FITSコンセプトのパイロット訓練は頭の、いや精神のトレーニング(笑)
今回は訓練の様子をシリーズ化してお届けしていきます。
Scenatio Based TrainigとかSingle Pilot Resource ManagementとかLeaner Centered Gradiigと言うFITSコンセプトを発表してすでに10数年経ち、Jeppesen始め多くの教材もその手法を取り入れてかなり普及してきましましたが、実機中心のスクールの現場では中々シナリオを入れ込むと言う事に苦労しているようです。やはりどうしても従来型のSkill Based Trainingをやらざると得ないのが現状です。
それも理解できます。決められた時間内に絶対必要となる操縦技術を習得させると言う教官の使命感があり、そのフライトの中で起こる、もしくは起こりうる事(シナリオ)に留まざるを得ない状況ですから。
訓練生の立場からしても、資格取得を短時間にできるだけ安くとりたいから、「余計なことは」したくないわけです。実際やらなくても免許取れますから。
でもFAAが飛行機の性能も自動化も進む中減らない事故をどうしたらいいか?と言う事を作った側の飛行機のメーカー、アビオニクスにメーカー、そして航空大学との産学官共同研究の成果がFITSであり、それを活用しない手はないはずです。
Scenario Based Training
「全てのフライトには目的がある」というのが考え方です。技術をマスターして資格を取得するだけで訓練が終わってしまって、その後のフライトで初めて遭遇する様々なシナリオ。遊びだったり、仕事だったり、友達と約束していたりと言う訓練では経験したことのない「当たり前のこと」をリアルに考えましょうと言うことです。
ポイントは、行く理由があって、行きたいんです。飛びたいのです。しかも普段訓練しているエリアを超えて飛ぶ可能性があるのです。宿泊を伴う数日間という事もあり得るのです。そこに友達と約束してたり、数日間のトリップを終えて仕事があることもあるのが日常です。そんな時に普通の判断できると思いますか?これがExternal Pressureと言われるものです。
「可能性のある問題」を想定しておくことも必要です。搭乗者の問題かもしれない。飛行機の問題、気象の問題、空港の問題他。
Single Pilot Resource Management
刻々と変わる状況を把握し、判断し、行動に移し、結果をみてさらに検証し、なんてことを次々にやっていかなくてはいけない空の世界。
車のように路肩に止めて考えてみようということができないから。
その方法をシステマティックに考え、使えるリソースをどう活用するのかというのもテーマの一つ。
Learner Centered Grading
FITSが登場する前は評価方法は教官からの評価でした。1から5という数字式もあれば、評価基準に達したか達していないかという方法もあります。
FITSは訓練生がなんのために訓練をして、それぞれの科目で何が求められているのかという事を理解しておくことから始まり(ここまでは従来型と同じかも知れない)、訓練後に「訓練生の主観でできたかできなかったか」を判断させることがFITSが提唱した評価方法なのです。
言われたことをやるのではなく、意識的に自主的に訓練を受けることの意識改革をさせているのです。
訓練生の評価の後に、教官の評価を比較します。その差を埋めるのがデブリーフィングなのです。
そんな開始にあたって訓練生の様子がこちら👇
訓練生の声はこちら👇
「飛行プランをつくるだけでなく、飛行中に起こりうるトラブルをあらかじめ想定し、それに対処出来る訓練をこの50時間訓練では目指しています。また、パイロット同士で下す決断も違ってくるので、価値観の共有を培うこともできます。アメリカの本場の訓練でもそこまで想定しているシラバスはないと思います。」
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