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#142_出光興産による東亜石油TOBの不成立
完全子会社化を目的とする、出光興産による東亜石油に対するTOBが不成立というニュースを見て、気になって少し調べたのですが、なるほど、という感じでした。
経緯としては、もともと東亜石油株を50.1%持っていた出光興産が、「操業の効率化及び事業環境変化への迅速な対応」などを目的として、東亜石油を完全子会社化しようとTOBを開始したのが昨年の12月15日。
しかし、米系の投資ファンドであるCornwall Capital Management LP(「コーンウォール」)が、TOB開始後も25%超まで買い進めたため、東亜石油の株価が、TOB価格である1株2450円を上回って推移していたとのこと。
要は、他の株主や投資家としても、「これはきっと出光興産もTOB価格を引き上げるだろう」と考え、市場で買い増したり売らずに保有した結果だと思います。となれば、わざわざ当初のTOB価格に応じるヒトはいなくなるのも当然です。
一方、ニュースによると、出光興産は、このような完全なるチキンレースには応じないとばかりに、2月9日の決算会見の時点で、「TOB価格を変える予定はない」とコメントした模様です。もっとも、なーんだ、と思って市場で手放した株主もいる一方、いやいや、まだわからんぞ、と思った株主も多かったようで、その後も株価はTOB価格を超えて推移し、結局、TOB期間終了日の2月15日もその状況は変わらず、下限を下回ってしまったと。
つい一方の目線で見てしまいますが、公開買付者、対象者、そしてそれぞれのFA、LAその他の関係者のみなさんも、ほんとうにお疲れのことと思います。
ちなみに、EDINETでコーンウォールの大量保有報告書も見ましたが、しっかり場でコツコツ拾ってますね。昨日(2月18日)提出分によれば、もう27.08%です。
どうやってEXITするのか興味深いですが、大量保有報告書(厳密には、変更報告書No.19)上の保有目的の記載も以下のとおり意味深です。「原則として」友好的な、って…
「原則としてあなたの友達です」「原則としてあなたが好きです」といわれても、うれしくないですね…
投資顧問契約に基づく顧客資産の運用(その一環として、発行者経営陣との建設的で原則として友好的な協議を行うことを含む。)