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天気予報の基礎知識|パラグライダーと天気予報①

今回は、パラグライダー初心者~中級者くらいのフライヤー向けの内容です。

ご存じの通り、パラグライダーの楽しみ方と天気(気象)は密接に関係しています。
単純な天気の良し悪しだけでなく様々な気象状況によって楽しさやリスクが大きく変化します。

パラグライダーにとって天気予報はめちゃめちゃ重要なのです。

もちろん天気予報は必ず当たるものではありませんが、天気予報というものの内容をしっかりと理解して上手く活用する必要があります。

気象的なリスク(天候の急変、雲の発達具合、高度による風向風速の変化など)があるのかないのか、あるとしたらどんなことにどの程度気を付ければいいか、など状況を把握しておくことで安心してフライト出来るようになりますよね。

「みんな飛んでるから大丈夫!」

と考える人もいるかもしれませんが・・・、自分の安全は自分で守りましょう。

ところで、フライヤーの皆さん、天気予報はどんな方法でチェックしてますか?

ほとんどの方は、スマホやPCを使ってインターネット上でチェックしていると思います。
とはいえ、ネット上には天気予報を提供しているサイトがめちゃめちゃたくさんあって、どのサイトを見ていいのか分からない人も多いと思います。

よく分からないけどなんとなく、いつも同じ天気予報サイトを見ていたりしませんか?

気象庁 天気予報、tenki.jp、ウェザーニュース、Yahoo!天気、NHK あなたの天気・防災、マピオン天気予報、GPV気象予報、SCW 、Windy、Sunny Spot・・・

これらの天気(気象)予報サイトの基本的な仕組みや特徴を理解して、有効活用できるようになりましょう!
この記事を読み終えた時から、自信をもって天気予報のチェックができるようになります!

なお、著作権の問題もあり、許可を取るのも面倒なので、今回はテキスト多めの記事となっています。


今日の結論 – 天気予報はこのサイトでチェック!-

なんだか長くなる気がするので、、、
結論から始めましょう!

今回は、天気予報を「天気図」「ピンポイント天気予報」「数値予報」の3つのジャンルに分けて考えます。

まずは各ジャンルごとにとりあえずこのサイトを見ればOK!
というリストをちょっとした解説と合わせてご紹介します。

天気(気象)予報に関する詳細は後半で書きますので、興味のある方はぜひ最後まで読み進めてくださいね。

天気図

▼地上(実況)天気図


▼週間天気図

天気図といっても色々あるけど、とりあえず地上天気図だけは必須。
実況天気図は気象観測データから作成しているので基本的にはどのサイトで見ても同じ。なので、見やすさの点で優れている(自分基準)上記の王道3サイトがおすすめ!

気象庁の実況地上天気図ページ

気象庁は48時間、tenki.jpは72時間までの予想天気図も確認することができます。
ウェザーニュースは予想天気図が有料会員用サービスですが、スマホアプリでは7日間の予想天気図が無料で見れます。

実況天気図の更新のタイミングは基本的に「1日7回、3時より3時間ごと」です。
理由は「観測データの送信は国際的な取り決めにより、世界各国で同時に3時間ごとに行われている」(気象庁公式サイトより一部抜粋)からだそうです。

予想天気図の更新タイミングはtenki.jpの場合は、
・1日後は、1日3回、5時30分、10時30分、15時30分頃
・2日後は、1日3回、11時、17時、20時頃
・3日後は、1日2回、11時、17時頃
と記載されています。

それよりも先の予想天気図が見たい場合は、「週間天気図」を提供しているサイトで確認しましょう。
来週までの大まかな気圧配置の変化が確認できますが、参考程度のデータなので好みのサイトを見ればOKだと思います。。
個人的には最近リニューアルされて天気図画像がキレイで見やすくなったバイオウェザーサービスが好きです。
画像がガビガビなのは見ていて気持ち悪いので苦手。

ピンポイント天気予報

ピンポイント天気予報もいろいろなサイトが出してるけど、1時間ごとの詳細が見れる3サイトをおすすめ。

この3サイトはそれぞれ別々の予報業務許可事業者(気象庁長官の許可を受けた事業者)が予報を出しているので、見比べる価値があります。

Yahoo!天気株式会社ウェザーマップからの情報提供ですが、自社で運営しているウェザーマップ天気予報ではピンポイント天気予報は発表していないので、ウェザーマップのピンポイント天気予報はYahoo!天気という考えでいいと思います。

これ以外のほとんどのサイトは情報提供を受けて天気予報を掲載しているだけなので、この3サイトをおさえておけばOK!

