35歳からの独り暮らし(4)
大学時代に穏やかにお金を稼いだバイトしか経験が無かったことで、新卒で入社した金融機関では、根性で乗り切れ的な雰囲気を持つ方が多く、その勢いある雰囲気に全く馴染めなかった。
全く馴染めなかったことで、仕事自体に興味を持てるはずもなく、一度嫌だと思うと頑なに拒否する性格もあり、10ヵ月という期間で退職をした。
金融機関を辞めて、働きたくないわけではなかったので、アルバイトを探すのだか、次に選んだ場所からして、自分の甘さを露呈するようなものだと思う。
大学時代の洋食屋に出戻ったのだ。
一年経たずして戻ってきた私を、店長夫妻は快く受け入れてくれ、また私は緩く生活することとなった。しかもフリーターとして、がっつりと働くことになり、収入は大学バイト時代よりもさらに増え、実家住まいも相まって、穏やかな生活をすることになった。
この生活は8ヵ月続いた。
その中で、やはりあることが見え隠れしていた。
「せっかく大学まで出してもらい、アルバイト生活なのか」
親に対しての負い目が、こんな自分にもあったのだ。