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憧れの人達「椎名林檎」③ 布教編(東京事変)

椎名林檎のソロ名義の布教記事を本気で書き過ぎて、もう息切れしている。

今回は、東京事変の布教編である。

東京事変とは、メインボーカルの椎名林檎を中心とする5人組ロックバンドである。
椎名林檎が作詞作曲の多くを手掛けているのでソロ名義の楽曲との区別がつきにくいという方もいるかもしれないが、東京事変にはまた別の良さがあるのだ。

それでは布教を始めよう!


【ベストアルバム「総合」】

東京事変の全てのアルバムを聴き返しながら考えたのだが、初心者に特におすすめしたい楽曲達は、「ベストアルバム」という形ですでにまとめられている。

東京事変オールタイム・ベストアルバム「総合」だ。

各種サブスク配信でも聴けるので、とりあえずこのアルバムを軽い気持ちで再生すれば高確率で沼落ち完了だろう。
(ソロ名義にも「ニュートンの林檎」というベストアルバムがあったのに、それをすっかり忘れていた)

正直言って、初心者に布教するならもうこれだけで良いと思っている。


しかし本記事ではこれで終わらせるという手抜きはもちろんしない。

ここからは「初心者への布教」という目的を早々に忘れ、私潮永が「教育」~「音楽」の全アルバム(ライブ音源の「東京コレクション」は除く)と、個人的おすすめ公式YouTube動画を超主観的に紹介していく。私だけが楽しいやつだ。「この記事は布教編(東京事変)じゃなかったのか」というツッコミは無視することにする。


それではアルバム1作目の「教育」から行ってみよう!

※以下、本当に個人的で主観的な感想です。

<アルバム>

【教育】

東京事変のメンバーはいわゆる「1期」と「2期」で2名交代しており、こちらが唯一の1期メンバーでのアルバムである。
NHK「みんなのうた」でも放送されたノスタルジックな「りんごのうた」が、エッジィなロック「林檎の唄」に生まれ変わりアルバムの幕を開ける。1期のサウンドは全体的に激しめで、時期的にも「無罪」「勝訴」「カルキ」の椎名林檎の初期3部作に通じる林檎イズムを感じる(「入水じゅすい願い」「クロール」辺り)。
1分11秒間の「現実において」は次の「現実をわらう」の壮大なイントロである。この二曲は絶対にセットだ。曲をシャッフル再生している時に「現実に於て」が流れると、当然のように「現実を嗤う」までの流れを期待してしまい、違う曲が流れて「あっ!?」となるのは事変あるあるではないだろうか。
キーボードの音も好きだが、「ロックにピアノは至高」という性癖を私に植え付けたのはこのアルバムだ。

大人アダルト

2作目のこのアルバムからが「東京事変2期」である。
事変のアルバム名はテレビ番組を表している。本作は「大人アダルト」番組である。
1曲目の「秘密」を聴けば分かる。これはもう、とんでもなくアダルトなアルバムである。高校1年生で本作に出会った私は「これが……色気か……」と、この世の真理に打たれたのである。「ブラックアウト」も相当なアダルトっぷりで、この歌詞に出てくるような「もっと酔っていたい」夜がいつか私にも訪れるのだろうかとドキドキしたのを鮮明に覚えている。
かと思えば「スーパースター」「透明人間」「手紙」といった直情的でまっすぐな楽曲にも心を奪われるのだ。色気があるというのも大人っぽいが、「本心を素直に伝えることから逃げないのも大人」というメッセージを私は勝手に受け取った。

娯楽バラエティ

3作目はバラエティ番組だ。これまでほとんどの楽曲の作詞作曲を椎名林檎が手掛けてきたが、本作では全曲の作曲を他のメンバーの伊澤一葉、浮雲、亀田誠治に任せており、文字通りバラエティに富んだアルバムとなっている。
ここで私は浮雲作曲の曲がかなり好みだということが判明する。
特に「OSCA」は5人全員がスマートに暴れまくっており、聞きごたえが抜群だ。「今度はベースに注目して聴いてみよう」「今度はギターに注目して聴いてみよう」と、続けて5回聴くこともザラであり、そんなに聴いても全く懲りずに3:20からのテンポアップで毎度新鮮にブチ上がれるのである。もはや聞くドラッグである。
「ランプ」「キラーチューン」のウキウキ感、「ミラーボール」「某都民」のオシャレさ、「月極姫」「メトロ」の色気、もちろん他の楽曲達も、目まぐるしく雰囲気が変わる楽しいアルバムだ。

【スポーツ】

4作目はスポーツ番組。「一心不乱なストイックさ」がスポーツっぽい。「生きる」の絶唱、「電波通信」「FOUL」「能動的三分間」の緊迫感、「シーズンサヨナラ」「勝ち戦」「乗り気」「閃光少女」の爽快感に特に「スポーツ」を感じる。
「能動的三分間」は高校時代のテスト期間と受験期間に何百回再生したか分からない。目をつぶって「能動的三分間」を聴き、3:00ジャストの電子音「ピー」と共にiPodを停止して勉強を再開するのだ。事変のスポーティーなストイックさを注入したような気分でその後少なくとも数分間は(短っ)集中力が高まった。気がしていた。

【大発見】

5作目「大発見」の英題はDiscovery。ディスカバリーチャンネルだ。
Wikipediaによると、「“大いなる発見”というテーマの下に集まった楽曲は刄田綴色以外の4人が作曲クレジットに名を連ね、しかもうち5曲は共作曲となっている」とのことだ。
「海底に巣くう男」はいかにも浮雲の曲である。超個人的なのだが、この曲は私に「銀魂」を彷彿とさせる。気だるげで飄々とした雰囲気やうだつの上がらない色男を想起させる歌詞が銀さんっぽい。
1曲目は「天国へようこそ For The Disc」、終わりの14曲目は「天国へようこそ For The Tube」で同じ「天国へようこそ」が和文歌詞、英文歌詞に分かれており、楽曲の雰囲気もがらりと違う。是非この2曲の違いと歌詞の繋がりを楽しんで欲しい。

