4歳シリーズ第1戦 香港クラシックマイル プレビュー
今週はいよいよ香港4歳シリーズの第1戦、クラシックマイルが行われます。香港は29日が春節で大型連休、レースは31日金曜日の夕方発走となっています。
ということで、今回はいつものレーティングランキングではなく、クラシックマイル出走馬の紹介を。
※丸囲みは枠順
1/31 香港クラシックマイル 芝1600m
登録時点ではレーティング79が出走ラインだったのですが、レーティング上位のラマダンなどが回避して、76のマークウィンまでが出走にこぎつけました。 マークウィンは前走が僅差の2着でレーティングをあまり伸ばせず微妙な立場でした。陣営は一安心ではないでしょうか。
ではここからは一頭ずつ紹介していきます。
⑥ パッキングヘルモード(包裝天將) レーティング93
<Z・パートン騎手 / F・ルイ厩舎 香港での戦績(4-1-0-1)>
今回の最有力馬。デビューから3連勝でクラス3を卒業すると、クラス2でも3戦して1勝2着1回と好走、2走前のハイランドリールハンデで、ルビーロットをクビ差抑えて勝利を挙げています。
前走はトップハンデに加えて11番ゲートと厳しい条件が重なり、初めて同世代に後れをとる4着、しかし着差はわずかでハンデ差を考慮すれば合格点の内容でした。
今シーズンはゲート運がなく12→9→10→11と外ばかり引いていましたが、本番のここで6番ゲートとまずまずのところをゲット。マイル戦未経験という不安材料はありますが、勝利に一番近いところにいることは間違いありません。
⑩ ルビーロット(球星) レーティング93
<B・アブドゥラ騎手 / D・ヘイズ厩舎 香港での戦績(5-3-5-3)>
すでに16戦の経験を誇るたたき上げ。ヘイズ調教師がカーインライジングをここに出さなかったのはこの馬がいることも1つの理由になったでしょう。
昨シーズンはじつに12戦を走りクラス3までランクアップ、今シーズン初戦でクラス3を勝つと、パッキングヘルモードとの対戦となった前走のクラス2・レーシングクラブカップにも勝利、一躍有力馬の一頭となりました。
パッキングヘルモードよりは7lb軽いハンデという好条件もありましたが、今回のメンバーでクラス2を勝っているのはパッキングヘルモードとこの馬だけです。
1400mでは6戦3勝と距離を伸ばして成績を上げてきましたし、距離が延びること自体はさほど気にならなさそう。ただ、ゲートは10番と外目を引きました。初マイルで外々を回る競馬となるとさすがに苦しいかもしれません。うまく内に入れられればいいのですが。
⑭ ディヴァノ(開心寶寶) レーティング86
<B・シン騎手 / F・ルイ厩舎 香港での戦績(4-1-3-2)>
ブレイブスマッシュ産駒の快速馬。昨シーズンは4戦2勝、クラス3でスタートした今シーズンは初戦から3連敗を喫しましたが、12月に1200mのクラス3を連勝してレーティングを86まで上げています。
12/22のチューリップハンデは135lbを背負いながら早め先頭で強引に押し切るなかなか強い競馬でした。
ただ、このレースでのラスト1 ハロン の失速や、初の1400mだった前走の内容をみると現状は1200mがベストでしょう。さらに200m伸びる今回は難しい戦いになりそうです。
⑤ コールミーグロリアス(龍之輝) レーティング84
<M・チャドウィック騎手 / F・ルイ厩舎 香港での戦績(3-1-2-5)>
今シーズンは伸び悩んでいるNo Nay Never産駒の早熟馬。昨シーズンは6戦して3勝、6月のクリアウォーターベイ(清水湾)ハンデでは雨の中、2着に6馬身半差をつけての逃げ切る圧巻のパフォーマンスを見せました。
続くクラス2への昇級初戦も2着と頑張りましたが、今シーズンは初戦のGⅢナショナルデーカップで4着に敗れると、続くレースで12着と大敗、その後はオールウェザーも試すなど迷走気味です。
初のマイル戦となる今回は苦戦必至ですが、重馬場巧者なのは間違いありませんので、ソフトな馬場になれば入着ぐらいは、という感じでしょうか。
① ファストネットワーク(舉步生風) レーティング84
<C・スミヨン騎手 / D・イップ厩舎 香港での戦績(3-0-2-2)>
底知れぬポテンシャルを感じる一頭。この馬といえばなんといってもこのレースです。
