フライトシミュレーター真面目な活用法①
新年となり改めてなぜフライトシミュレーター事業をしているのかを考えてみた。
その原点を書き留めておきたい。
30年以上も前にパイロットを目指してフライトスクールの門をくぐった時代はインターネットもない頃だった。座学教官からテキストを解説する授業。飛んだこともない飛行機、みたこともない計器類、なにをどうすればどう変わるのか?
VORの授業の時には限界が来た。全く分からない。結局教官からは「乗ればわかる!」笑ってしまった。
今でこそインターネット上には動画はもちろん、無料で使えるVORシミュレーターがあって便利になった。
活用法① 座学で活用する
座学教官という立場から
シミュレーターを使って何をどうすればどうなるのか、という解説がやりやすくなる。テキストだけでは理解してもらえない、つまり過去の人生経験において経験したことのない領域を解説するには「乗ってみる」「体験してみる」しか方法がないのだ。
気温が変化した時に飛行機の性能がどう変化するのか?
High Density Altitudeからの離陸って本当に危険なのか?
Icingになったらどうなるの?機体のコントロールは?計器の表示は?
LiftやDragが可視化できるモードにすると失速やスピンの理解が早い
重量や重心位置が変化した時は飛行機の性能や動きはどう変化するのか?
重量や重心位置が限界値を超えた時には本当に危険なのか?
雲の量を変えて雲上飛行をしてみる。地上の見え方が変わってくるのが分かる。
視程を変えてみる。航空法のミニマムってどんな感じ?ミニマム下回るとどんな感じ?
ナビゲーションの授業では2次元の航空地図を3次元で体験すると見えるところ見えないところが明確になる。
これはほんの一例。
教官の事前準備の教材研究でいくらでも出てくること。
常に訓練生の考えていることを想定して分かりやすくするための方法を模索する。訓練生の表情や目の動きから理解しているのかしていないのかは分かる。
最初から全てを見せるのではなく、訓練生に疑問を持ってもらうシナリオを出す。あれ?と考え始めてからシミュレーターを使う。
訓練生の理解を深めるための流れを作り出してあげる。
動画を探して見せるよりはるかに効果的。意外とかかる動画を探す時間も不要。
訓練生の立場から
学習したことをやってみる。すぐにやってみる。疑問が出たら試してみる。
飛行機を壊してもいいから。墜落してもいいから。そうやって危険な領域を体験していく。
火の危険性を学ぶのに火傷をすると一生忘れないはず
自転車乗るのに教科書では乗れない
これらのほとんどが携帯端末のアプリでできるようになっている時代
活用しない手はないはず