【color bars】

2012年1月11日、東京事変が同年の2月29日をもってバンドを解散することを発表した。本作はその直後、1月18日にリリースされた5曲入りのミニアルバムである。本作では5人それぞれが1曲ずつ作詞作曲を手掛け、なんと「怪ホラーダスト」ではキーボードの伊澤一葉が、「ほんとのところ」ではドラムの刄田綴色がボーカルも担当している。
「sa_i_ta」のオシャレさに「ああーやっぱ浮雲の曲好きだなー」としみじみと思い、師匠(ベース亀田誠治の愛称)作の「タイムカプセル」に毎度半泣きになり、「今夜はから騒ぎ」のMVを何度も再生しながら、「本当に解散するの……?」と寂寥感に浸っていた。ちなみに大学受験真っ只中の時期である。罪な人達だと今でも思う。

【深夜枠】

本作は今までのシングルのカップリング曲をまとめたカップリングアルバムであり、未収録だった「ハンサム過ぎて」と新曲の「ただならぬ関係」が収録されている。ちなみに本作がリリースされたのは事変解散後の2012年8月29日であり、そこに「新曲」が収録され新たなMVも出ているという事実に喜ぶと共に、「だから解散しなくていいじゃあん!」と駄々をこねたファンは私だけではないと推察している。
「事変はカップリング曲も良い」とは、ちょこちょこシングルCDも聴いて思っていたのだが、このようにアルバムにまとめてくれると知らなかった楽曲の多さとその魅力に驚き、本作をリリースしてくれたことに大変感謝した。
ちなみにこれを書いている過程で初めて気づいたのだが、「ハンサム過ぎて」の作詞が誰なのかを知っているファンはどれだけいるだろうか?答えは児玉裕一である。

【ニュース】

2020年1月1日、東京事変が8年の時を経て「再生」(復活)を発表した。本作は同年の4月8日にリリースされた5曲入りのミニアルバムである。5人が1曲ずつ作曲し、全曲を椎名林檎が作詞した。
「選ばれざる国民」は「『某都民』の続きとして描かれた楽曲」であり、「終日ひねもす片手はオンライン すべてはワイファイ次第」に始まるように、2020年当時の「現代人」を痛烈に描写した歌詞となっている。
「うるうるうるう」の晴れやかなビートには、思わず手旗を大きく振りたくなる。ライブで実現する日を心待ちにしている。

音楽ミュージック

東京事変再生後の、「大発見」以来10年ぶりのフルアルバムである。
椎名林檎の新鮮なラップが聞ける「孔雀」で始まる。椎名林檎ソロ名義曲「鶏と蛇と豚」へのアンサーソングということでこの歌詞にも般若心経が、それも超高速で唱えられている。この曲をカラオケで歌える猛者はいるのだろうか。
自由への賛歌「緑酒」、我々OTKへのラブレター「一服」(※個人の意見です)を始めとする名曲達が、コロナ禍の鬱屈を振り払うように気力を与えてくれた。当初の本人達の意図ではなかったと思うが、コロナ禍の2021年にリリースされたことも象徴的な、当時の混乱とストレスを生き延びるためのお守りのようなアルバムだったと、個人的には感じている。

<動画>

ティザー映像「MUSIC」

アルバム「音楽ミュージック」のプロモーション映像。「孔雀」の冒頭と「一服」フルのMVとなっている。
「孔雀」のラップでは「再生後」の5人の紹介が心地よいフロウに乗せて行われ、続く「一服」では遊び心満載の楽曲と姉妹ダンサーSISのダンスパフォーマンスが存分に楽しめる。
音楽ミュージック」の世界観を象徴する、最高にクールで自由な映像作品だ。

ライブ映像 「秘密」from Discovery

ただでさえオシャレな「秘密」が、これまたオシャレが炸裂したライブアレンジで披露されている。
2:19からの浮雲と伊澤一葉のラップ、2:40からのドラムとベースのセッション、そして3:00からのギターソロもまたハジけており、彼らが心から音楽を楽しんでいる様子には3:11の椎名林檎もニッコリなのである。総じて尊い。

ライブ映像 「青春の瞬き」from Bon Voyage

「青春の瞬き」はソロ名義の楽曲だが、2012年の東京事変解散ライブ「Bon Voyage」で披露されている。
このライブにはオーケストラが入っており、5人の演奏にストリングスが絶妙なバランスで溶け合っている。
解散直前、まっすぐな歌声の「時よ止まれ」に武道館中のファンが同じことを祈ったであろう空気感も記録されている。

ライブ映像 「女の子は誰でも」from Discovery

黒いロングコートからピンクのミニドレスに変身した椎名林檎が、キーボードが弾むトキメキ度アップなアレンジで乙女チックに歌い上げる。ベルリラ(縦型の高音の鉄琴)を「キランッ」と弾く演出もロマンチックで可愛らしい。
恋している時、オシャレしたい時などに、乙女心を盛り上げる絶好のスパイスといえばこの映像だ。


ここまで読んでくれてありがとう。いかがだっただろうか。

個人的な感想で埋め尽くしてしまったが、少しでも東京事変に興味を持ってくれた人、またはここに書いたことに共感してくれた人がいれば嬉しい。

共鳴するものがあったOTKの方がこれを読んでいれば、是非コメントなどで話しかけて欲しい。


次回は私の「椎名林檎の思い出」だ。一体誰が読みたいのだろうかという思いが頭を掠めるが、書きたいから書く。


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