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Keith Tunerと互換品(追記あり)
バンジョーの弦のチューニングを故意に変えてメロディにする奏法、これはEarl Scruggsが彼の名を冠した「Earl’s Breakdown」で披露してから知られるようになったのですが、最初は普通の糸巻きを操作しチューニングを下げては元の音程に戻して、という作業を曲中に(まさに曲芸ですが)行っていました。
その後・・
此の動画のようにカム式のチューナー(チェンジャー)が開発され、曲芸の必要性は無くなったのですが、カム式のチェンジャーについての詳しいお話は下記を参照してください。
カム式が開発されたので、2弦の上げ下げだけでなく3弦も変化させることが出来るようになり、名曲「Flinthill Special」が出来ました。
スクラッグスの生まれ故郷の町の名前に因んだ曲名です。
カム式はバンジョーのヘッドストック部分に穴を開けて装着する必要があり、穴の位置や取付の技術に素人では難しいところもありました。そんな時に、メロディック奏法で有名になったBill Keith氏によってキース・チューナーが開発され、糸巻き内部に2つの音程間を上げ下げ出来る装置が組み込まれ、糸巻きを交換するだけで(バンジョー本体には何も手を加えることなく)音の変化を作り出すことが出来るようになったのです。
上のピッチに合わせ黒色のツマミを締め、次に一旦下げたピッチで銀色のツマミを締めると2音の間だけペグボタンが動くようになります。
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次第にスクラッグス以外の奏者も此の装置に注目するようになって、Allen Sheltonのこんな楽しい演奏も発表されたんですね・・
目敏い日本のメーカーが早速此の糸巻きをコピーして作り、当時ブルーグラス系のギターやバンジョーを製造していた春日楽器の高級機種に装着されるようになりました。おそらく、日本が誇る世界的な楽器部品メーカーの後藤ガット社の製品であろうと推測されますが、諸般の事情により製造中止となり、詳しい話は今となっては「闇の中」になっています。
Kasuga by Gotoh
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Schaller製
ドイツの楽器用部品メーカーのSchaller gmbh(シャーラー社)も同じ作動をする糸巻きを考案しましたが、何故か最近の公式HPでは製品一覧から外されているようです。ドイツ製とはいえ作動は正確さに少し欠ける印象がありました。
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Keith: 外径19mm 筒長16mm
重さ53g
Kasuga: 外径20mm 筒長16mm
重さ57g
Schaller: 外径19mm 筒長16.5mm
重さ59.5g
⭐︎KeithとKasugaの側面ネジは互換性がある
⭐︎Keithのペグボタンは任意の位置へ変えれます
⭐︎Kasugaはシャフトが長方形のためペグボタン位置は変えれません
⭐︎Schallerはシャフトが正方形のためペグを90度変えることが可能
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![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/145140075/picture_pc_399936b9668476918fe6fd33ed26375c.jpg?width=1200)
さて、Bill Keith氏が亡くなってチューナーの入手が出来なくなるのか?心配でしたが、息子さん達が協力されて製造を継続しているのは大変嬉しい限りです。
なお、日本国内でBeacon Banjoの代理店をされていた「スコーピオン」の梅本氏、最近HPに繋がらないのですが、詳細をご存知の方がおられましたら、情報を知りたいので宜しくお願い致します。
(追記)梅本氏は亡くなられた、という情報をいただきました。
ご冥福をお祈りします・・
(追記2)ご存知の方が居られるかもしれませんが、先日某フリマサイトにKasuga by Gotoh? を出品し、或る方に購入して頂きました。ところが・・「作動が不正確」とのことでキャンセルになってしまったんです。
出品前に作動確認は出来てたので、何故だろう?と大変気になってたのですが、先程、返送されて来たチューナーを手持ちの楽器に装着してみたところ、全く問題なく作動しています。購入者の方もベテランのようで、使い方が間違っている様子でもないみたいですが、念のためKeith Tuner系のペグの取扱方法を再確認しましょう。
1: サイドのネジはピッチ設定した位置で充分締めること
2: ペグボタンの上部(楽器に取付たら下かな?)ネジも締めますが調弦やチェンジャー作動時に支障のない程度にする
3: ナット溝は弦の滑りに抵抗がないようにメンテナンスする
4: 楽器本体への取付のナットもペグがガタつかないように充分に締める
5: 弦をストリング・ポストに巻く時はMartin巻きなどの緩みの無い方法で巻く
など基本的な扱い方でした、では楽しいチューナーライフをお祈りしています・・