たとえば、マピオン天気予報の情報提供元は「株式会社ウェザーニューズ(ウェザーニュースの運営会社)」です。
しかし、更新頻度が売り(10分おき)のウェザーニュースの予報を「0時、4時、6時、9時、12時、16時、18時、21時」にしか更新していないマピオン天気予報は見る理由がないですよね。
マピオン天気予報とウェザーニュースの予報内容が違うのは、ウェザーニュースが10分おきに予報を更新しているからです。

3サイトともスマホアプリがあるので、アプリで見てもいいし、ブラウザでブックマークで見てもOK。

tenki.jpとウェザーニュースはブラウザでもアプリでも1時間ごとの予報が見れるので便利。
Yahoo!天気はブラウザだと3時間ごとしか見れないけど、スマホアプリを使えば1時間ごとの予報が確認できます。

予報がいつ更新されるのかも気になるところですよね。

▼サイトごとの更新時間

  • tenki.jp1日12回 0時より2時間ごと

  • ウェザーニュース10分おき

  • Yahoo!天気毎時

「コロコロ予報を変えやがって!」
「予報じゃなくて実況じゃないか!」

という気持ちになりがちですが、常に最新のデータで最新の情報を提供すると、そうなっちゃいますよね。
文句言ってごめんなさい。

僕らユーザー側もリテラシー(知識や能力を有効活用する能力)を高めて天気予報を活用しないとダメですね。

数値予報

基本的には気象観測データをスーパーコンピューターで計算して未来を予測することで天気予報の元となるデータを作っています。その計算方法(コンピュータープログラム)にはいろんな種類があり、それを「数値予報モデル(気象予報モデル)」と呼びます。

各数値予報モデルで算出されたデータを直接出しているのが「数値予報サイト」です。
数値を表にしていたり、画像やアニメーションにしたり、と様々な形で提供されています。

「天気予報」は、この数値予報やその他の情報を総合的に判断して気象予報士が話し合い決定するのです。

気象予報モデルは日本(気象庁)だけでなく世界各地で様々な気象予報モデルがあります。
そして、日本国内で提供されている数値予報サイトでも世界中のいろいろな気象予報モデルのデータを見ることができるので、ちょっとややこしい。

そんな数値予報は、このサイトでチェック!

  • GPV気象予報(さまざまな数値予報モデルを処理したサイト)

  • SCW(GPV気象予報がスマホ対応&モデル追加で進化)

  • Windy.com(アニメーション表示で視覚的に分かりやすい)

  • Sunny Spot/スカイ情報(パラグライダーのエリアごとの予報あり)

▼GPV気象予報/SCW

SCWはGPV気象予報の進化版という位置づけなので、SCWを見ればOKです。
(何が違うかはそれぞれのサイトに詳細が書いてあります)

GPV気象予報+2kmメッシュ(局地モデル)+雲観測マップ+スマホ対応=SCW

SCWで一番詳細な予報が見れる局地モデルの10時間先までの予測データは有料会員限定(月額308円)ですが、1か月間無料なので気になる人はお試し有料登録してみるのもアリかも。

▼Windy

近年急激に認知度が上がってきた感があるWindyはアプリもあります。
かなり多くの情報を表示させることができるので、使い慣れるまでは難しく感じるかもしれません。
予報モデルはMSM(気象庁)、ECMWF(欧州中期予報センター)、GFS(アメリカ海洋大気庁)、ICON(ドイツ気象局)から選べます。
やはり局地的な予報だとMSMがおすすめ。
その他では、ECMWFが一番予報精度が高いとされているのでMSMECMWFを基準に他と見比べましょう。

