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元FAA試験官として思うこと(任命前の実地試験のデブリーフィング編①)

元FAA試験官として思うこと(任命前の実地試験のフライト試験編)では試験官候補生へのFAA審査官のフライト試験の内容について少し書いてみた。

今回は最後のチェック項目である「デブリーフィング」をどう実施するかについて書いてみる。

審査官に対してデブリーフィング!?

受験生である玉那覇から「試験官としてのデブリーフィング」を実施した。

FAAからの指導により、実際の試験では、プライバシーの環境を確認した上で試験結果を伝えるとされている。ここで初めて担当教官の同席が認められる。受験生本人と担当教官への指導タイムとなる。担当教官からしてみればスクールのチーフインストラクターからの指導に加えて試験官からのフィードバックがもらえる絶好の機会。

審査官へ試験結果を伝えた後に、試験中に使用したPlan of Actionにメモした内容に基づき試験内容について話していく。

審査官はひたすら聞いている。(後からの反撃が怖い...笑)

そして審査官から質問「3つの試験結果とそれぞれに必要な実施項目を説明しなさい」と。

そう、試験結果には3つあり、それぞれに実施する項目が変わってくる。

合格の場合

Temporary Certificateの発行の準備をする。受験申請はオンライン化されているので、ネット上で臨時免許証の発行の準備をする。

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印刷された用紙にサインをし、有効期限が120日であることを伝え、期限が切れた時の処置方法について説明をし、必要があれば受験生のログブックにサインをする。

仮免許制度!すぐに実務で使える!本免許を待たなくていい!

不合格の場合

Notice of Disapproval of Application、いわゆる不合格の通知書。

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ACS基準に達しなかった点を明記する。ACSを使って明確に理由を説明する。この書類を持って再試験を希望する際には、この書類の有効期限を明確に伝える。

試験開始前に提出された学科試験の合格通知書があれば受験生へ返却し、ログブックへ希望があればサインをする。

特筆したいのは、再受験時にはここに明記された箇所だけをやっていいということ。ただし、これを別の試験官へ持っていったところで、その部分だけやることはほとんどないと思っていい。あくまでもこの試験官に戻ってきた時だけの特例と思っていい。

不合格内容にもよるが、同じ日(不合格になった同日)に再受験も可能な制度。

受験生の立場になって国の代理サービスを提供するという意識が根底にある。

試験中止の場合

Letter of Discontinuance。試験が何からの理由で中断せざるを得なかった場合に発行される書類。

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前提条件として、その時まで実施された内容はACS合格基準に達しているということ。その状況を明確に記載しておき、再度試験実施の時に使用するというもの。

試験開始前に提出された学科試験の合格通知書があれば受験生へ返却し、ログブックへ希望があればサインをする。

こうやって全ての作業を終え、あとは審査官からの審査結果とデブリーフィングを待つだけ。



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