お見送り
この秋に、うちの子を見送った。
5年と少し。
それが長かったのか短かったのかはわからない。
ただ、『いること』はぼくにとって『当たり前』の日常だった。
いつまでもいっしょにいてほしかった。
そんなことはできないのはわかっていた。
それでも、まだもっと一緒にいられると思ってた。
動かなくなってしまった身体のままでも、そばにいてほしかった。
叶うなら、その身体を手放したくなかった。
骨になんてしたくなかった。
このままずっと抱えていきたかった。
最期までほんとうは手放したくなかった。
ちゃんと見送ってあげなきゃと思うのに。
生き切ったこの子を見送るまでがぼくの責任なのに。
往生際が悪いんだ、ほんとう。
すぐには見送れなかった。不甲斐ない飼い主でごめん。
身体だけでも手元に置いておきたいなんて。
そんなことを思う日が来るなんて思わなかった。
自分にもそんな執着があったことに、泣きながら嗤った。
今は白く小さくなって、ぼくの部屋で眠っている。