【レビュー】最善の結末を求めて『ドラゴンクエスト11S』
長い旅だったけど最後までずっと楽しかった!3ヶ月と少し、全てのボスを倒すまで150時間近くロトゼタシアを旅しました。裏ボスを倒したあとに「長い旅だったね」みたいな空気が仲間たちとの間に流れた時、「あぁ、もうこの旅は終わりなのか」と寂しく感じたことにびっくりしました。それだけこの仲間やこの世界を大好きになってたってことなんだなぁと。
ここの記事の読者さんには繰り返しの内容になりますが、私のドラクエ遍歴は3(GB版)と5(DS版)のみで、本作は私にとって初めての3Dドラクエとなります。新作を追いかけている訳でもないので、元々プレイするつもりは無かったのですが、実況動画を観始めた時にその余りにも豪華なオープニングに圧倒され、これは自分でやってみたい…!と、発売から5年後に購入する事となりました。
さすがドラクエ、これぞドラクエ。濃密な150時間をくれた『ドラゴンクエスト11S 過ぎ去りし時を求めて』のクリアレビューをお送りします。
ーあらすじー
16歳の誕生日を迎えた主人公は、母親から自分が勇者の生まれ変わりであること、デルカダール王国の城を訪ねなければいけないことを告げられます。勇者として迎えられるはずの城で待っていたのは主人公を『悪魔の子』と呼び排除を目論む王と兵士達でした。どうして勇者は悪魔の子と呼ばれているのか、なぜ自分は勇者で何をしなければいけないのか、全てを明らかにするための旅が始まります。
良かったところ
心動かされるストーリーのオムニバス
メインストーリーの壮大さもさることながら、本作は行く先々で小さなイベントがあります。しかし小イベントと侮ることなかれ。どれも大きく心動かされるものばかりで、プレイ中何度も泣いてしまいました。先が常に気になるような展開でずっと飽きずに遊んでいられます。また、シリアスとギャグの割合もちょうど良かったです。シリアスになり過ぎず、かと言ってふざけ過ぎず、だからこそずっと引きずるような悲しさや辛さは無く、常に前を見ることができます。
キャラクターに愛着が絶対湧く
湧かない人いる…?ストーリーの良さと相まってキャラクターの魅力が最大限引き出されているように感じました。これはパーティーメンバーに限らずです。(ファーリス王子も特に好き!)このキャラにはどんな秘密が……?こう見えて実は!?と驚きやギャップもたくさんあり、旅を進めながら仲間たちを知っていくことがとても楽しかったです。今回の勇者は、他のナンバリングの勇者と比べると周りに助けられることが多い勇者だと聞きました。だから余計仲間たちに頼りがいを感じますし、勇者として守らねばとも思わされました。ちなみに私が一番好きなのはシルビアでした。
グラフィックが綺麗
私にとって初めての3Dドラクエだったので、2Dと比べてキャラが生き生きとしていることに感動しました。ドラクエならではの連れ歩きが3Dでもできましたし、攻撃やれんけい技などバトルのモーションもバリエーション豊富…!これがボイス付きなんですから本当に贅沢!何より、広大な世界と空に浮く勇者の星や命の大樹なんて現実世界に絶対にないものがリアルに描かれている様子はファンタジー感をガッツリ味わえてまさに圧巻です。
3Dの綺麗さも好きなのですが、本作は2Dでも遊ぶことができ(すごすぎる)、最初に3Dモードを選んだとしても道中いつでも変えられますし、『ヨッチの村』に行くと誰でも強制的に2Dになります。どちらでも遊ぶ機会があるなんて素晴らしい…!
オーケストラBGMが良い
私が自分でプレイしてみたいと思ったきっかけであるオープニング映像には、それはそれは豪華な『序曲』が流れていました。映像内に演奏している団体の名前まで載っていたので、とても力を入れているということがわかります。本編中もBGMが豪華で特に後半は過去作オマージュ曲もあるので、昔ピコピコ音で聴いていた曲をオーケストラで聴けて感動しました…!特にあの……後半の…………笛とハープで始まるあれ!(ネタバレしたくないので既プレイ陣は察して下さい。)
過去のロトシリーズとの繋がりを感じられる
私はロトシリーズに関しては3しかしていないのですが、それでも十分に「わっ……この曲は!」「あれ?この人って…?」といろいろ気付かされてエモみを感じました。全シリーズしてる人だったらもっと思うところはあるかもしれません。
気になったところ
曲目が少ない…?