4走前のクラス3、直線1000m戦での圧勝は非常に印象的でした。当然次走の1000m戦ではクラス2初戦にもかかわらず圧倒的な人気となりましたが、4着止まり。ここまでは4歳シリーズを意識する感じではなかったのですが、続く初の1200m戦で4着に入ると、さらに距離を伸ばした初マイルの前走で好メンバーの中134lbを背負って3着に好走、がぜん本番でも注目の一頭となりました。
11月のレースで垣間見せた底知れないポテンシャルと、意外にもあった距離への適応力が非常に魅力的な一頭です。今回は鞍上にスミヨン騎手を迎え陣営の本気度も相当、ゲートも最高の1番、ここを勝っても全く不思議ではありません。
⑨ ヨハネスブラームス(玩笑) レーティング84
<M・バルザローナ騎手 / P・ン厩舎 香港&海外での戦績(2-2-3-1)>
エイダン・オブライエン厩舎出身のエリートホース。欧州時代は4戦1勝、GⅡジムクラックステークスでは、のちにゴールデンイーグルを勝つレイクフォレストの2着に入りました。
香港に来てからも4走してすべて4着以内と堅実、2走前のクラス3・スプルースハンデを勝つと、前走のクラス2ではパッキングヘルモードに先着する3着に入りました。
枠順問わず毎回上位を争える堅実さは魅力ですが、一方で勝ち切るまでのパンチに欠けるもの事実。飛ぶ鳥を落とす勢いのP・ン調教師に4歳シリーズ初勝利をプレゼントすることはできるでしょうか。鞍上は名手M.バルザローナです。
③ カップフェラ(百賀飛駒) レーティング83
<V・ホー騎手 / F・ルイ厩舎 香港&海外での戦績(0-2-4-8)>
4頭をこのレースに送り込んできたルイ厩舎の秘密兵器。通算14戦して未勝利ですが、有力馬の一頭に数えられています。
オーストラリア時代は13戦して勝つことはできませんでしたが、GⅠスプリングチャンピオンシップで2着、ローズヒルギニーで3着など重賞でも上位争いを繰り広げてきました。とくにローズヒルギニーは勝ち馬がリフロケットですからオーストラリアでの世代上位の力がありました。
香港へ来てからは12月のクラス3・六福ジュエリーDEAR Qハンデの1走だけですが、そこでもトップハンデでミックリーの2着と実力を証明しました。
今回も実力からいけば上位争いの可能性は十分ですが、香港で1走ということで未知の部分が多いですし、好走はしてきたとはいえ実際いままで一度も勝っていないことも事実。距離ももう少しあったほうがいいようにも思いますので、ここで勝つまではどうでしょうか
⑪ グローリーエリート(輝煌精英) レーティング83
<H・ベントレー騎手 / J・ティン厩舎 香港での戦績(3-3-1-6)>
先行力が武器のRussian Revolution産駒。昨シーズンはデビューから6戦目にで初勝利を挙げると続くクラス4も連勝、今シーズンはクラス3で連続2着の後、11月のクラス3・スイスプログラムハンデを好タイムで快勝しました。
しかし以後は3戦して5着が最高と完全にクラス2の壁に跳ね返されている現状です。マイルになることが良さそうなタイプでもありませんので、ここでは厳しいですね。
⑬ ミックリー(米奇) レーティング83
<H・ボウマン騎手 / J・サイズ厩舎 香港&海外での戦績(4-0-1-5)>
強行軍で挑むロイヤルアスコットの勝ち馬。香港に来る前はイギリスで5戦して3勝、去年6月のロイヤルアスコット開催ではブリタニアステークスで29頭立ての激戦を制しました。
結構な鳴り物入りで香港にやってきましたが香港では5戦して12月のクラス3でカップフェラを2着に下した1勝に止まっています。
毎回いい感じで追い上げてはいるのですが、直線で内を突いて前が詰まる、というレースを繰り返していて波に乗れない戦績になっています。不完全燃焼さに業を煮やしたのか、前走は連闘で2000m戦に出走するなど、年が明けてからすでに3度の出走を重ねています。
垣間見える素質からはここを勝ってもおかしくない馬ではありますが、さすがに月間4走目で余力があるのかは気になるところ。ゲートも13番と外を引いてしまいましたが、毎度内で詰まってきたこの馬にとっては、腹をくくって外を回せるこの枠は意外と悪くないかもしれません。
⑫ ルーシーインザスカイ(鑽石星空) レーティング79
<K・ティータン騎手 / M・ツイ厩舎 香港での戦績(3-4-0-5)>
