FAA CPL取得のための超オススメのタイムビルディング②
FAA CPL 取得のための超オススメのタイムビルディング①では飛行時間250時間のためのシミュレーター(FAA AATD)の有効活用をしましょうとお話ししました。
今回はそもそもFAAがCommercial Pilotに求めていること、どんな訓練をして欲しいのかを推察してみることとします。
FAA Part 141から読み取れること
FAA Part 141とは日本で言うところの航空局航空従事者指定養成施設のことです。国が定めた基準で教育を提供している施設で様々な規制で縛られています。
下の例はFAA Part 141のシラバスです。ここから読み取れることを解説します。STAGE IVという最初の段階のほとんどがクロスカントリー(以下:クロカン)になっているということです。このシラバスの全フライト時間が120時間のうち42時間、割合にして35%もの時間が最初の段階STAGE IVでクロカンということです。しかもSTAGE Vでのクロカンはゼロです。STAGE VIでもわずか2時間です。
引用元:Jeppesen Commercial Training Syllabus
STAGE IVの最初に3〜4時間の教官同乗の昼夜のクロカンを終わると、立て続けに7回のソロのクロカンが計画されています。しかも3〜5時間という長時間のクロカンです。最後の方で教官同乗クロカンとソロクロカンを混ぜて、このステージを終わります。
要はPrivate PilotコースやInstrument Ratingコースで学んだ基礎をしっかり最初の段階で実践してみましょう。ということです。
ではPart 61ではどうか?
FAA Part 61から読み取れること
Part 141のような航空局からの縛りはほとんどありません。アメリカでは教官資格を持った者が自由に教育を提供できる環境が法的に認められています。個人のフリーランス教官も大勢います。そこに日本で言う、航空機使用事業免許なんてものはありません。もし仮にあったとしたら今のようなアメリカの航空の普及はあり得なかったでしょう。耐空性を持った航空機を使用して航空局が発行した教官資格を使って、その教官の裁量で自由に訓練が提供できる。自由競争の中で航空普及が発展してきたのです。
Jeppesen、Sportys、Gleimなどから発行されているシラバスは全てPart 141向けのものです。それをPart 61では参考として使っている例がほとんではないでしょうか。
FAA FITSにはPart 61でもPart 141でもPart 142でも活用できるシラバスが公開されています。ここでもFAAの考える事が見えます。
Commercial Pilotの例をみてみます。
FITSとはFAA Industry Training Standardsの略です。航空局と航空機メーカーやアビオニクスメーカーなどの航空産業や航空大学などの学術団体が共同で開発した標準化された訓練で、特徴としてはシナリオが組み込まれているという点とシミュレーター訓練が組み込まれている点です。
下の例でみてみましょう。前提はpart 141と同じPrivate Pilotコースを終え、Instrument Ratingコースを終えた方々への訓練となります。
引用元:FAA FITS Generic Commercial Training Syllabus
11回のVFR訓練の内9回がクロカン、7回のIFR訓練に至っては全てがクロカン、合計25回のレッスンのうち16回がクロカン、割合にしてなんと64%です。それくらい重要ということですね。シナリオに基づいて実際に目的地に飛んでいく技術がプロパイロットとしては必要ということです。
シラバスの詳細をみてみると以下のようなフライトがてんこ盛りです。
VFR Cross Country Flight Lesson
VFR Cross Country Flight Lesson at Night
IFR Emergency Mail Delivery Mission
IFR On-Demand Air Charter Mission
IFR High Density Airport Flight
IFR On-Demand Life Flight Mission
Part 141もPart 61も同じ。FAAとしてはクロスカントリーの知識と技術をしっかりと押さえておきなさい!ということなのです。
そのクロスカントリーをシミュレーターと実機を組み合わせ効果的にやってみませんか!と言うのが次回のテーマです。
次回のFSOパイロットクラブメンバーシップデイは下地島空港訓練センターで実施し、今回の「超オススメのタイムビルディングシリーズ」の全貌をお話しします。