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【レビュー】ヒスイを肌で感じる『ポケモンレジェンズアルセウス』

今回は『ポケモンレジェンズアルセウス』のレビューです。やっっっとレビュー作成です。もうすぐプレイ時間は200時間を超えそうです。たぶん歴代のポケモン作品で一番長くプレイしている。

 ストーリー:★★★☆☆
やりこみ要素:★★★★★
   簡単さ:★★★★☆
    音楽:★★★★☆
グラフィック:★★★★★
   操作性:★★★☆☆
    総合:★★★★☆

※個人の見解によるものです

本作はポケモン初のオープンフィールドとして発売前からとても注目されていました。(実際は戦闘やエリアのシームレス化だった)ダイパリメイクが去年の11月末に発売、そのわずか約2ヶ月後に本作が発売されるというハードスケジュールも話題に。現在はそこからさらに1年足らずでナンバリング最新作が出るという……どうしたんだ株式会社ポケモン。発売時期には「ダイパリメイクとアルセウス……どっちをする!?!?」みたいなCMが流れていたのですが「どっちもするに決まってんだろ!!」と流れるたびに脳内ツッコミしていました。時間はかかってるけど有言実行できてとても満足です。

ストーリー:★★★☆☆

突然アルセウスというポケモンに導かれ、のちにシンオウ地方と呼ばれるヒスイ地方へと飛ばされた主人公。「すべてのポケモンに出会え」というアルセウスの言葉を頼りに元の世界に戻るため、ヒスイ地方開拓師団であるギンガ団の調査隊として様々な土地でポケモンを調査することになるが、ヒスイ地方には時間と空間を巻き込んだ未曾有の危機が迫っていた。

ダイヤモンド・パールの舞台、シンオウ地方がまだそう呼ばれていなかった過去のお話。「ポケモンは怖い生き物です。」と言う今作の博士の言葉通り、ポケモンがまだ人と暮らすことが珍しく、未知の生き物として恐れられていた時代。ダイヤモンド・パールだけでなく、他作品のキャラクターの祖先も出てくるので、ポケモンシリーズを通してプレイしている人にはたまらないエモさがあります。(たぶん)モデルがいないオリジナルキャラクターのセキとカイも、見た目といい、性格といい、とても魅力的なキャラでした。

ダイヤモンド・パールでは敵であったギンガ団に所属するというのもなかなか面白かったです。本作でなぜギンガ団がダイパ時代では悪の組織になってしまったのか、というのが明らかになると思っていたのですがそこは無かったのが意外でした。アカギが独断でそういう方向にシフトした可能性もありますね…。でも祖先のシマボシ隊長がそもそもギンガ団なので、家族で代々ギンガ団で働いていた…?ナナカマド博士の家系はなぜギンガ団から退団していたのか。(追記:図鑑タスク完成後に聞けるとある発言がから、物語以降研究に従事したものと思われます。)今思えば、ダイパのシンオウ地方各地にはギンガ団が散見されていましたが、土地開拓で活躍した組織だったのであれば、シンオウ地方全域に目が届くように配置されているのも当たり前のように思います。(たしかミオシティだけ監視下ではなかったけど)

顔つきや言葉遣いからもダイパのアカギを彷彿とさせるが、とても思いやりのある人物

また、シンオウ地方といえばやはり神話の多い土地ですからいろんな伝説のポケモンや神の使いともされているキングたちとのバトルにはとてもワクワクしました。キングポケモンはポケモンごとに攻略方法が異なっており、普通のアクションゲームと比べるとそこまで難しかったり頭を捻ることもありませんが、程よく挑戦心をくすぐられるものでした。

初めてのキング戦でポケモンが人に容赦なく向かってくる事の恐ろしさを味わわされた気がする。

ダイパとのつながりを感じたり、伝説のポケモンとの壮大なバトルを繰り広げたりとストーリーも十分に魅力的ではあったのですが、本作の注目ポイントはやはり広大なフィールドにあります。そのためポケモン調査のためのフィールドワークが本作のメインなところがあるので、ストーリーはわりと軽めに感じました。というのも、寄り道が楽しすぎて通してメインストーリーを進んでいないからかもしれません。それだけストーリーよりポケモン調査の方が楽しかった印象があります。


やりこみ要素:★★★★★

やりこみ要素はとても多いです。図鑑タスク、サブ任務、ポエム探し、ともしび集めなどなど本当に多い。未だに私がアルセウスから離れられないのも、やりこみ要素を終えないと次に移れない性格と、その量の多さが重なってしまったためだと思います。

量が多くて大変、とも思いますが、それより図鑑を埋めていくのがとにかく楽しい。散々私の記事で書いてるし、既プレイの人がほとんどだと思うので図鑑タスクについて知らない方はいないとは思いますが一応説明を。これまでのポケモンシリーズでは、ポケモンを各一匹ずつ捕まえれば、または見ていればストーリー上完成扱いとなります。そのため、例えばポケモン赤緑にてトキワの森でピカチュウを探しているとしましょう。出現率の低いピカチュウを見つけるまでにビードルやキャタピーなどの出現率の高いポケモンに何度もエンカウントすることになると思います。それでうんざりする人がほとんどなのではないでしょうか。アルセウスではポケモンとの度重なるエンカウントが必須となります。○匹捕まえる、□匹倒すという図鑑タスクがあるからです。そうなると、タスクを埋めるためには最低でも○+□回そのポケモンに遭遇する必要があります。また、各ポケモンごとに特定の技を何度も見る必要があるため、その子を手持ちに入れて戦闘に出す必要も出てきます。まさに調査です。

