ラグビー

インドの大気汚染

10代、そして20代前半の頃には

気にも留めなかった、自身の健康。

ここ、インドで暮らすようになって

インド生活が進むにつれて

健康第一だなと思うことが増えてきました。


日本に暮らす皆さんもご存知の通り

インドは今【世界一空気の汚い国】です。


2019年3月。

国際環境保護団体「グリーンピース」と

大気汚染の実態を監視する民間機関

「エアビジュアル」が発表した

2018年に世界3000都市の空気の汚染状況

を調べた調査によると

世界ワースト10都市のうち

【7都市がインド】でした。


私は中国には行ったことがないのですが

数年前に叫ばれた中国の大気汚染問題は

今は昔のこととなってきています。


写真を見ていただいてわかる通り

ラグビーを楽しむ人たちの後ろには、白い靄が。

これは、霧ではありません。靄です。

全て、PM2.5などの大気汚染物質です。

近隣州で行われている焼き畑や

車、工場から出る排ガスなどが

原因とされています。


あまりにも深刻な大気汚染のため

国際社会からの批判も集まっており

インド政府も対応に追われています。


その中で始まったのが

【自動車のナンバー規制】です。


これは、車のナンバープレートの

末尾の数字によって

その日走ることのできる車を

選定するというものです。


例えば、今日は末尾奇数の車のみ

明日は末尾偶数の車のみ

といった感じで、一日交代に

走る車を分け、自動車そのものの数を

減らしてしまおうとする取り組みです。


これは、大気汚染のひどくなる

ちょうど今頃

11月上旬から開始されることがあります。

昨年は結局実施されませんでしたが

今年は、今日から

このナンバー規制が始まりました。


ただ、ここで疑問が。


これまで、自動車の数は同じでも

空気はさほど悪くなかったのに

なんで急に減らすんだろう。

本当に、自動車の排ガスが

この大気汚染の原因なのだろうか。


先ほど、焼き畑の話をしましたが

つい最近、近隣州で

焼き畑が始まっています。

焼き畑が始まった頃くらいから

酷くなった大気汚染。

ということは、この焼き畑こそが

原因なのではないだろうか。


もちろん、焼き畑だけが原因

だとは思いません。

インドで走る車のほとんどが

ディーゼルエンジンを使っていることから

大気汚染に加担していることは事実でしょう。


しかし、自動車以外にも

取り締まる、規制する必要があるものが

あるのではないか、と。

それは、焼き畑ではないか、と。


ただ、この焼き畑の規制には

難しい問題があります。


焼き畑を行う人たち、農民は

インドでは、いわゆる貧しい人たちです。

収入は少なく

社会的ステータスも低い人たちです。

その彼らから

焼き畑という農法を奪うことは

生活に大きく影響します。


また、農民は

社会的ステータスは低いですが

その分、数がいます。

政府にとって、選挙の時には

大変重要な票田となるのです。

この層から反感を買うと、大変です。

ゆえに、農民に規制をすることに対して

抵抗感があるのだと考えます。


このような背景から、現時点で

大気汚染問題に対して

大々的に行っている規制は

自動車の排ガス規制のみ。

これで、果たして結果が出るのでしょうか。


3度目の大気汚染時期を迎えた私の目には

3年前と何ら変わらない

靄のかかった町が映っています。

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