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【レビュー】その自由さ、ブレワイ級!?『ゼルダの伝説 知恵のかりもの』
ついに発売した念願のシリーズ最新作、ここ数年ブレワイやティアキンのようなオープンフィールドな3Dゼルダが話題となっている一方で、おそらく多くの古参ゼルダファンが待ち望んでいた2Dゼルダ。それが、次世代機が発表されているこのタイミングで滑り込むかのように発売されたのは本当に予想外で嬉しい出来事でした。
今回のジオラマチックなグラフィックは以前『夢をみる島』でも使われていて、その時からこの新しい質感で描かれる世界がとても気に入っていました。等身やサイズ感はリアルじゃないのに、質感がリアル、不思議な感じです。そのため、本作が同じグラフィックで作られているのを知った時はかなり興奮しました。またあれを味わえるんですか!?と。
さらに『ゼルダの当たり前を見直す』がテーマであったブレワイで、宣言通りこれまでの3Dゼルダと格段に違うものが出来上がっていたわけですが、まさかその風が2Dゼルダにも流れてくるなんて誰が予想できたでしょうか。しかも主人公が違うという、他のIPなら当たり前のことをゼルダシリーズはしていなかったということになぜかこれまで疑問を持っていなかったということにも我ながら驚きです。
前置きがかなり長くなってしまったのですが、今日はそんないろんな驚きを与えてくれた『ゼルダの伝説 知恵のかりもの』のクリアレビューをお送りします。
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発売日:2024年9月26日
プレイ機種:switch
プレイ時間:37時間
-あらすじ-
剣士リンクによって魔王ガノンから救出されたゼルダ姫。しかしガノン討伐と同時に謎の裂け目が出現し、リンクも飲み込まれてしまいます。裂け目はハイラルの至る所に出現し、街や人々を飲み込んでしまいました。リンクを助け、ハイラルを元に戻すため、ゼルダ姫の旅が始まります。
-どんなゲーム?-
今回の主役はリンクではなくてゼルダ姫!これぞ正真正銘のゼルダの伝説です。ゼルダ姫にはリンクのような剣を振ったり弓を射ったりする力はありません。今回は物語冒頭で手に入る『かりもの』の力を駆使して敵を倒したりダンジョンを攻略していきます。かりものは石、ベッド、壺のような物体から、モリブリン、キース、ライネルのような魔物まで様々。高い足場に行きたいならベッドを積み上げれば良いし、敵を倒したいなら魔物を出せばOK。どこで何を出してどのように進めるのかはプレイヤー次第。自由な発想で冒険を進められます。
良かったところ
2Dだからと言って侮れない自由度の高さ
冒頭にプロローグ的なリンクの操作シーンがあるのですが、その時点でもしかしてこれ自由度が高いのでは?と思わせるところがありました。
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これ、見てわかりますか?中央の瓦礫の上に乗っているんですけど、これって2Dではありえないことでした。2D画面だと高さの概念がないのでここには普通乗れなくて、むしろ通れないくらい。それが今回乗れたということは上下移動ができてしまうということなのです。それがこの冒頭でわかって自由度やばいゲームなんじゃ…と震えました。
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また、100種類以上のかりものを駆使すれば、移動制限なんてもはや無いに等しいレベルです。はるか高い崖にだって登れてしまいます。自由すぎて大丈夫かと心配になった人も多かったのでは。
強行したら普通に洞窟ルートあった pic.twitter.com/GgBYafGWXL
— 泡沫 (@fluchtige_sache) October 17, 2024
これまでの2Dゼルダに比べてキャラクターが濃く、ストーリーがしっかりしてる
個人的に感じたことなのですが、これまでの2Dゼルダはストーリーの大目標(誰かを助けるとかラスボスを倒すとか)に向けて、各地で作業をしていくという感じで、リンクがしっかりと各地の人たちと絡んで何かをする、ということは少なかったように思います。(わらしべイベントはもう少し絡みが強かったかも。)
ところが、今回は各地でそれぞれ小さなストーリーがあります。どういう人がいて、どんな問題が起きていて、どうやって解決するか、何を協力するか、解決後にみんなはどう暮らしているか、これまで以上に各地のキャラクターにスポットライトが当てられているように感じました。
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ゴロン編では彼の成長物語が展開される
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マモノにも愛着が湧く
