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【FLSG】ニュースレター「Weekly Report 12/18号」


岸田内閣支持17% 裏金疑惑で続落、不支持58%―自民支持も2割切る・時事世論調査

青木率35%!政局混迷、円高警戒が圧迫
50%を割ると政権が倒れるか、政権運営が厳しくなるとする青木率(内閣支持率+政党支持率。参院のドンだった青木氏の考案)がある。
14日発表の時事通信世論調査で、内閣支持率17.1%、自民党支持率18.3%、合計35.4%に落ち込んだ(公明2.8%)。

田中内閣が倒れた時の内閣支持率12%、森内閣9%、下野した麻生内閣13%、内閣支持率を見ただけでも既に危うい。ただ、野党も伸びていない。立憲民主4.4%、+1.7ポイント、維新3.2%、-1.4ポイント、共産1.9%、+0.8ポイント。激増しているのは「支持政党なし」62.5%。最近、地方選挙で投票率30%割れ選挙があるが、異様な低投票率なら自公体制は維持できるかも知れない。

このニュースが流れたのが14日のお昼頃。この日の後場の一段安に影響した可能性がある(日経平均240円安)。安倍派パージの内閣改造を行ったが、これからまだ、逮捕者がでるとか、安倍派以外にも噴出するとか、様々な憶測が飛んでおり、安定したとは言い難い。

海外から見ると、安倍派後退はアベノミクス・デフレ脱却後退に映る面がある様だ。岸田首相の政策運営の拙さが背景にあり、抜本的な変革を求める声が強まると思われる。ただ、何とか予算編成は行われ、経済的ダメージは限定的との見方になろう。

同日アジア時間で米10年物国債利回りは4%を切って来た。その分、ドル安円高基調が強まり、警戒ムードが広がった。NY時間でのドル円安値は141.36円、一気に140円割れになるか微妙なところで、18~19日の日銀会合を見極める姿勢に移行すると考えたい。ECB(欧州中央銀行)、英中銀が相次いで予想通りの金利据え置きながら、利下げ時期を示さなかった(米国より先行するとの見方があった)ことで、ドル安ユーロ・ポンド高となり、円が狙い撃ちにされなかった面がある。

15日日本時間朝方の米2年債利回りは4.384%、5年債3.894%、10年債3.908%、30年債4.027%、すっかり景色が変わってしまったが、スピード調整は起こると考えられる。
なお、週間新規失業保険申請件数、小売売上高などは景気の底堅さを示した。引き続き日本株の出遅れ修正が行われるか注目したい。

3月米金利下げ確率77%に跳ね、年3回利下げ予想へ
13日の米FOMC結果は予想以上にハト派姿勢だった。3回連続金利据え置きとともに、最新の金利・経済見通しで金融引き締め終了、来年の利下げが示唆された。
金利先物市場での「3月利下げ」確率は発表前の40%から77%に跳ね上がった。先々週末の雇用統計を受けて、米ゴールドマンサックスが「来年2回の利下げ」予想を発表していたが、それを上回る「3回予想」となった。FOMC 結果発表後のNY時間外での10年物国債利回りは4.005%まで低下、やや先走っている印象はあるが、4%攻防に入ってきた。前述したように14日には4%割れ。

FRBは言及しないが、利下げムードの背景に次の点が考えられる。①原油相場の低位安定、②中国のデフレ圧力、③国債費急増で抑制ニーズなど。13日の原油相場は米在庫減、紅海でタンカー襲撃再発したが、WTI相場は69.47ドル/バレル、北海ブレント74.26ドル/バレルと小反発にとどまった。
原油相場下落は13日発表の11月PPI(卸売物価指数)に投影された。前年同月比+0.9%(10月+1.2%)、前月比は横ばい(市場予想+0.1%)。エネルギー価格は10月の前月比6.7%下落に続き銅1.2%下落、ガソリン価格の低下が続いている。

FOMCを終えた13日のNYダウは3万7090ドル。昨年1月以来、2年弱ぶりに最高値更新。年初来では、ダウ+11.9%、S&P500指数+22.6%、ナスダック+40.7%。短期的には出遅れ感があったこととリスクヘッジ・ポジションの巻き戻しが考えられる。ほぼ全面高だが逆行安で目立ったのは製薬大手ファイザー、24年売上見通しが市場予想を下回ったことで6.7%安、10年ぶり安値。強引ワクチン商法の宴の後と受け止められる。

NYダウと日経平均の絶対値差が4000程度に急拡大。東京地検の一斉強制捜査観測が流れ、岸田首相は安倍派パージの内閣改造で乗り切ろうとしているが、どうだろう。もう一つ、米市場が予想以上に動いたことで円高が再燃、今週の日銀会合を待たずにドル円140円攻防に向かうか注目される。

