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#146_スケールフリー・ネットワークと新たなる分断
ネットワーク理論でいう「スケールフリー・ネットワーク(Scale-free network)」が、マーケティングなど他の文脈でよく聞かれるようになっていますが、この概念自体、非常に重要なものではないかと注目しています。
本当は細かい数式で語れればよいところですが、そこは文系なので言語化すると、要するに、ポイントは、「全部の当事者がまんべんなくつながっているのではなく、一部の少数の当事者(Hub)に「つながり」が集中している状態」ということだと思います。
なお、その逆、すなわち全部の当事者がまんべんなくつながっている状態を、「スモールワールド・ネットワーク(Small-world network)」と呼ぶようです。
イメージを図示すると、こんな感じでしょうか。
思いつきのレベルを出ないのですが、この概念から思うことは以下のとおりです。
私たちは、通信技術の発達により、これまでのどの時代の人間よりも多数の当事者とつながるようになっています。しかし、時間も能力も有限であることは昔と変わっていないので、そのつながりは必然的に弱いものにならざるを得ません。
そのような弱いつながりが爆発的に拡大すると、もしかしたら、そのネットワークはスケールフリー・ネットワークに収斂するのではないでしょうか。
となると、ここで権力を持つのは、そのような弱いつながりが集中している一部の少数の当事者(Hub)です。そして、大多数の当事者は、何をするにしてもそのような少数の当事者を経由しなければならない以上、その当事者の影響を受けざるを得ません。
さらにいえば、それは何もGAFAのようなメガプラットフォームに限らず、あらゆる階層において、同様の構図がみられるのかもしれません。
保有するネットワークの個数の格差の拡大。ここに、新たな分断が生まれる素地があると思います。