リーディングマラソン#12
読んで語るを繰り返すリーディングマラソン。9月は札幌のホテルからの参加となりました。移動があるので紙の本ではなくKindleにしようかと思ったのですが、ちょうど読みたかった本が紙だったので、荷物に入れて持っていきました。
1冊目は「ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力」。
精神科医であり「閉鎖病棟」などの小説家でもある帚木蓬生さんの本です。行きの飛行機で読み始め、その続きを読みました。
「ネガティブ・ケイパビリティ」という言葉は、「心理的安全性」みたいに言葉がどんどん先行して広がってしまっている感がありますが、そもそもは詩人のキーツが兄弟にあてた手紙の中に書かれていたものだそう。それを精神科医のビオンが再発見をして、知られるようになったのだとか。
まだ半分くらいですが、自分が最近感じていたいろいろなもやもやっとした状況は、自分のネガティブ・ケイパビリティのなさからくるのではないかと思い、はっとしました。引き続き読んでいこうと思います。
2冊目は「哲学の問い」、青山拓央(著)。著者が哲学の問いと「取っ組み合っている姿」を対話編と論述編の2部構成で見せてくれます。このような構成にしたのには理由があり、哲学をすることの中心には「問いを育てる」ことがあり、それには2段階が必要だからだとのこと。
まずは問いを横に横に増殖させる段階と、そのなかの特定の問いを縦に縦に育てていく段階。前者に必要なのが多様な意見をぶつけあえる対話で、後者に必要なのが論理的な繋がりという説明に、ぶんぶんと何度もうなずいてしまいました。
拡散して終わる哲学対話は、1段階目しかできていないから。2段階目に垂直に深めていくには「論理性」を大事にする必要があります。それがなかなかいつも伝わらなくてもやっとしていたのですが、この本の説明をお借りしたら伝えやすくなりそうです。
3冊目は、「実践・哲学ディベート <人生の選択>を見極める」で、ディベートと書いてありますが、正確な情報に基づいた哲学対話という感じです。前作がかなりおもしろくて2回読んだのですが、こちらも相当考えさせられました。特に最近は生命倫理について、考えても本当に答えが出ないなと思っていて、今度、クローズドの勉強会でこちらのテーマを参照しながら哲学対話をしたいなと思いました。
今回のリーディングマラソンから、読んで共有を3周したあとは、それぞれに共通するテーマを決めて30分対話をするということを始めました。この時間もなかなかおもしろく、「素材がよいとそれだけで対話も深くなる」という某先生の言葉を思い出しました。