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【レビュー】プレイ順が評価を決めてしまった『ファイアーエムブレム覚醒』

 『ファイアーエムブレム覚醒』とは、かつてシリーズ終了の危機を救ったことで、まさしく同シリーズを覚醒させたと言われている作品らしいです。

 これまで『if』と『風花雪月』をプレイし、すっかりファイアーエムブレムの面白さを知った私は、他の作品もぜひやってみたい!けど、あまり古いものは食指が動かないかなぁということで、過去作でも人気な『覚醒』と『echoes』を積みゲーに入れました。今回は完全新作としては『if』の1つ前にあたる『ファイアーエムブレム覚醒』のクリアレビューをお送りします。

発売日:2012年4月19日
プレイ機種:Nintendo 3DS
プレイ時間:約21時間

ーあらすじー
イーリス聖王国の王子クロムと王女リズは、ある日出先で倒れている主人公を発見します。目を覚ました主人公は自分の名前以外の記憶を失っていたものの、魔法を使って戦うことができたり、戦闘で巧妙な策を練ることができました。そんな主人公の才能を見込んだクロムは自国のための戦いに協力してほしいと願い出ます。平和を愛するイーリス聖王国を取り巻く邪悪な野望から国を守ることができるのか、そして主人公は一体何者なのか……。

ーどんなゲーム?ー
シミュレーションゲームです。武器や兵種の有利不利や環境など様々な要素を見極めながら、盤上に配置されたキャラクターを動かして敵軍を倒していきます。戦闘中に隣接して仲良くなったキャラクター同士での会話イベントや結婚イベントもあるため、従来の軍艦や駒を用いたシミュレーションゲームよりは気持ちが乗りやすいシミュレーションゲームになっています。

 いつもだったら『良かったところ』と『気になったところ』を挙げているのですが、今回はいつもと違う書き方でいこうと思います。

 まず最初に結論を言ってしまうと、戦闘は歯ごたえがあってとてもおもしろかったが、システム面で目新しさを感じず、ストーリーも先の読める展開で特別ここが好き!という点が見つからなかった、です。でもこれは絶対にifを先にプレイしていたからそうなってしまったんだと確信しています。では、なんでこんな感想を抱いてしまったのか、その原因と思われるポイントを書いていきます。


あまりにも同じすぎた覚醒とifのシステム

 ファイアーエムブレム覚醒を始めてすぐに浮かんだ感想はほとんどがifと同じだ、ということでした。ストーリーでのキャラクターの表示や戦闘システム、支援会話、結婚、子ども………本当にいろんなところがifと同じでした。

覚醒、ストーリー中の会話イベントシーン
if、ストーリー中の会話イベントシーン

私には馴染みあるシステムなので操作はしやすかったのですが、せっかく他の作品を遊んでいるのに、覚醒らしさを感じられなかったというマイナスポイントにもなってしまいました。しかしこれは私が感じたパターン。世間一般的には覚醒の3年後にifが発売されて、ほとんどが同じだったのであれば、発売順に遊んだほとんどの人がifに対して目新しさを感じられなかったのではないかと思います。覚醒に比べてifが評価されていない理由にはそれもきっと含まれているんだろうとなんとなく察してしまったのです。

同じところが多い故に比べてしまう

 覚醒とifがとても似ているからこそプレイ中はずっと「ifだったら……」と比較が止まりませんでした。後発のifは当たり前ですが覚醒にいろいろ足されている部分があり、それもあって覚醒はifに比べてシンプルに感じました。どういう点を比べてしまったかというと…

キャラクリの融通

 本作も自分で主人公の外見を作ることができるのですが、髪の色や髪型、声色がメインでifほどディティールを練ることができず、自分のいつものキャラクターを思ったより表現できなかったなぁとかなり悔しかったです。異なる作品で全く同じキャラクリができるわけがないのは当たり前なんですけどね…。

ifは顔のパーツも細かく決められ
口調のバリエーションも多かった

ストーリーが硬派だった

 シミュレーションゲームといえば戦争のような堅い話が多く難しい。その認識を変えたifは、確かに国同士の戦いではありましたが、その裏には大きな家族の話があり微笑ましいシーンがたくさんありました。覚醒にも家族の話はありましたが、どちらかというと仲間との友情や絆がメインでいろんな国が出てきて、戦があってと(ifと比べると)まさに硬派な戦シミュレーションという印象でした。無慈悲に人が死んでいく…。でもSFなところも多々あって、そこはもしかしたら昔からのガチガチなFEファンには不評だったかもしれません。私はこれくらいとんでも展開があったほうが好きでしたけどね!

