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ディスカバー元彼 オンジインターネット

これは、今思い出しても強く悲しい気持ちになる、私の人生史上最も辛かった記憶だ。


約5年前、新卒として社会に出た頃に初めて彼氏ができた。
元々趣味を通じて知り合い、ほぼ私からの一目惚れで、私からジリジリ距離を詰めていき、約1年後にお付き合いを始めた。
半ば強引だったが、こんなに私のタイプだと思える人はいない!と思っていたので、とっても嬉しかった。
初めての彼氏が、心から好きと思える人で良かったと思っていた。

だが、順調なお付き合いもほとんど長くは続かなかった。

下記LINEでの一例である。

付き合う前からLINEでやり取りはしていて、毎度お互い一日ごとに一言ずつ会話していた。
付き合った後もそのペースは変わらなかった。

私が月曜日に連絡すれば、彼は火曜日に返してくる。
私はその後水曜日に返信をし、彼は木曜日に返してる。
土曜日に会うとしたら、デートの内容を決める前に当日が来てしまうレベル。超絶スローペース。

これは伝書鳩でやり取りしているわけではない。
LINEという、今や日本中で一日何万通もやり取りが行われている、フットワーク超絶軽めの画期的なメッセージアプリを使ったものである。

それに対して私は段々と不満を募らせていた。
つまりこのやり方には、私は迎合していただけなのである。

このように恋愛の不満というのは、軒先からポタポタと落ちる雨水のように、ゆっくりと、しかし確実に溜まっていくものである。

その他も諸々不満はあった。
しかし、それぞれのエピソードをいちいちあげつらって書くのは時間の無駄だし、意味のないことなのでやめておく。

とにかく当時の彼の口癖は「余裕がない」だった。
それは、経済的にも仕事的にも、夢への邁進にもだった。
当時の彼は20代半ば。
特に彼の仕事は、不安定だった。
昼夜はもちろん平日、休日問わず働き、大して金ももらえていなかったようなので、体も気持ちグラグラだったのだろう。
そして彼には夢があり、その叶うか分からない夢が気持ちの不安定さに拍車をかけていたような気がする。

しかし、初めての彼氏だった私には本当に何も分かっていなかった。

それなり我慢もしていたし、2週間会えなくても何でもないふりをしていた。
料理教室なんかにも通って、彼氏に構ってもらえなくても充実したキラキラライフを送るいい女を演じていた。
だって仕方ない。
他のカップルが楽しそうに長電話をしていても、毎週のようにデートをしていても、私は一日ごとのLINEで我慢できる、たまに会える日は彼の仕事が終わるまで、駅前のミスタードーナツで3時間でも楽しく穏やかに待つ。
好きな人と付き合えている。
向こうも余裕がないながらも慕ってくれている。
だから大丈夫。

でもそんなものは長続きしないのだ。

来るXデー。
私たちは、というか私は、大爆発してしまう。
デートの終わり際、彼の一つの言葉足らずで、今までの我慢してきたすべてをもって、爆発した。
静かにたっぷり溜まっていた雨水入りのバケツに穴が開き、ついに溢れたのだ。
今思えば、私の稚拙なわがままだった。
今思えばと書いたが、当時の私も分かっていた。

もっと一緒にいてほしい。

一文にすれば単純なことを、私は今まで溜めてきた彼の行動への不満を例に、強く強く彼に言ってしまった。 

元々繊細で不安定な彼だ。多分ここが彼にとってもバケツの水がダラダラと流れ出したターニングポイントだったのだろう。

とりあえずその日は私に寄り添ってくれた。
そして穏やかにそれぞれの帰路についた。

その後、私は自責の念に駆られ、謝罪のLINEをした。
彼からは、気にしないで。自分も至らないところがあるからと優しく返ってきた。

ああ、よかった。今後は気をつけよう。
このことをきっかけに、もっと良い関係を築くように努めよう。

そう強く誓った。

しかし、そのやり取りが、きちんとした恋人としてのものとしては最後になった。


おそらく次の日にLINEを私から送った。
しかし、待てど暮せど返信がない。
いつもは遅くとも次の日には返ってきていた。

まさか…

焦燥感が頭を駆け巡った。
次の日、また次の日と待ち続けても連絡はない。

わぁ、これは。噂に聞いていたヤツだ。

音 信 不 通。。。

呆然とした。
まさかあのケンカが最後になって、見限られるなんて。

にわかには信じられなかったが、現実だった。

そして、その数日後、彼からやっとLINEがきた。
内容はもうあまり覚えていないが、仕事で大変なことになった。余裕がなかった。
必ず会うから少し待ってて。
というな内容で、別れについては特に言及されていなかったが、次の彼からの連絡は約1ヶ月半後になる。

