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【レビュー】まるでゲームの宝石箱や〜『it takes two』

タイトルの元ネタがわからない若者諸君は『彦摩呂 宝石箱』で検索してみよう!

友人と数年前からオーバークックというゲームをしています。一通りクリアはしたのですが、とても面白いゲームだったので現在やり込みを楽しんでいるところです。しかしとあるステージで詰んでいて、ストレスが溜まる一方だったので気分転換に他のゲームをやってみよう!ということで始めたのが本作でした。

本作は2人プレイ専用タイトルにも関わらず2021年にGOTYを受賞したことでとても話題になったゲームです。そんなの気になるに決まっている!というわけで今回は『it takes two』のクリアレビューをお送りします。

画像:Nintendo Storeより

発売日:2021年3月26日
プレイ機種:switch
プレイ時間:約15時間

-あらすじ-
コーディとメイは離婚寸前の夫婦。そんな時、娘のローズの元通り仲良くなってほしい、という願いが奇跡を起こし、2人は人形になってしまいます。人形となった2人の前に現れた謎の本Dr.ハキムによると「ラブラブになれば元に戻る」とのことですが、そんなのありえない!と断固拒否。

すごくムカつくキャラしてた 笑

人形になったきっかけがローズの涙と知った2人はもう一度ローズを泣かせようと奮闘することになります。最悪な関係の2人による共同作業が今始まる!

-どんなゲーム?-
スプリットスクリーンでお互いを見ながら協力して進めていく2人プレイ専用ゲームです。(オンラインも可)片方がスイッチを押している間にもう片方が進んだり、片方が乗っている乗り物をもう片方が操作したり終始2人で共同作業しながら進めていきます。

良かったところ

いろんなゲームが楽しめる

メインは謎解きアクションなのですが、道中訪れるたくさんのステージでは、ステージごとに遊び方が変わり、全く飽きません。各ステージではそれぞれのプレイヤーに持ち物や役割が与えられます。例えば私はシンバルを装備して投げられる、相方は歌を歌うことで音符を飛ばせる。それぞれの役割を活かしてステージギミックを解いていくのですが、これはこのステージのみの役割。次のステージではまた違う持ち物と役割が与えられるので、次はどんなことができるんだろうとつい楽しみになります。

また、各ステージに用意された仕掛けも多種多様で、スニーキング、シューティング、バトル、レース、リズムゲー...。本当にたくさん!まさか一本のゲームでこんなにいろんな要素を味わえるとは思っていませんでした。

スピードアップパネルがある本格的なレースコース
レースというよりは
ゴールに行くのが目的ではありますが
まさかのリズムゲー!?

オンライン協力プレイにはありがたいスプリットスクリーン

画面の比率が異なるのは仕様

私は2人プレイのゲームをする時は、基本的にオンラインでDiscordを繋げて遊んでいます。各ステージはそこそこ広いので、お互いに気になるものを見つければ、すぐに散り散りになってしまいます。そういう時に「これ見て!なんか仕掛けがある!」「じゃぁ先にそっちから行こうか!」と、画面を見れば相方がどこで何を気にしているかわかります。道に迷っていたら教えられますし、相方の動きとタイミングを合わせないといけないギミックでも目で見て合わせられます。離れた人とのマルチプレイでもとても快適でした。

日常の中なのに非日常を感じる美しいグラフィック

本作は人形となってしまった2人が、目的のために家の中を冒険するため、家にあるさまざまなものが巨大化して現れます。でも単純に大きくなっただけではありません。庭が森のように広大になっていたり、スノードームの中はまるで雪山のようになっています。そしてどのステージも思わず見渡してしまうほど幻想的でした。もちろん人形になること自体ファンタジーなので、不思議な力で多少は広く派手になってはいるのですが、人間の時には見慣れたものが、小さくなって見るとこんなふうに映るのかも、と終始感心していました。一方で人間のグラフィックはイマイチだったかも...。

蜘蛛に乗って移動することも
個人的には苦手な生き物ですが可愛かった
時計の中...だったかな?
これは完全にファンタジー空間
すごく綺麗だけどまるでレインボーローd...

気になったところ

急展開が多く、話に置いていかれる

ここまで書いて来たように、ゲームとしてはとても遊びごたえのある作品なのですが、肝心のストーリーは少し気になるところがありました。

人形になった夫婦は肉体は人間のまま眠っている状態なのですが、その2人に娘のローズが話しかける描写が何回か挟まれます。こんなに話しかけているのに目を覚さないことに違和感を感じないのか...?と心配になるくらいでした。

また、急転直下で終わったなぁという印象もありました。私達のプレイが月に1、2回だったので、話が飛んでいるように感じているのかもしれません。ただ、体感的にはストーリーの8、9割は夫婦は仲が悪いままで残りの1、2割で急に仲直りしていたように感じました。最後は「え、何きっかけで仲直りした!?」と相方と2人でプチパニックでした。でも演出が壮大だったので、まぁ、ハッピーエンドならいいか!となんとか納得しました。

プレイヤーが操作キャラを好きになれない展開がある

あらすじに書いたように、プレイ開始時点の目的は、離婚寸前の夫婦が離婚するために元の体に戻ることでした。そのために人形になったきっかけと同じように娘を泣かせようと奮闘します。この『泣かせる』を2人は傷つけて泣かせようとするんですよね。しかもその手段として2人が選んだのは『娘の宝物を壊す』という選択肢でした。(宝物が何かについてはネタバレなのでここでは伏せます)自分達のために娘を傷つけるなんてあまりにも自分勝手で酷い。しかも「それしかない!」と意気投合までして。そしてプレイヤーはそんなの間違っているとわかっているのに強制的にローズを傷つけさせられるんです。このへんはやっていてしんどかったです。


総合的には友達とたまに一緒に遊ぶゲームとしては十分すぎるぐらい楽しいゲームでした。友人と遊ぶ頻度はそんなに高くないので、他のゲームだと「今どこで止まってるんだっけ?」となるところが、このゲームはステージごとにゲーム性が変わるので、毎回新鮮にスタートできました。

いろんなところでいろんなゲームをして、たくさん遊んだなぁという充実感があったのに、いざプレイ時間を確認してみるとたったの15時間!?なかなかに密度の濃い時間だった気がします。一緒に住んでいる人とプレイしたら、きっとやめ時を見失ってサクッと終わらせちゃうと思います。それくらい夢中で遊べました。

オンラインで遊べるスプリットスクリーンのゲームって遊びやすいのに、今は結構少なくなっていると思います。まぁ、画面が狭くなってしまいますからね...。しかし、このゲームはスプリットの比率が演出で変化したり、イベントシーンでは画面が1つになったりと、画面構成も工夫されているなぁと感じました。誰かと一緒に遊ぶゲームを探している方にぜひおすすめしたい遊びやすい作品でした。

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