前述したように『かりもの』はマモノもあります。ゼルダ自身にはかりもの以外に戦う力が無い(能力をかりているものはありますが)ため、簡単な戦闘はマモノvsマモノで済ませます。どんなマモノを出せば優位に戦えるのか、それとも圧倒的に強いマモノで蹂躙するかそれを考えるのもなかなか楽しいです。ちゃんと倒せたらよし、よくやった、と心の中でつい言ってしまいます。
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蹂躙する様子を塀の上で眺めるの図
コレクション要素は少なめだが探しやすい
今回もハートのかけらのようなコレクション要素があります。これまでその所在は自力で探すしかなかったのですが、本作では全部で何個か、どこで拾ったか、をマップで確認することができます。
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そんなに数もないし、わかりやすいし
なによりこのキャラクターが濃すぎて面白い
気になったところ
フレームレートが下がることがある
『夢をみる島』の時も少し気になったのですが、たまに重いなぁと感じる時があります。そこまで苦になるほどではありませんが、やっぱりちょっと気になる。
かりものが多すぎる
かりものの数は100種類以上、その中から使いたいかりものを探すのですが、横一列に全て並んでいるので探すのに少し苦労します。覚えた順、コスト順のようにソートもかけられますが、それでも探すのに時間がかかりました。これはティアキンのスクラビルド時の素材選択も一緒。
Z注目対象が多すぎる
本作には相棒のトリィを使って選択した物を動かす能力があります(ブレワイのマグネキャッチみたいなもの)。狙った物にZ注目してトリィを向かわせるのですが、画面上のあらゆるものが、かりものにできる本作では注目できる物体がとても多く、まず狙った物に注目できないこともしばしば。時には目の前のものに注目しようとボタンを押したら、真後ろのマモノに注目してしまうこともあり、目的のものに注目するまで何度もボタンを押し直す必要がありました。目の前優先にして欲しい。
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ベッドに注目したくてもギブトに注目を持って行かれて
大慌てだった
総合:★★★★★
プレイ中度肝を抜かれ続けた作品でした。こんなことできるんだ!こんなことしていいの!?という状況がずっと続いてそれがとっても楽しい。一見難しそうな局面でもひらめき次第で強行できちゃうのが自分で考えている感じが出てやりがいがありました。その自由さはまさにブレワイ並み。ブレワイを2Dで作るならきっとこんな感じになるんじゃないでしょうか。
今回はゼルダが主人公ということで、実際に自分でガツガツ戦いにいくような感じではなかったのでアクションというよりは、ゼルダの伝説らしい謎解きをメインとしたゲームだったように感じます。配布されている壁紙で出ちゃっているので言及しちゃいますが、リンクが敵になった時の恐怖感すごかったです。やっぱりこれまで操作してきたリンクには最強の勇者のイメージがあったので、対峙してこちらが召喚するマモノをバッタバッタと切り倒して迫ってくる時は震え上がりましたねw
また随所で他の作品を感じる部分もありました。まずは冒頭のガノンのセリフで、リンクに対して「またお前か」というようなセリフを言っていたんですよね。これはここまでにリンクが何度か戦っていたからなのか、あるいは別作品のリンクを指しているのか。個人的には後者かなと思っています。作中でハイラル史における勇者と知恵の巫女の出現について触れられていること、そして、本作のマップが『神々のトライフォース』と酷似していて同作のガノンと見た目が似ているためです。
そして、私は本作にブレワイ(と後続のティアキン)の要素もところどころで感じました。和風のシーカー族、見た目がウルボザっぽいゲルドの族長、同じく見た目と鮫モチーフが同じのシドっぽい海ゾーラの族長、ラスボスの曲もティアキンでよく聞いた逆再生っぽい音源が入っていました。曲はブレワイやティアキンより後から発売していれば、似ることもあるかもしれませんが、キャラクターのデザインがここまで似るものでしょうか。さらにブレワイとティアキンはハイラル史としては敗北ルートに位置する可能性が高いという考察もあり、前述した神々のトライフォースも敗北ルートの作品に当たります。これは偶然なのか、もしかすると繋がっているのか、気になります!
大好きなゼルダの記事でついつい長くなってしまいました。ゼルダは新作が出ると、私のような考察苦手勢でもついつい過去作との繋がりを考えたくなります。それがゼルダシリーズの面白いところでもあるんですよね。今回すごーーく久しぶりにトライフォースも出てきてくれて(ブレワイとかも光ってはいたけど言及なし)、そこも「ゼルダで遊んだなぁ!!」と実感できた要因の一つかもしれません。本当に久しぶりだぁ。次回は次世代機でまた3Dになるんでしょうか、それともまたリメイクやリマスターでしょうか。なんにせよ毎回ファンの度肝を抜いてくるゼルダシリーズに今後も期待したいです。
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