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元FAA試験官として思うこと(任命前の実地試験のオーラル試験編)

元FAA試験官として思うこと(任命前の研修会編)では試験官候補生へのFAA研修会の内容について少し書いてみた。

今回は最終フェーズとなる実地試験について、特にオーラル試験について書いてみる。

FAAから連絡が来る。「あなたは候補者として選抜されました。〇〇航空局審査官と試験を受けてください」というような内容の連絡がくる。

試験がFAA本部の審査官!

普通は所属する地域のFlight Standards District Offices (FSDO)に呼ばれるのだが、玉那覇の場合FAAAirman Certification本部だった。玉那覇の所属は日本なので、日本含むアジア地区を管轄するのは当時にSan Francisco International Field Office(IFO)だったのに...

おそらく日本人を試験官として任用管理するのが初めての事だったので、任命責任を本部に押し付けて(笑)....って思惑?

そうやって渡米し、FAA航空従事者監督本部があるオクラホマに行き、指定された空港とスクールと飛行機を確認。試験は通常の試験と同じように受験生が機長となるため、事前に飛行機のチェックアウトを実施。チェックアウトするインストラクターからはGood Luckと言われてサインオフ完了。

FAA審査官からは慣れ親しんだC172を指定されたのはいいが、初めての空港で滑走路3本で当然管制塔がある状態。正直飛ぶ前はドキドキしていたが(笑)嘉手納基地よりは楽だったというのが正直な感想。3本あるけど一本は横風用でほぼ南北にある二本の滑走路なので嘉手納と一緒だし、嘉手納よりはトラフィックも多くないし、嘉手納みたいに軍用機の周波数が聞こえないということもないし。いいとこで練習できたなと少し安心。でも試験の目的は自分が飛ばすことじゃないからと言う一方で緊張感も!

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Plan of Action

実地試験の際に試験官のバイブルとなるものがAirman Certification Standards(ACS)(当時はPTSだったが)

ACSに記載されたルールに基づき指定された内容を全項目網羅することは当たり前だが、その順番は実施する試験官に任されている。順番はその空港や周りの環境によって変わるから。試験官が考えるベストのシナリオでやっていいというFAAの考え方。その流れをまとめたものがPlan of Actionと言うもの。

一般的な最初のPrivate Pilot Single Engine Landの実地試験では11のArea of Operationsがあり、その中にさらにTasksが指定されている。

毎回新しいPlan of Actionを用意する。毎回反省点が出てくる。その修正を入れる。これが結構大変。試験官になってみて感じたこと。

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実地試験のオーラル試験の前の確認事項

PrivateからCommercialやATPと言った実地試験のオーラル試験は受験生の知識や判断力を確認するため、試験官はその目的にあった質問をするのが一般的。

Flight Instructorの試験になると少し変わって、試験官が訓練生の役割となって「教えてください」というように質問の方法が加わる。

試験官のオーラル試験とは、研修会で学んだ事でもあるし、これまで玉那覇自身が受験してきた試験官の役割をデモンストレーションすることに尽きる。

おそらく受験生として経験してきたことかもしれないが、試験実施前に確認すべき書類や口頭で説明する説明事項など。あああのことか!と気づくパイロットの方々もいるだろう。

国が発行する国家資格を民間人にその権限を委託して実施するというぶっ飛んだアメリカ。なのでその法的に確認すると言う事はとても大切なこと。

ここでミスしようものなら即試験不合格でさよなら。おそらく2度と呼んでもらえないだろう。

研修会で使用したチェックリストにしたがってくまなくチェック。当然相手はFAA航空従事者試験監督本部の審査官なので、受験生役をしながら、しっかり上から目線でチェックしているのがわかる(笑)

書類確認と必要な説明を終え、ようやくPrivate Pilotの模擬試験が開始。

実地試験のオーラル試験

これも研修会で使用したチェックリストと研修会で学んだPlan of Actionをこの日のために作り込み質問開始

全てを網羅して、それぞれの回答に対しての質問を入れる。と言う方法をとっていく。慣れないし、緊張しているし、何より、質問に対しての審査官の回答に対応するのが本当に大変だった。

正解!と言うのもあれば、中途半端な回答もあるし、え?と言う回答もあるし、明らかにこちらのパイロットとしての知識と、試験官という知識を引き出す質問ができるかどうかを試しているとしか言えないような上を行っている回答ぶり。当たり前だけど(笑)

結局3時間以上もかかってオーラル試験を終了。

嫌な顔ひとつせず、淡々と質問に回答していく審査官。こっちは既にぐったり(笑)

公平性を保つのが試験の目的の一つでもあるが、ここまで民間人一人を信頼して国家資格発行の権限を渡す国ってどんだけ腹が座ってるんだろう。自由にシナリオを組んで実施する「日本流に言えばバラバラの試験」に文句を言う国民もいない。

アメリカ以外の試験官のオーラル試験ってどんな感じなのだろう?

次回はフライト編をお伝えします。

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