あと一押しが欲しい重戦車。10月にクラス3を勝つまでは8戦3勝2着3回とほぼ完ぺきな戦績を誇っていましたが、クラス3で130lbを超えるハンデを課されるようになってからは、あと一歩足りない競馬が続き4連敗、5→6→4→5着と微妙に馬券にならない惜敗を繰り返しています。
1200lb(544㎏)を超える大型馬ですが意外と斤量泣きするタイプなのかもしれません。ここまでトップハンデで同世代のトップクラスと僅差の勝負をしてきていますので、定量戦の今回は一発あってもおかしくない馬です。
ただ、先行したいこの馬にとって12番ゲートは嫌ですね。
⑧ マイウィッシュ(祝願) レーティング79
<L・フェラリス騎手 / M・ニューナム厩舎 香港での戦績(3-1-2-1)>
まだ底を見せていない上がり馬。昨シーズンは2戦して未勝利に終わりましたが、今シーズンは好調。シーズン初戦のクラス4で初勝利を挙げると、その後もクラス3で4戦して2勝3着2回と崩れていません。
この馬は今回の出走メンバーとあまり対戦していない点が最大の魅力、前走でマイルに目処がついているところもいいですね。正攻法の競馬をするので、力が足りなければ大敗までありますが気になる一頭なのは間違いありません。
⑦ トップガン(壯志凌雲) レーティング79
<J・メルハム騎手 / F・ロー厩舎 香港での戦績(4-2-0-6)>
見限り切れない実力馬。オーストラリアで4戦3勝後に香港へ。移籍直後のクラス3での勝利と、今シーズン初戦の2着が目立つ程度の成績ですが、3走前のシュヴァリエカップ(1600m)4着の時に記録した1分33秒82はこのメンバーでトップの時計になります。
このレースは先週のクラス2を勝ったサンライトパワーなどかなりの好メンバーが揃ったレースでしたので、軽ハンデだったとはいえ軽視できない力はありそう。おそらく人気にはなりませんが、3着までならあっておかしくないのでは。
② タレンツアンビション(精英雄心) レーティング80
<M・プーン騎手 / M・ニューナム厩舎 香港と海外での戦績(4-2-2-5)>
中4日で挑むオールウェザーが主戦場の馬。昨シーズン最終戦で初のオールウェザーに出走し初勝利、今シーズンは5走すべてオールウェザーで1-1-2-1と堅実な走りを見せています。
芝での実績は昨年5月のクラス4で2着になった程度、父Into Mischief、母父がA.P. Indy産駒のCongratsということで完全にオールウェザー向きなのは間違いないでしょう。ここは参加するだけになりそうです。
④ マークウィン(但求開心) レーティング76
<D・リョン騎手 / C・モー厩舎 香港での戦績(2-2-2-0)>
強烈な末脚を誇るこのレース最大の惑星。今シーズンの10月にデビューし6戦2勝、3着を外さない競馬を続けています。この馬の末脚が冴えわたったのが12月の香港国際デー、クラス3のモーリスハンデでした。
この日は外からの差しが伸びなかったのですが、そんなことはお構いなしに豪快な差し脚で勝ち切りました。
その後の2戦は勝ち切れていませんが、勝ち馬との差はわずかでした。毎回確実に伸びてくる安定感、前走でマイル戦を経験していること、4番ゲートという好枠、もろもろ考えるとここでも十分やれるように思いますが、クラス2では走っていないので、本当の実力が見えないところがあるのも事実です。
見解
◎ ファストネットワーク
○ パッキングヘルモード
▲ ミックリー
△ ヨハネスブラームス
× ルーシーインザスカイ
パッキングヘルモードか、ファストネットワークか、難しいところですが、スケール感をとってファストネットワークが本命です。ここ2走で初めてのコーナーのあるレース、一気に400mの距離延長を無難にこなしたレースセンスも強調材料です。
パッキングヘルモードももちろん有力、ただマイル戦の経験がないのは最後に響きそうな気もします。
以下、もろもろハマれば突き抜けそうなミックリー、立ち回りのうまいヨハネスブラームス、どうしても気になるルーシーインザスカイという感じでしょうか。
最後になりますが、4レースのGⅢセンテナリーヴァースに出走するスタニングピーチも要注目です。
4歳馬ながらクラシックマイルはスキップして、1800mのここへ出走してきました。かなり骨っぽいメンバーを相手に115lbでの挑戦。ここで結果を出せば4歳シリーズ第2戦のクラシックカップへ向かうでしょうし、そうなればシリーズもかなり面白くなってきます。