BGMがオーケストラ音源でとても豪華だったのですが、フィールドや町ではだいたい定番の曲があるため、エリアごと、町ごとに曲があるわけではありません。(町の規模ではある程度違う)せっかくの豪華音源なのでもう少しバリエーションが欲しかったような気はします。(あまりドラクエを知らないので、ドラクエはそういうものだと言われたらそれまでなんですが…。3は確かそんな感じだった。)
クドい展開がある
本作は簡単に言うと起承転結転結という流れで、特に2つの転結はストーリーの都合上同じ展開が繰り返されることがあります。2回目は良くも悪くも省略されている印象があり、1回目と比べるとあまり心がなびかず、「あー、こういう感じになっちゃうかー」と少し物足りなさを感じました。
後半の展開は賛否両論かも
ちなみに私は……実は否寄り…。上で書いた2回目の転結は私がタイトルに書いたような『最善の結末』を求める旅となります。それはつまり、ここまでの展開に満足がいっていないと言っているようなもので、それはちょっと違うんじゃないかなぁと思ったり。私はけして最善ではない結末であったとしてもあの流れにはあの流れの良さがあったんじゃないかなと。ネタバレせずに語るのは難しいので後日ネタバレありでぼやきたいです。
総合 ★★★★☆(4.8)
いろいろ気になる点も上げてしまいましたが、大半は個人的な要望のようなもので、総合すると、ものすごい楽しかった!大きな目的のために旅立って、道中いろんなことが起きるもんですから、旅が長引きつつも、濃度が濃いのなんの。そんな濃厚なイベントをいろいろしていると、だんだんロトゼタシアが好きになって、これは守らねばな!と思えてきて、もう私も心は勇者では?と思うほど(?)
最近は歳のせいか涙腺が弱くなってて、少しいい話があるだけでものすごく泣いてしまいます。それが本作は波のように何度も押し寄せてくるので感情が上がったり下がったりととにかく揺さぶられました。実は同時並行でネタバレに気をつけながら視聴を中断していた本作の実況動画を見ていたのですが、同じシーンでもう一度泣くくらい切なくて好きな話が多かったです。実況の並行視聴は意外とおすすめで、自分が気づかなかった解釈を教えてくれたり、回収し忘れた会話やイベントも見ることができました。(もちろん自分より動画内の進行度がだいぶ遅い状態で並行視聴するのをおすすめします。
やっぱり大きいタイトルはそれに見合うだけのやりごたえがあって安心感があります。ストーリーも深いし、キャラも魅力的だし、システムも便利だし(Sだから便利になっている点も多い)、最初から最後まで気持ち良く完走できたなと感じます。
…が!!この記事を書いている時にショックなことがあって………。何度か雑記やつぶやきに書いた通り称号コンプを目指していたのですが、だいぶ初期段階で、二度と手に入らない武器を売却してしまい、とある称号のゲットが不可能になってしまったことが判明。コンプを断念せざるを得なくなりました。10時間ぐらい称号集めに費やしたのにこんなことってぇぇぇ。これから本作を遊ぶ人は絶対に売却時に忠告されたものは売らない、どうしても売りたければ売る前に打ち直しを完了させる、ここに気をつけて遊んだ方がいいです。私みたいにならないよう頑張ってください(道半ばの勇者より)
今制作中の3のリメイクは旧作と丸々同じなのでしょうか。今回の11Sは3より前、ロトシリーズでは最古のお話という考察を見たのですが、今回初出の情報(先代勇者あたり)を3の中に組み込んでいたりするとまた本作との繋がりを感じられて嬉しいんですけどね。名作すぎるので下手に変えることもないのかなぁ。今後も3のリメイクや12でこの壮大なファンタジー感を存分に浴びたいなと思います。
本当に楽しい旅だった〜〜〜〜!
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