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#143_手形から「耳」が消える

最近、紙の約束手形について廃止の方針、というニュースがありましたが、これは、経済産業省(中小企業庁)の「約束手形をはじめとする支払条件の改善に向けた検討会」で、そのような方向性の報告書の骨子が出るという情報が報道機関にリークされたからです。

実際、昨日(2月19日)の第6回の同検討会で、「約束手形をはじめとする支払条件の改善に向けた検討会」報告書(骨子)が資料として出ました。

論旨としては、「そもそも手形は決済手段として支払サイトが長い。受取側に負担が寄っている」「しかも、紙だと支払側も受取側もコストがかかり、リスクもある」「アンケートでも、実はみんな(支払側も受取側も)やめたがっている」「よって、本来的には、決済手段は銀行振込など支払サイトが短いものにすべき。それがムリでも、紙の手形はやめて、せめて電子記録債権などにすべき」ということだと思います。

こうしてみると、「紙」がワルモノというよりも、支払サイトが長いことなどのゆえに、受取側に負担が寄っていることに力点が置かれているように感じます。そして、それは取引実務上、実際そのとおりかと思います。

特に、手形を現金化する際のコストである割引手数料について、実質的に受取側が負担している構図は、素朴に考えるとけっこう不思議であると思います(このあたりは、以前に以下の記事で書きました。)。

ここで、タイトルに戻って手形の「耳」ですが、そもそもこれは、手形帳から手形の券面を切り取った後の左側の部分です(出典:全国銀行協会作成資料)。訴訟で、振出日などを立証する際、この部分を証拠に使ったりします。

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そもそも「耳」が消えるというか、全体が消えてしまうのですが、紙というphysicalな存在にはやはり安心感があるのですけどね。まあすぐになくなるわけではないでしょうけれども、この一連の電子化の流れの中で、いずれは消えていくのでしょう。

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