主人公の存在感

 覚醒はifに比べて主人公の存在感が薄く感じました。しかしそれはストーリーの関係上仕方のないことではあります。

ifは主人公がどちらの国につくかでストーリーが大きく変わりますし、敵対した側は主人公を取り戻そうととても執着してくれるので、自分が特別な存在だということを感じながらプレイできます。気持ちいい……。

一方覚醒はストーリー開始時点で主人公は記憶喪失。行動を共にする相棒のクロムは王子様で、聖王である姉を妹とともに日々サポートしており、さらに途中からどうやらクロムの関係者と思われる謎の人物も登場して……と一見クロムが主人公では?と思えるストーリーが展開されます。主人公が主人公っぽい扱いを受けるのは終盤くらいからかな。さらにバックボーンのわからない主人公をだいぶ序盤からクロムが信頼しきっているのはこの戦の多い世界ではちょっとありえないのではと思ってしまう場面も。

この主人公の扱いの差もifの方が面白かったなぁと比較してしまう要因となってしまいました。

強制的な結婚イベントの発生

 これはある意味で若干のネタバレになりますが、同時にこれからプレイする方へ注意喚起をしたい点でもあるのであえて書きます。

本作では中盤辺りでクロムに強制結婚イベントが発生します。支援がSに達していなくてもです。おそらくその時点でもっとも支援レベルの高いキャラクターと結婚するようになっているんだと思います。主人公が女性キャラだったらきっと高確率で主人公と結婚しやすいかも?とにかく、強制的に仲もそこまで深まっていないのに結婚されるので、こちらとしては「いつの間に…?」と置いてけぼり感がすごく、急にイチャイチャしだすのをポカンと眺めることになります。これからプレイする方がもしいれば、ここだけはぜひ気をつけて、クロムのパートナーを意識してゲームをスタートしてほしいです。

クロムに限らず結婚後は年齢が親とそんなに離れていない子どもが出てきます。そこまでifと同じとは思わずびっくりしました。ifの方が結婚の管理が全員しやすかったかな。子どもが登場する理由はifの方が無茶苦茶だったけども!(他の星で育って、その星は時間の流れが異なるから成長が早いらしい)

戦闘は私にはやや難しめだったと思う

 レビューを書くにあたって他の方の感想もちらっと見てきたのですが、どうやら簡単すぎると言っている人もいるようです。え…本当に?カジュアルでプレイしても普通に苦戦したんですけど、もしかして私ってまだまだシミュレーションゲームが下手?一つの戦闘でユニットの敗走が最低1人はあるんですが…。ifの時はエース級のユニットが自軍に最低でも4人(主人公の家族)はいたんですが、本作は飛び抜けて強いのはクロムともう1人くらい?これまで主人公は強いから大丈夫!と思って単騎で突っ込むこともあったのですが、本作でそれをするとびっくりするくらいすぐに袋叩きにされます(笑)でもこれくらい歯応えがあるほうが考える余地があって楽しかったです。でも基本的にあまちゃんなので、ユニットが死んだ時に「天刻!!天刻したい!!」と何度も思ってしまいました。(※天刻:『天刻の拍動』のこと、風花雪月で登場。回数制限付きで好きなターンだけ巻き戻すことができる。)

 あとこれは評価には直接関係ないのですが、ifも覚醒も登場ユニットがめちゃくちゃ多くて、こんなに全員育て切れなくない?とずっと疑問だったんです。最近その謎が解けまして、あれってもしかしてクラシック(先頭で死亡したユニットはその後登場しない)用にたくさんいるってことですよね?減っても他のキャラクターで補填できるように人数が多いのでは…。ずっとカジュアルでプレイしていたのでこんなにキャラいても育て切れないし思い入れも湧きづらい!とifの頃から思ってたんですがようやく理解できました。せっかくなら1回くらいクラシックでやってみたいかも。


 以上になります。今回はスコアはつけません。というかちゃんと本作だけを見つめて評価ができていないと思うのでつけられません。ファイアーエムブレムifは私をシリーズに導いてくれた思い入れのある作品で、白夜、暗夜、透魔と3つのバージョンで実質3周するほど大好きな作品でした。そのifとストーリーは違えどあまりにも類似していた覚醒は、2番煎じのようで、ストーリーも淡白に感じてしまいこのような感想となってしまいました。実際はifがシステムを踏襲しすぎていたんですが…。

 もし私が発売順にプレイしていたら、ifを今ほど好きになっていただろうか。そもそも覚醒からファイアーエムブレムに興味を持てただろうか。そんな可能性もあったかもしれません。そう思って今回のレビューは曖昧に終わらせておきます。

 過去作を遡ってプレイするとこういうことも起こり得るんだなぁと勉強になりました。シリーズを履修していきたい時はなるべくは発売順にしていったほうがシリーズの進化も感じられて楽しいかもしれません。今後はそれも意識して新しいIP開拓に臨みたいです。


その他レビューはこちらから

ファイアーエムブレムシリーズとの出会い

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