35歳からの独り暮らし(2)
大学入学での独り暮らし、を逃してしまい、次に迎えるチャンスは「就職」だった。
就職活動当時、団塊の世代が定年退職となる、というタイミングだったこともあって、それまでの氷河期を脱し、学生売り手市場、と呼ばれる幸運な時だった。
地元企業もいくつか受け、大学での専攻の関係で、公務員も受けた。
そして県外の企業も受けた中、内定をもらったのは地元の金融機関だった。
無事内定を貰えたのは勿論嬉しかったのだが、この金融機関、ほぼ地元出身者しか受けないような規模で、支店も9割が県内。そして事前に伝えられた配属先は、実家がある町の隣町。
実家からの社会人生活が始まった。
社員食堂など無い支店勤務なので、昼は弁当を持っていったが、その弁当を毎日作ってくれた母親には、感謝している。
しかし、この金融機関は10ヵ月で辞めることとなった。
お金を貰って働く、という認識が甘かったのが理由にあたるのだが、それには大学時代のアルバイト経験が関係していた。