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スピードコントロールと滑空比の考え方|パラグライダー
この記事の内容が実際のフライトに直接役に立つかどうかは別として、パラグライダーの基本的な技術「スピードコントロール」を具体的にイメージするための考え方として紹介します。
先日、APPIのセミナーを受講させていただく機会があったので、その時の学びを自分に落とし込むために整理したものの一部です。
What is APPI
APPIの主な目標は、パイロットやインストラクターに対して、世界的に統一された教育システムを提供することです。
これは、APPIネットワーク内で世界中どこでも一貫した質の高い教育を受けられることを保証するものです。
(翻訳:ChatGPT)
スピードコントロールによる滑空比の調整
スピードコントロールってなに?
パラグライダーは、左右の手で持っているブレークコードをそれぞれ引き下げることによって、減速したり曲がったりして操縦する乗り物です。
なので、操縦自体がスピードコントロールではあるのですが、ここでは「スピードコントロールによって滑空比を調整する」という技術を指します。
滑空比(L/D)ってなに?
滑空比(Glide Ratio)は、パラグライダーが前方に進む距離を損失高度で割った比率のことです。どれだけ遠くまで飛んでいけるかを示す指標です。
![](https://assets.st-note.com/img/1716964484327-WCWBGZQ9H8.jpg?width=1200)
滑空比が10:1の場合、パラグライダーは10メートル進む間に1メートル下がるということです。
L/D(エルバイディー)とは、
「Lift(揚力)÷Drag(抗力)=L/D(揚抗比)」
というもので、滑空比(Glide Ratio)と同じことを表しています。
ようするに 滑空比10:1 = L/D10 ということ。
滑空比の調整とは
パラグライダーは、両方のブレークコードを引き下げて減速すると、「飛んでいける距離が短くなる」=「滑空比が小さくなる」のです。
これを利用して、主にランディングの際に、目標地点に着地できるように適度に滑空比の調整をします。
遠くまで飛んでいきたい時はブレーキをかけずに滑空比を大きく、近くに降りたい時にはブレーキをかけて滑空比を小さく、といった感じ。
▼具体的な数値でイメージする
多少現実とはズレますが、いろいろと比較する際に分かりやすくするため、下記のような数値に設定しています。
あくまでもイメージするための数字なのですが、それほど非現実的ではないはずです。気になる人は、これを参考に自身のグライダーで検証してみてください。
【仮定】
・無風
・トリムスピード40km/h(ノーブレーキ)
・トリムスピードでの滑空比8:1(L/D8)
・スピードコントロール = -15km/h
・減速による沈下率の変化は無し
![](https://assets.st-note.com/img/1716960796836-IsBZWtoKUP.png?width=1200)
上記の場合、対地高度20m地点でスピードコントロールをおこなうと、着地地点を「160m先」→「100m先」まで60m(37%)の調整することができます。
▼向かい風、追い風の影響を考えてみる
今度は、向かい風と追い風の場合、スピードコントロールによる滑空比の調整がどう変化するのか考えてみます。
風以外の基本的な仮定条件は上記と同じにして比較します。
注目するべきポイントは「調整できる幅(割合)」です。
![](https://assets.st-note.com/img/1716961717233-9zndCaGxTy.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1716961717283-ZlwFbIQLI3.png?width=1200)
スピードコントロールできる速度は風速風速にかかわらず-15km/hです。これは、数値はともかく実際と同様です。
同じ-15km/hなら速度が遅い状態の方が調整できる幅(割合)は大きくなります。無風だと37%だった調整幅が、向かい風が3m/s吹いているだけで50%も調整できるようになる。
ようするに、
「向かい風が吹いていればスピードコントロールによる滑空比の調整は効果が大きくなる」
ということ。
これが感覚的に理解できているかどうかがいろいろな場面でボディーブローのように効いてくるんです。
という話でした。
少しでもどこかの誰かの役に立てばうれしいです。