▼Sunny Spot

Sunny Spotでは、様々なカテゴリーの天気予報が提供されていますが、中にはパラグライダーのエリアごとにピンポイントでの数値予報があります。
各気圧面(地上、950hPa、925hPa、850hPa、700hPa)の高度/風向/風速/気温が5:00に発表され、6時から3時間ごとに36時間先まで提供されています。


基本的な天気(気象)予報のしくみ

天気予報の仕組み

僕らが一般的にみる天気予報が発表されるまでの流れは、以下のような3段階に分けることができます。

【STEP1】 気象観測データの収集
気象レーダー/ウィンドプロファイラ/アメダス/気象衛星/ラジオゾンデなど様々な観測データがあり、世界中からそれらのデータを集めてきます。

【STEP2】 数値予報の作成
観測データに基づき作成した“現在”の気象状態からスーパーコンピューターで“未来”の状態を予測(シミュレーション)したのが「数値予報」です。気象庁専用スーパーコンピューターは1秒間に1京8000兆回計算できるらしいですが、まったくイメージできません。。。
始めに紹介したように、ここで出てきた数値予報もいろいろな事業者がいろいろな形で配信しています。

【STEP3】 天気予報
様々な数値予報データを元に、気象予報官や気象予報士が知識や経験から「天気予報」を作成・発表します。
天気予報を発表できるのは気象庁長官に許可を受けた「予報業務許可事業者」です。

数値予報

簡単に言うと、地球全体(大気/海洋/陸地)を立体的に格子状に分割し、観測データに基づいて、それぞれの格子ごとに要素の値を入力し「」の状態を求める。
それを、物理学や化学の法則に基づいた時間変化を計算して「将来」の状態を予測(シミュレーション)する。

ちなみに、数値予報でよく目にするGPVという言葉は「Grid Point Value(格子点値)」の略ですので、格子状の分布を持つ気象データは「GPV」と呼ばれます。
GPVと言っても、その中身はいろいろあるってことです。

気象庁の公式サイトの中にGPVがイメージし易い図があります。

出典元:気象庁公式サイト-数値予報とは

予報結果の利用目的(目先数時間程度の大雨の予想、数時間~1日先の大雨・暴風などの予報、台風予報など)によって数値計算のプログラムにいろいろな種類があり、それらを「数値予報モデル(気象予報モデル)」といい、格子間隔(2km、5km、20km、110kmなど)や予報期間や実行回数などが変わってきます。

数値予報モデル=気象予報モデル

気象庁の数値予報モデルもいろいろな種類がありますが、気象に関する数値予報モデルを一覧にした図がありました。

出典:気象庁公式サイト内

そして、日本だけでなく世界中で様々な機関が独自の気象予報モデルを持っています。

出典:気象庁公式サイト内

世界には日本と同様に、全球モデル、全球アンサンブル予報モデル、領域モデルがあり、様々な格子間隔や予報期間のモデルが存在する。表は全球モデルを運用している数値予報センターのうち、主要国または機関のモデルを示す。全球モデルは国際競争が盛んに行われている。特に全球モデルの予測精度が良いと言われている数値予報センターが欧州中期予報センター (European Centre for Medium-Range WeatherForecasts; ECMWF)や米国 (National Centers for Environmental Prediction; NCEP)、イギリス (United Kingdom Met Office; UKMO)、日本である。ECMWFは22の加盟国と12の協力国で構成されている。

