらは近くの人々が奏でる音の影響を受けて行動している。全体に影響を与える者や、全体を把握している者、つまり、オーケストラでいうところの指揮者は存在しないし、中心や基準というような概念はない。しかし、彼らはお互いに影響しあい、やがて「引きこみ現象」が起こり、しばらくすると演奏に調和が生まれる。
作品中の人々は、鑑賞者が近づくと、鑑賞者に気づき奏でることを止めて、鑑賞者にリアクションをする。そして、近くの人々にそれを伝える。しばらくすると、また適当に楽器を奏で始める。気まぐれに始まった演奏のために、周囲の音楽の調和は壊れる。鑑賞者がいなかったり、鑑賞者がじっと静かにしていたりすると、また引きこみ現象が起こりはじめ、調和が生まれていく。
組織やガバナンスの問題を考える際、私の出発点もこのようなところにあります。上から秩序=Orderという形で一元的に管理するのではなく、それぞれ自律した個人が、各自の責任の下に自由にふるまい、それでいて全体としては有機的に結びつき、恒常的に存在する集合体。このような組織を思い描いたときに、その一つの現実的な可能性を提示しているのがこの作品であるように思います。
では、どのような条件がそろったときにこのような組織が成立するのでしょうか。
もしかしたら、このような問いの立て方自体が違うのかな、という予感もあるのですが(この問いは再現可能性を前提としていますが、この種の問題がそもそも科学、Scienceの対象となるのかという疑問、やってみなければ(生きてみなければ)答えが出ない問いなのではないかという直観)、そうはいえ、言葉を仕事にしている以上は、考えざるを得ない問題であると思っています。
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