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パラグライダーの競技「パイロンレース」とはどんなものか。
パイロンレースは、パラグライダーでもっともポピュラーな競技です。
どんなスポーツでも、
競技(試合) = ゲーム = 楽しい = 技術向上
という側面はあります。
サッカーでも野球でもバスケでも水泳でも卓球でも自転車でもスキーでも、競技性を持っています。だからこそ、そのスポーツの技術が上がり、盛り上がるんだと思います。
友達とバスケしてても、試合(ゲーム)って楽しいですよね。
人数がたりなかったら3on3にしたり1on1にしたり、実力差が大きかったらハンデキャップを考えたり。
自分たちが楽しむために自由に形やルールを変えています。
パラグライダーも、パイロンレースというゲームをもっと身近なものとして取り入れて欲しいです。
そうすれば、もっと楽しくなるし、上手くなるし、仲間と楽しみを共有できるし、良いことばっかりです。
とはいえ、ただ僕が思っているだけでは広がっていかないので、まずはパイロンレースってなに?というところから記事にまとめていきます。
▶ パイロンレースとは?
GPS機器の「位置情報(軌跡)の記録」と「ナビゲーション機能」を使ったスピードレースです。
パイロンというターンポイント(チェックポイント)を、その日の気象条件に合わせた距離やルートになるように順番に指定して設定したルートをタスクといいます。
パイロンレースは、このタスクをゴールまで飛ぶ時間を競う競技です。
国内のレースは通常、数十キロ(20~80km程度)の距離で行われます。
イメージとして、白馬八方フライトエリアでのタスクのイメージ画像を作って見ました。
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テイクオフ後、パイロン①→パイロン②→パイロン③を順番に通過してメインランディングがゴールです。
(SSSとESSに関しての説明は後述します。)
▶まずはタスクを決める
パイロンの役割
パイロンとは、タスクのターンポイント(チェックポイント)を示す仮想のマーカーです。
地上に固定されたGPS座標で示されてリスト化されています。そのリストを事前に選手のGPS機器に登録しておきます。
パイロットはこれを決められた順番に通過してゴールを目指します。
シリンダーで通過距離を設定する
パイロンごとに決められたシリンダー(パイロンを中心とした半径)の内側に入れば「通過した」ということになります。
通常のターンポイントとしてのシリンダー半径は400m程度ですが、、用途や目的によって数kmに設定されることもあります。
パイロンとシリンダーのイメージはこんな感じ↓
実際には高さに上限はないけど、見た目を分かりやすくするためにシリンダーをある程度の高さまでにしてあります。
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タスクは誰がいつ決める?
大会ごとに事前に選手の中から選ばれた数名が競技委員長と一緒に、競技当日の気象条件を確認&予測しながらタスクの内容を決定します。
タスクを決めるメンバーをタスクコミッティーと呼びます。
タスクコミッティーが決めたタスクによって、その日のレースの面白さや満足度が大きく左右されてしまうので、責任重大・・・。
なので、選手たちの承認を得て選ばれます。
GPS機器の設定は超重要:
決められたタスクの内容を自身のGPS機器に入力したら準備完了。
もしも、この時の入力が間違ってたら・・・
間違ったナビゲーションが表示されてしまうので、戦線離脱確定。
なので超重要。
最近はQRコード読み取り機能が搭載されている機器も多いので、公式に配布されたQRコードを読み取れば確実&ラクチン。
-ルール&用語の基礎の基礎-
▼SSS:
Start of Speed Sectionの略。スタートシリンダーとも呼ばれる。これが仮想ののスタートラインになる。
▼ESS:
End of Speed Sectionの略。基本的にはゴールラインとは別であることが多い。設定される理由は、安全のため。この仮想のラインを通過した時点でタイム計測が終了し、その後ゴールライン(ゴールシリンダー)を通過することでゴールが成立する。
▼スタート方式:
いくつかのスタート方式があるが、よく使われるのは2つ。
▽ゴールレース(Race to Goal)
スタート時間が決められていて、全員が一斉にスタート。誰が速いか分かりやすい。
▽エラップスタイムレース(Elapsed time)
決められた時間内ならいつスタートしてもOK。各自、スタートラインを通過したタイミングでタイム計測がおこなわれる。誰が速いか、集計するまで分からない。
▶あとはゴール目指して飛ぶだけ!
スタート時間を守り、決められたタスクをコンプリートして、ゴールまで飛んでいく。
準備さえ完璧にできていれば、やることはこれだけ。
パイロンレースの魅力
-スリルと興奮-
指定されたタスクをできるだけ速く飛ぶ競技です。
コンディションの変化を見極め、ルートを選び、効率よくかつギリギリのフライトが最適解となることが多く、普段とは一味違うスリルを味わうことができます。
-競技としての楽しさ-
様々な戦略や駆け引きで他のパイロットと競い合うことで、より高いレベルのフライト技術が身につきます。なにより勝利を目指す競争心が、フライトの楽しみをさらに引き立てます。
-仲間との楽しみの共有-
パラグライダーという遊びは、なかなか仲間たちと楽しみを共有することが難しいです。
けど、タスクという共通の目的を持って一緒に飛べば、飛んでいる時も、アフタートークも楽しさが共有できます。
ここが、僕のイチオシポイント!
フライトがさらに楽しくなるし、一緒に飛ぶことで経験値も倍増して上手くなれるし。ホント良いことしかない。
一人で飛んでいると絶対に分からない”正解”も、複数人で同じ時間/同じ場所を飛べば、おぼろげながら見えてくる。
自分がイメージした正解の通りのフライトが出来たとしても、他の誰かは自分ではイメージすることさえ出来なかった選択で別の正解を叩き出す。
”ありあえない”と思っていた選択が実は正解だったり。
そんな奥深さが、目に見えない風を相手に遊ぶパラグライダーの魅力の一つであり、飽きない理由だと思う。
初心者へのアドバイス
最低限の準備
パイロンレースに出場するにしても、仲間内でタスクを設定して楽しむにしても、最低限の準備は必要です。
まずはGPS機器を準備して、使い方に慣れましょう。フライト中に機器の見方や使い方に気を取られていると危険です。
パイロンレースに対応してるGPSバリオを持っていなくても、Androidスマホ(タブレット)があれば大丈夫です。XCTrackという無料の神アプリがあります!
基本的な使い方を紹介した記事も書いているのでどうぞ。
安全第一
競技となると普段はしないような無理をしてしまうものです。それをするなというのも難しいですが、、、競技といってもしょせん遊びです。楽しみのために必要以上のリスクを冒すことがないように、家族や恋人の顔を思い浮かべながら飛びましょう。
実際、僕も アドレナリン出まくってるな と感じた時にはそうしてましたが、思ったよりも効果的で、冷静になれます。
以上がパイロンレースの説明とススメです。
この記事を読んで、パイロンレースに興味を持ってもらえて、大会に出たり、ホームエリアで仲間たちと楽しんだりしてもらえると嬉しいです。