FITSコンセプトのパイロット訓練の流れ、これはもうブートキャンプの世界(笑)
FITSコンセプトのパイロット訓練は頭の、いや精神のトレーニング、いやミリタリーのブートキャンプの世界か(笑)
実際の流れをみてみましょう。
24時間前までに訓練生に対してレッスンとシナリオが提示されます。
課題提示
FAAのFITSシラバスのレッスンから抜粋して実施しますが、使用する空港はここで指定します。
FAA FITSシラバスのレッスンに指定された乗客に対して、重量と着座する場所を指定しています。
気象はリアルタイムのものを使用しますが、各訓練生の離陸予定時間の24時間前に入手できるデータで計画し、フライト直前に再度リアルタイムで確認します。
訓練生が持つForeFlight®︎の使用は許可しています。情報はどこから入手するのか?どんな情報があるのか?どう活用するのか?どう判断するのか?活用できるものは活用しましょう。
6種類のトリガーを準備しています。これは全てFAAが公開しているACS(Airman Certification Standards)のためのシナリオガイドに記載されているものから引用しています。
事前に訓練生に提示しておきます。訓練生は事前に全ての項目を準備しておくことができます。事前に準備させるよう「フェア」に訓練します。ただし、サイコロを振って(ここは遊び心いっぱいに)出た数字の項目のいずれかを模擬します。
ここで大切なのは、シミュレーターのセッティングを変えて、訓練生が気づくかどうかです。絶対に口頭で「〇〇が発生しました」と言う現実にはあり得ない状況を作り出してはいけないのです。
プランニング
与えられた課題を読み込み、情報を収集して、No or No-Goの判断を下します。仮にNo-Goであれば、そこはしっかりエビデンスは残しておいて説明に使用します。そしてGoになるように変化させて(ここがシミュレーターならでは!)プランニングを実施します。
航空機の整備状況を確認するためのチェックリスト(各訓練生が独自に作成しているはず)を用いて基本的にはNo Squawkの状態を模擬します。ただし、後述するシナリオトリガーで問題点を作られる場合もあります。
フライトルート上の気象情報とNOTAMを確認し、Weight and BalanceとTakeoff and Landing Dataを作り上げ、Navigation LogとFlight Planを作成します。
レッスンの確認
各レッスンに記載された目的と各項目の目標値にについてしっかり目を通して理解しておく。なぜなら、レッスン終了後にはこれらを自分で評価しないといけないから。
Pre-Flight Briefing
作成したプランとレッスンの目標値の説明を20分で実施する。
Flight
エンジンスタートから全て実機と同じように模擬します。もちろん途中のポーズはありません。
ペアリングをしているオブザーブしている訓練生も大事なポジション。第三者目線でしっかり勉強する。ペアリングの訓練生から学ぶ。新しい気づきもあろうし、自分だったらこうしたという意見もあるだろう。
帰りはほぼ同じルートを帰るから景色もしっかり見えおくことも大切。後から飛ぶ者はだから少し有利なので、順番は交互に実施する。
Post-Flight Briefing
訓練生の自己分析と自己評価。教官の評価との違いが勉強になる。訓練生の経験と教官の経験の違いがここで出る。訓練生はここで経験者の考え方を知ることとなる。これまでのように教官の評価だけを聞いているのと自分に響くレベル深さが違うと言うことは想像つくだろうか?ここがLearner Centered Gradingの考え方。
オブザーブした訓練生にも強制的に発言させる。気づきや意見を言う姿勢を養う。
参加者の声
FSOパイロットクラブに所属するFAA CFIのコメント(原文のまま)
「自分の訓練を振り返ってみると、タイムビルディングにあててた50時間は「飛行時間を稼ぐためのフライト」になっていて、パイロットとして成長していくためのトレーニングにあってていなかったなと思いましたね。。。事業用、インストラクターになって、この50時間の捉え方、やり方、って本当に大事なんだなと思いました。毎回のフライトをシナリオベースで考え、目的を持ってタイムビルディングをしていけば今持っている経験値ももっと上がっていたんだろうな〜っと後悔しています。笑」
玉那覇としては実機で飛ぶ50時間は非常に貴重だと考えます。そこにFITSコンセプトを取り入れることで効果がアップすることを理解してただき、今後の教育指導に役立てていただければ嬉しい限りです。