タスクがわりと多めのギャラドス。『ぼうふうを70回みる』はなかなか大変だった。

これですごいなぁと思ったのが、ポケモンの出現場所を自然と覚えられていたこと。「リングマ40匹も倒さないといけないのか。湿地のクマの稽古場に……いや、そっちより山麓のキャンプ近くの方が一度に3匹ぐらい確実にいるな…。」と、このように自分の足で赴いて、何度もエンカウントするうちに、どこにどんな風に誰が出現するのかを把握できてしまうのです。これが過去作だと私の場合図鑑の分布や攻略サイトをいちいち確認していたので、自然と頭に入っていたということに気づいたときは感動しました。

簡単さ:★★★★☆

最初は道具とポケモンの切り替えをミスしたり、注目したいポケモンじゃない方に注目したりと、慣れない操作に四苦八苦しましたが、アクションゲームはそれなりにやってる方なのですぐに慣れることができました。

バトルも普通に育てていれば問題なく勝てますが、ハヤワザ、チカラワザルールの導入により、技を出すタイミングがいつもと違ってきます。ハヤワザを駆使して連続で攻撃できるときもあれば、チカラワザの強い一撃で早く戦闘を終わらせたり。逆に相手に攻撃されてばかりで全然反撃ができなかったり、1番理不尽だと思ったのは、戦闘不能後に他のポケモンを出したらそのまま一度もコマンド選択を挟むことなく相手の技で沈められた時。これはもうキィーーってなりましたね……。恐ろしいのが、これまでのポケモンと違い、タイプ相性さえ有利だったら、多少のレベル差はあまり問題にならないというところ。こちらのレベルが少々低くても不意打ちしてしまえば大体2回は連続攻撃ができてしまいます。レベルさえ上げておけばゴリ押していけるという考えを根底から覆されました。テクニック、大事ですね。あんまりわかってないけど!

メガヤンマはすばやさの高さもあって、状況次第では3回連続攻撃をしてくることも

音楽:★★★★☆

まずフィールドですが、自然の音を感じられつつも、敵に見つかるとちょっと緊張感のある音が流れるといった、ブレスオブザワイルドにもよく似た印象があります。でも大きく違うのは、環境音にポケモンの鳴き声が入っているところ。耳をすませばちゃんとそこにいるポケモンの鳴き声が聞こえて、「えっ!?今イーブイの鳴き声した!?どこどこどこどこ!?!?」と音を頼りに調査に勤しむことができます(笑)今回は色違いも出現した時に音がするのでわかりやすくなりましたね。

あれは…!黄金のイシツブテ…!!!

村や森、神殿といった特定の場所の音楽も、あくまでも環境音に少しメロディを足したようなささやかなものが多く、全体的に落ち着いた印象。奥の森の音楽はよく聞くとハクタイの森の曲だったりして、気づいたときは嬉しかったし、直前にダイパリメイクしといて良かったなぁと思いました。

戦闘曲はとにかくかっこいい。和楽器を中心としたダイパ音楽のアレンジがメインですが、神話が絡んでくると途端に神々しいコーラスの効いた音楽も流れます。こう、人が触れてはいけない領域で壮大なものに対面したという感じが曲に表れていました。先日ギラティナ戦をしてきたんですが、むっっっっっっちゃくちゃ良かった…………。ギラティナ戦とキング戦の音楽がかっこよくてすごく好きです。

グラフィック:★★★★★

景色が抜群にいい!ブレスオブザワイルドの時もそうでしたが、空がきれいだとついつい高いところに登って空の写真を取りたくなりますよね。空を飛んだり、海を渡ったり、大地を駆け巡ったりとグラフィックがきれいだからこそ楽しめる要素かなと思いました。

ソードシールドからすでに取り入れられていたシンボルエンカウントですが、びっくりしたり疲れたりお昼寝したり怒ったりと、野生のポケモンの生き生きとした姿を観察することができます。エサをあげられたり、ポケモンによってはこっちに寄ってきてちょっかい出してくるのがたまらなく可愛かったです。