日本株、米株に追随し切れず
国会が閉会した。閉会を待って特捜が動くとの噂が流れていたが、日本政治史上の大きな汚点になるとの憶測も飛んでいる。
岸田政権の崩壊にまで至るのか、永田町の緊迫ムードが株式市場の見送りムードの一因と思われる。英国はスナク政権安定に2~3ヵ月要したが、日本は果たしてその程度で乗り切れるのか。予算編成から審議の局面だけに、政策空回りは警戒されやすい。

米株は順調に年初来高値更新。12日発表の米CPI(消費者物価指数)はほぼ市場予想通り、僅かに前月比が+0.1%(予想横ばい)となり、3月利下げ予想確率は50%から40%に後退した。上昇が目立つのは家賃・サービス価格、前月比+0.5%。医療費も+0.6%。財価格は前月の-0.4%から-0.7%に下げ加速した。

表面上はあまり議論されないが、財政赤字が急増した。11月は3140億ドル、前年同月比+26%、過去最大(歳入+9%の2750億ドル、歳出+18%の5890億ドル)。国防費660億ドルを上回る国債利払い費800億ドルが圧迫しており、金利低下のニーズが強まっていると思われる。

無い袖は振れない、訪米したゼレンスキー・ウ大統領にバイデン大統領は支援を約束しながら支援額は2億ドルと伝えられる(600億ドルのパッケージが議会で停止、EUの500億ユーロ支援パッケージもハンガリーの反対で停止中)。ウクライナに敗北感が漂う。

日本株不透明要因に今週の日銀金融政策決定会合があるが、「日銀は急がない」との見方も出て、為替相場は先行する米FOMCを受けてドル円140円の攻防となった。先行き警戒ムードは緩まず、15日現在のVIX指数(恐怖指数)は米国,欧州に対し日本は17.34と高止まり状態が続いている。デリバティブのVIX指数は金利、為替との連動性が高いと思われる。

さらに日本株の圧迫要因は、依然中国。11-12日に焦点の中央経済工作会議開催と伝えられたが、習主席はベトナム訪問中。果たして、踏み込んだ対策を練っているのかどうか懐疑的。国営メディアによると「主な問題は、不十分な有効需要、一部産業での過剰生産能力、国民の期待の低迷や多くの隠れたリスク」。「進歩を通じた安定促進」の一環か、EV支援金は質の高い車を対象とする。不動産は開発の新しいモデルの確立を急ぐ。来年の財政支出拡大や成長率見通しには言及していない。混迷感は続くと見られる。

強弱対立、イベント通過睨み攻防
先々週の強めの米雇用統計で米利下げ観測が後退。しかし、12日米CPI、12-13日米FOMCで再度利下げムードが高まりNY株も高値更新。そしてECB理事会も終了。今週の日銀政策決定会合で年内重要イベントは終了。
雇用統計発表時点でBofA(バンクオブアメリカ)は来年1-3月ドル円155円、来年末142円予想を維持すると発表。植田ショック以前の5日時点でヘッジファンドの円売りポジションが膨らんでいたと伝えられており、円急騰でどの程度解消が進んだのか、進んでいないのか、為替相場が焦点。

蛇足だが、日本の10月経常収支は2兆5828億円の黒字、10月として1985年以降最大。柱の第一次所得収支黒字は3兆508億円と3兆円台乗せ。円高要因のハズで、国内機関投資家の動きもカギとなる。

日本の政治混乱が一気に加わっている。囁かれる背景は、
①あまりにもバイデン追従の岸田降ろし
②安倍派解体
③財務省主導の減税(所得税、ガソリン税)潰し、ウクライナ巨額支援圧力回避
④不透明なパー券マネーからチャイナマネーなどの一掃
など。

ドイツも予算成立できなかったが、ようやく15日に補正予算が成立した。これらのことから連想すると、バイデン戦略の失敗(日本などに負担押し付け)が背景にあるように思える。大統領選を含め米政治情勢に撥ね返る時、市場を揺るがす可能性がある。

先週末は”大谷狂騒曲”だった。ある意味、米国の底力を示す決着になった様に見える。誤報となったブルージェイズの親会社ロジャーズ・コミュ二ケーションズの株価は5日間で5.5%上昇、噂が出てから時価総額は約10億ドル膨らんだそうだが、見事に梯子を外された。代わって、カリフォルニアに久々に明るい話となり、日本のスポンサー企業銘柄(三菱UFJ、コーセー、日本航空、セイコーなど)に関心が高まるかも知れない(21年に買われたことがある)。

それにしても大谷選手の記者会見では、一平君の通訳はお見事。年少時代からアメリカで育ち、大学はアメリカとのこと。大谷選手の言葉以上に丹念に説明していたようだ。発音にこだわる日本人はばかげているという印象。

■レポート著者 プロフィール
氏名:太田光則
早稲田大学卒業後、ジュネーブ大学経済社会学部にてマクロ経済を専攻。
帰国後、和光証券(現みずほ証券)国際部入社。
スイス(ジュネーブ、チューリッヒ)、ロンドン、バーレーンにて一貫して海外の 機関投資家を担当。
現在、通信制大学にて「個人の資産運用」についての非常勤講師を務める。証券経済学会会員。


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