2024年上半期の書き残し②SHISEIDO GALLERY
銀座7丁目の資生堂パーラーの地下にあるギャラリー、フリーで小ぶりということもあり、気楽に立ち寄れるのですが、上半期に見た展示で良かったものを3つほど。
1.君の存在は消えない、だから大丈夫。
3月に開催されていた「shiseido art egg」第17回目の一人、野村在氏の展覧会タイトル。このタイトルにしびれた。
なんと言えばいいのかな。「断捨離する!」と言って、多少なりとも生活を身軽にしようとしつつも、嵩張らないからデジタル上には膨大な記録が残っている。写真を撮ることもSNSに投稿することも、こうやってnoteを書くことも、どこかに存在を残しておきたいという潜在的な欲求(あるいは不確かな存在への不安)があるのかな、ということを身につまされました。
観念的ではありますが、古くから人間の欲求である「不死」をこういう風に捉まえたんだな、と新鮮。
2.ブタデスの娘
同じく「shiseido art egg」第17回目の一人で4月に鑑賞した岩崎宏俊氏の作品。アニメーション&インスタレーション。記憶をトレースするうちに、本当に自分の記憶だったのか、後から改竄された記憶なのか、親から聞いたから覚えているような気がしているだけで、本当は覚えていないことなのか、そういう自分の記憶のあやふやさが奥底で不安となる感触を思い出すような作品でした。
記憶のうつろう感じが、モノクロと光と影で繊細に表現されていました。白一色で天井の高いこのギャラリーで見ると本当に綺麗。
3.オドル ココロ
エッジの効いた若手のものも取り上げますが、このギャラリーは資生堂ブランド発信基地なので、自社ブランドの過去クリエイティブもよく展示しています。それはそれで懐かしくて面白い。昔の広告は尖ってたなあ、と懐かしく振り返れます。今回はパッケージ!
オイデルミンなどは、広告展等でよく見るので・・・それよりも「昔、祖母の家のお納戸に大事にしまったままだった頂き物」を発掘したような感じの商品が楽しかった。昔はお中元やお歳暮なのか、石鹸を頂き物で箱でもらった記憶が・・・あやふやですが。
<余談>展覧会巡りにはいくつか定番コースがありますが、この資生堂ギャラリーとポーラミュージアムアネックス、大日本印刷のギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)が(個人的に)銀座3大フリーギャラリー巡りとなっています。この界隈は汐留のパナソニックミュージアム、銀座松屋の展覧会、京橋のアーティゾンミュージアム(ブリジストン)や丸の内の静嘉堂(三菱)、有楽町の出光美術館など、企業関係美術館が充実しているので、どれかに行く時には周辺の展覧会情報をチェック。
加えて最近は三の丸尚蔵館が開館したし、そこまで行ったら竹橋の東京国立近代美術館が・・・いや、竹橋だったら東西線から銀座線乗り換えて三越前の三井記念美術館か?と毎回、どう組み合わせると効率良く、でもボリュームバランスもほどほどに鑑賞できるのか、カレンダー見ながら悩んでます(でも楽しい)。
<おまけ>ということで、この界隈のフリーギャラリーで良かった作品を。