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音楽と英語


音楽を勉強しよう、と思えばイタリア語とかドイツ語ではないのか?
そういった古典的な見解を理解しない訳ではありませんが、僕のnoteを読んでくれている大半の読者層は、ポピュラー音楽のしかも米国ルーツ音楽に興味がある方々だと思いますので、クラシック音楽やそれに関する周辺の、楽器だとか録音技術やプロデュースなどの仕事は今回は敢えて触れません。あくまでアメリカン・ルーツ・ミュージックと其の周辺に限定した話と思って読んでください。

ですから、僕らの演奏しているジャンルの音楽は楽曲は勿論ですが、例えば楽器の情報・・中古品の売買や修理に必要な工具類の紹介とか、特にメンテナンスに関する技術的なノウハウを得ようとすれば英語を学ぶのは必然です。私が随分前に京都で店を構えていた頃、高校生と其のご両親から「楽器職人になりたい」とご相談を受けたことがありました。その時も「とにかく英語を勉強しなさい」とアドバイスしましたし、2024年の現在でも「刃物を研ぐ技術と英語」が大切だと思っています。
最近ではNCルーターのプログラミングの方が大事かも知れませんね・・笑笑


[楽器と英語]
おそらく多くの方が、中古楽器の情報としてCarter Vintage GuitarsとかElderly Instrumentsの入荷状況をご覧になっていると思います。もちろん在庫数も多いし写真が綺麗に載っているので観てるだけでも楽しいですが、もう少し田舎の「日本人が滅多に立ち寄らない楽器屋さん」の情報も見てみましょう。そんな店ってどうやって調べたら良いのか?ここで役にたつのが昔ながらの紙媒体、アメリカから音楽関係の雑誌を何種類か取り寄せてパラパラと広告を見てみると「面白そうなお店」が見つかると思います、手当たり次第に手紙を送ったら、きっと何社かからはお返事がある筈です。

ebayでよく見かける「米国外は発送しない」という品でも、丁寧にメールを書いて「長い間探していたので是非にお願いしたい」と連絡したら「分かった、送料を調べてみよう」と返事をくれる出品者も少なくありません。

英語で得られる楽器製作やリペアに関しての情報は、工具や部品などでお馴染みStewMac社のサイトや動画が参考になります。用事のない時でも英語の動画を流して「英語漬け」にしておくのも脳内を英語で思考する環境整備のためには良いと思います。


[脳内英語化]
実は偉そうに言う僕も、最初1970年代に渡米したのですが、其の時は現地で全く自分の英語が通じないショックを受けて落ち込みました。でも数週間経つと不思議なことに思考回路が英語になって来たのを感じたのです・・
どういうことかと言うと、或る日のライブの前に少しアガり気味で緊張してたんでしょう、その日伴奏してくれる現地のギタリストから「Are you getting nervous?」と尋ねられて、それまでだったら「nervous」とは、神経質という意味だから・・返事はこんな風に・・云々と頭の中で考えていたのだけど、その時は「そうか?この感覚がnervousなんだ」と気がつき、それからはいちいち日本語に翻訳して考えて、返事を日本語で作文して、それを英語で書くとどうなるか?という思考回路が、英語で理解して英語で考えてそのまま返事する、という流れが不思議だけど其の時は出来ていました。

今でも英語で思考回路が働くか?実際のところおおいに疑問ではありますが、要は子供が母国語を身につける過程と同じように、物体と固有名詞をリンク付けしながら単語を覚え、自分の意思を聞いたことがある単語で表現する、という作業なのですね。分からない言葉は子供なら無邪気に「何ぁにぃ?」って尋ねられるところが、大人になると変に自己保身があるのか聞けない、尋ねられない、ので其処でストップしてしまうからかも知れません。
(参考に・・)


[英語の歌]
もひとつ大事なこと、英語の詩は単語の持っているリズムですから、例えば「Virginia」を「バージニア」と発音しても通じません。「ヴァヂニァ」もちろんヂがアクセント位置です。ジョンデンバーの名曲「Country Road」にも出てくるのでお馴染みだと思いますが・・英語の唄で単語やアクセントを覚えるのは楽しいですし、是非歌詞を覚えて(レパートリーも増えて一石二鳥なので)英語のリズムで歌いましょう。



脱サラで起業し、特別な仕入れルートも無いまま、インターネットが未だ一般的でなかった時に、英文の商用レターで何社にも在庫リストの提示をお願いしたり、修理や調整の方法のアドバイスを求めたり、古典的な「お手紙」の遣り取りでスタートしたスモールビジネスが30年近く継続出来たのは、苦手な英語を敬遠せずに(辞書と例文集を片手に)取り組んで来たからに他なりません。

アメリカン・ルーツ・ミュージックを聴いて、演奏して、それらの楽器を愛好する趣味の方々は、英語をもう一度(勉強すると言うと大層なので)身近なところに置いておくことをお勧めします。

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