イワークを初めて可愛いと思った瞬間

操作性:★★★☆☆

ポケモンシリーズにとって『初めて』が多かったので、過去作品と比較して不満に思うところはあまりなかったかなとは思います。「もう少しここがこうだったらいいのに」と惜しいなと思うところはありましたが、次回に期待という感じです。
具体的に不便に感じた点としては
・調査地間の移動ができない
毎回コトブキ村に帰ってまた門から出ていくのがめんどくさかったです。道具やポケモンの交代はキャンプで十分できます(なんならコトブキ村の方が牧場に行く分手間)。ストーリー進行上は調査→帰還→報告と、調査団らしい動きでしたが、ストーリーも終わり、団員ランクも完ストすると不便さが際立ちました。
・案外段差が登れない
アクション要素も強くなった本作。しかし主人公の足では小さな段差を越えることもできません。越えようとゆっくり上がっていって……ズルズルと落ちる、といった感じ。アヤシシライドが開放されて、これで段差も楽々だぜ!と喜んだのも束の間、確かに足で登るよりはだいぶ楽になりましたか、アヤシシに乗ってても「これも越えられないのか!?」といった場面が多く、高低移動が全体的にいまいちだったなと思います。
・コトブキ村内の移動がじれったい
コトブキ村は広いので移動がちょっと面倒です。ファストトラベルポイントが点在していましたが、活用する機会はほとんどなかったです。自転車……が無いのは当たり前なのですが、アヤシシライドぐらいはさせてほしかったなぁと。ゲーム開始直後の人間のポケモンへの恐怖心を考えると、大きなポケモンをホイホイ出すのも難しいかもですが。
・手持ちのポケモンの図鑑をすぐに見れるようにして欲しかった
野生のポケモンにZ注目して図鑑を開くと、すぐにそのポケモンのページを見ることができますよね。それであと何匹をどうすればいいのかすぐわかる、というのは大変便利だったのですが、手持ちに入れて技タスクをこなしているときに「あと何回だっけ…?」と思ってもすぐにそのポケモンのページにいけないのが不便でした。図鑑タスクが進んだ際に左上に進んだタスクが表示されますが、数が多いと『他○件』で省略されてしまうので全然わからない。
・道具とポケモンの操作画面は分けてほしかった
今作では画面の右側にポケモン、左側に道具が操作画面として表示されます。これまでは例えばポケモンに回復アイテムを使用する際、アイテムを選択→ポケモンの選択画面やタブが出てくる→使用、となっていたところが同じ画面になっているので左でアイテムを選択して右側でポケモンの選択、とここでもある意味シームレスに行うことができるようになりました。これはこれで便利かもしれないのですが、カーソルの移動距離が増えてしまうので、個人的にはやはり別ページで良かったかも?と感じてしまいました。

『どうぐ』とひとまとめに言っているが、フィールドで使用できるものとクラフト素材が混在しているため、所持しているものの量が多くてやはりカーソル移動が大変に感じる。

他にもあったような気はするのですが、パッと出てこないあたりおそらく大したことではないとは思います。上記の気になる点も我慢できないほどではなかったです。

総合:★★★★☆

初めての試みが多かったにも関わらず、すごく堪能できていると感じました。ソードシールドのワイルドエリアでも今作のように野生のポケモンが闊歩していましたが、やはり開拓前の大自然の方が、野生らしさが存分にあるなと思いましたし、なにより動物らしい動きも相まってポケモンが『配置されている』というより『そこに住んでいる』と感じられるところが良かったです。過去編というからには、シンオウの成り立ちやキャラクターのルーツなどを知れるんだろうな、とプレイ前はストーリーを1番の楽しみとしていたのですが、一通りプレイしてやりこみ要素をこなしている今では景色の美しさもあってフィールドワークが1番の楽しみとなっています。

高台からの景色は何度も写真に撮ってしまう

すごいなと思ったのは、やりこみ要素を進めだしてもう100時間ぐらいは経つのですが、びっくりするほど飽きないんです。やりこみ要素というのは図鑑タスクですが、これを埋めていこうと思うといろんなポケモンを探したり使ったりする必要があって、普段使ったことのない子を戦わせるのも飽きがこない要因の1つとなっていると思います。また、色違いが過去一(個人的に)出現しやすく、わざわざ草むらでエンカウントを繰り返さなくても、大量発生や普通に道端でよく見かけます。これも探索の楽しみの大きな要因となっています。

画面の一段目のチュリネを除いてドンカラスより前の計24匹が現在までに捕まえた色違い。
狙って探していなくてもこんなに見つかってとても面白い。それにしても毒々しい色が多い。

今冬発売予定のスカーレットとバイオレットは、アルセウスで培ったシームレスな環境を活かして作られると噂されていますが、同じ年に発売されるということは、開発も並行して行われていたと思うので、どこまでアルセウス要素が引き継がれるのかは不透明だと思います。今回はオープンワールドとはいかなかったものの、実際にポケモンでオープンワールドをしようと思うと、やはり自然×ポケモンは必須だと思うので、それがこれまでの町や都市が多く存在している世界観でどこまでできるのか、もしかしたら結局はソードシールドのワイルドエリア規模で留まるのでは、とも思います。

ナンバリング作品の過去の時代を舞台とする、という試みはとても良かったと思います。作品間の繋がりを感じられるものを見つけるのがすごく好きだからです。このストーリーの方針はぜひ今後も定期的にやっていただいて、他の地方の昔話も見てみたいなと思いました。やけた塔のホウオウの話とかぜひ直接見てみたい…。

余談ですが、ピカチュウとイーブイが電子音に戻っていたのすごく良かったです。やはり赤緑世代としてはあの声が無くっちゃね!


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