元カレ
「君にとって僕って一体なんなの?」
「はい?」
「元恋人?それともただの知り合い?友達ではないし、どういうポジションかな?」
「そんなこと聞くためにわざわざウチまで来たわけ?」
「僕にとってはそんな事じゃないよ。大事な事なんだよ。」
「大事なことって…元恋人だけど今はただの他人でしょ。」
「そうか。元恋人…。それじゃあさ、この恋に続きはあるのかな。」
「無いわよ。」
「決めつけるなよ。」
「だいたいあなたから別れようって言いましたよね?」
「それは…そうだけど…そうじゃないんだ。」
「意味分かんない。帰って。」
「待って!頼むよ。話を聞いてくれ。」
「話すことはありません!」
バタン。ガチャ。ガコッ。
「待って、開けてくれよ!…
なにもドアガードまですることないじゃないか。」
「帰って」
「それだけ感情的になるということは君も少なからずまだ僕に対して特別な感情があるということだよね?」
「…はあ?何言ってんのほんとに。
でもまあ、そうね…あると言えばあるわね。」
「ほらね。やっぱりあるんだ。」
「特別死ね!!って感情がね!!帰れ!!」
「あはは。やっぱり君はおもしろいや。」
『あのー...ちょっといいですか』
「はい?なんですか?警察が僕になんの用ですか?」
『通報がありまして。ストーカー行為をしてる男性がいると。』
「ご苦労さまです。思い当たる節が無いので他を探してください。」
『いや、どう見ても怪しいんですよね。ちょっと一旦署までご同行願えますか?』
「何を言ってるんですか。行きませんよ僕じゃないんですから。」
「刑事さんその人ストーカーです。
がっつりストーカーです。」
「やめろよ。違うだろ僕は君の元恋人だろ。」
『元恋人がどうして家の前まで押しかけてるのかな。やっぱり一緒に行こうか。』
「刑事さん。元恋人は元恋人の家に押しかけることもありますよ。元恋人なんだから。」
『君ねえ、元恋人ってもうただの他人だから。
他人の家に押しかけたらだめだから。』
「あはは。他人?さっき彼女もそのような事言ってましたけどね、元恋人は元恋人ですよ。この間まで恋人だったんだから他人なわけないでしょ。」
『いや、彼女が言ってたんならもうそうじゃない。君もね男なら潔く身を引きなさいよ。』
「刑事さん、男だということが身を引く理由にはなりません。
僕らはまだ引き返せるんだ。現に彼女もまだ僕に特別な感情があると言っていました。」
「特別死ねっていう感情がね。」
『こりゃ引き返せそうもないね。』
「刑事さん、引き返すんじゃなくて先に進むんです!二人で続編を作るんです。」
『君が引き返すって言ったんじゃないの。
なに続編って。』
「刑事さん早くその人連れてって下さい。」
『ほら、行こうか。』
「サトミちゃん!好きなんだ!」
「無理!気持ち悪い!」
「ええ…サトミちゃん…」
刑事は男の肩に手を置いた。
『大丈夫大丈夫。話聞くから。』
「刑事さん…」