気象庁公式サイト内

また、同資料内で全球モデル予測精度の国際比較が発表されています。

出典:気象庁公式サイト内

各センターとも年々着実に予測精度が向上している。気象庁もそれに追随しているが、 ECMWF の精度が優れており、 UKMO がそれに次ぐ状況である。

気象庁公式サイト内

資料内でも再度ECMWFの精度の優秀さが明記されています。
なので、Windyで予報を見るときのおすすめの気象予報モデルはMSMとECMWFだと紹介しています。

天気予報

「予報業務許可制度」により、気象長官の許可を受けた事業者のみが予報業務を行うことができます。

一般的にいう「天気予報」は、気象庁などから数値予報データや資料を取得し、独自の分析データなども加え、統計処理や人の経験的な方法で補正して将来の天候状態を予測したものをテレビ、ラジオ、インターネットなどのメディアを通じて提供されています。
インターネット上では、いろいろな事業者が天候の状態(晴れ、曇り、雨など)や気温、湿度、風速、降水量などの要素を分かりやすく提供してくれています。

予報業務許可のない事業者は、独自の予報は発表できないので予報業務許可事業者を情報提供元として自社サイトで独自のフォーマットでの天気予報(気象データの提供)を展開しているのです。

天気予報は昔は気象庁だけに許されていましたが、1990年代に「天気予報の自由化」が行われ、予報業務許可制度が導入されたことで民間気象会社ができ、天気予報は急激に発展してきました。


天気予報サイトの選び方

一般的な天気予報

ようするに「予報業務許可事業者」ではない事業者が提供している天気予報は、他社から提供されている天気予報を載せてるだけ、ということ。

予報の更新頻度は事業者によってマチマチだけど、提供先より提供元のほうが確実に最新の予報。
なので予報業務許可事業者が運営してる天気予報サイトだけチェックすればOKです。

国内の天気予報のほとんどは、気象庁・tenki.jp・ウェザーニュース・ウェザーマップ(提供先:Yahoo!天気・災害)が提供しているという認識でいいと思います。

用途に応じてサイトを使い分けることになるので、

・いろんな気象データのベースは気象庁
・ピンポイント予報はtenki.jp、ウェザーニュース、Yahoo!天気
・その他、特化型の予報を出してるサイト(週間天気図、寒気予報、登山天気など)

といった感じです。


長野県は天気予報が外れやすいという検証結果もあるようです。やはりアルプスが入り組む複雑な地形が影響しているのでしょうか。

事業者による予報の精度は基本的にはどこも大差ないようです。
明日の予報の降水的中率は80%以上がほとんどで事業者間の差は数%程度。

ですが、ウェザーニュースは頻繁に「予報精度No.1」的なニュースを配信しています。

調査内容もはっきりしているので、どうやら現状で「的中率」「降水捕捉率」の点ではウェザーニュースが優秀そうです。

まぁ、僕らが知りたいのは降水の的中率ではないですが、目安にはなりそうです。

ちなみに、iPhone純正の天気予報アプリはアメリカ企業の予報なので日本ではイマイチ当たらないらしい。
(日本の気象データの分析にそれほど労力を割いてないんじゃないかな!?)

数値予報

気象予報モデルごとの特定の場所や時間における気象要素の値(気温、風速、降水量など)を具体的に知ることができます。
重要なのはどの気象(数値)予報モデルのデータなのかを把握しておくこと。

最初にオススメした数値予報サイトはいずれも異なる特徴があります。


まとめ

今回は、パラグライダーと天気予報の第1弾という位置づけでまとめてみました。

今後、第2弾、第3弾と続いていく予定です。

普段から何気なくいろんな場所で目にする天気予報ですが、どのくらい理解していましたか?
僕自身もこの記事をまとめるにあたり再度細かな情報を調べたので、非常に頭の中がすっきりしました。

数値予報サイトに関しては、サイトを開いただけだとほとんど理解できないほどの情報量です。
気象予報モデルを理解して、さらにサイトの使い方も学ばないといけないのでなかなかハードルが高いですよね。

けど、とりあえず自分に必要な情報の見方だけ覚えれば大丈夫ですので、是非日常的に使って慣れてください。

パラグライダーの安全で楽しいフライトのためには天気予報が必須です。
自分で調べた天気予報の答え合わせをフライトでするのも楽しみの一つになると良いですよね!

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