その間の私の絶望はすごかった。
今までさすがに何日も連絡がなかったことはなかった。

終わりが見えない日々に怒りと悲しみと焦りと苦しみと倦怠感が襲ってきた。

仕事中は涙が出てきて、休憩室ではたまに過呼吸になり、家にいる時は考えたくなくてひたすら寝ていた。
起きていれば考えしまう。
なんであの時私は…いや、その前にも私がわがままを言ったから…とグルグルグルグルと思考のスパイラルは止まらない。
いつ連絡が来るのか、いつ連絡してもいいのか、いつ、また、会えるのか。

そんなことばかり考えていた私の行動は、正常なものではなかった。思い出すだけでも恥ずかしく、ここには書けない。書けないなんてずるくて申し訳ないが、そういった行動が、おそらくこの初恋をよりみじめなものにしたのだと思うので、それなりに罰は受けている。

彼からの連絡は、そんな私の行動から連絡せざるを得ずにきたものが2回。

その中には、彼自身の精神的な状況や、もう私に気持ちがないことも書かれていた。
しかし、絶対に会って話すとも書かれていた。


だけどそれは嘘だった。
その後連絡は無くなった。
結局私の初恋は、ドラマや小説、友達から聞いたことのある気まずくて辛い別れ話もなく、何もなく、ただ見限られて終わったのだ。

私は1年くらいは連絡を待っていたと思う。
彼から最後にきた、彼の精神的な状況を伝える内容を含めたメッセージも入っており、様々調べたところ、1年くらいは待ってみてもいいのではというアドバイスを見かけたからだ。
振り返れば本当に救いようのないバカだと感じる。

もし今当時の私に会えるなら、連絡の来なくなった男の連絡先なんてブロック削除一択だとメガホンをもって叫んでやる。

それが出来ていれば同じように辛くても、新着メッセージを知らせる音が怖くなってサウンドをオフにしたり、LINEばかり気にしてしまうことが辛くなってiPhoneからアプリを消してまで待つ必要はなかったのだ.

今思えば、よくあるカップルのすれ違いだ。
世間にない話ではない。
私の女友達にも数人ほど、お付き合いしていた人が音信不通になり、関係が終わったという話も聞いたことがある。
世の中には意外とフェードアウトする人間が多いのだなと強く実感した。

そして彼が悪いこともあったし、私が悪いこともあった。
恋愛というのは、どちかが一方が著しく悪いということは、ほとんどない。浮気、暴力以外は。

私は、失恋後どのような気持ちになるのが一般的かは分からない。
私と同じような気持ちを男女問わず味わうのだろうか。

分からないというのも、私はこの経験をした1年後に出会った人と数年お付き合いして結婚したのだ。
だから、失恋という経験はこの一度のみになった。
よってこの失恋が強く印象に残っているだけかもしれない。 

しかし、結婚した今でもたまに思い出して苦しくなる。

私は今の夫を愛していていて、夫もこんな私を溺愛してくれている。

それなのにたまに思い出す。

私が意を決してこの話を書こうと思ったのは理由がある。
実はこのインターネットの海で、その元彼の今を見つけてしまったのだ。
彼は当時から持っていた夢への第一歩を踏み出していたことがわかった。
奇しくも私も同じ夢を持っていて、しかし才能の前に打ち砕かれて諦めたので、本当に心の底から悔しくて、深夜にiPhoneを握りしめてわんわん泣いた。
全然全くもっていい思い出にできてなかったのである。

本当に悔しい。
前述では客観的な意見として、または私が理屈では理解している「恋愛でどちらかだけが悪いということはない」というありきたりなことを書いたが、いやいや、全然向こうが悪いだろという気持ちを捨て切れていない。

一応友人だった過去を経て付き合った彼女が面倒になったからフェードアウトするのは不誠実だろという怒りもあるし、きちんと話し合いたかったし、話し合いができる人間だとも思ってもらえなかったというのが悔しかった。

人格を否定された気持ちが永遠に拭えないのだ。

もう5年も経って、愛する夫もいるのに…。

本当に私は執念深くて、醜い心を持っているのだと自分自身呆れてしまうが、そもそも過去の恋愛をこんなに長文で綴る女が淡白なわけがない。

でも、もう絶対に前に進まなければいけないんだと思う。
いや、前に進んではいた。不意のカウンターパンチによって一気に引き戻されただけだ。
また時間を進めるために、こんな形でこの話を綴った。


前に進もう。過去は忘れられないけど。

ところで、たまに「元彼を見返してやろう!」という文言のコラムを見かけるが、私みたいな性格の持ち主にとってはあまり良くないかなと思っている。

仕事を頑張って上り詰めても、その頑張りの根源には忘れたい元彼がいる。
見返したい元彼がいたから頑張れた。
どこまでいっても元彼が人生にちらついてくる。

それってなんだかムカつかないか?

だから、私みたいな性格の持ち主は、飄々と私が頑張りたい道で頑張るしかないのだ。

こんな経験が、自分の大切な人格に入り込み、自己卑下をしないように。

最低な恋愛が、世間からの自分の扱われ方を決めるわけではない。

そんなことを言いつつ、こんな長文の根源にはその元彼がいるんだけどね。

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