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「ドキュメント72時間」の歴代ベスト10をぶっ続けで見る

ドキュメンタリー好きのなかでもファンが多いであろうNHKの「ドキュメント72時間」の歴代ベスト10が、13日と14日の深夜に放送された。

「72時間」を私が最初に見始めたのは6年くらい前。欠かさず見るとまではいかないが、年末に放送される「今年のベスト10」は毎年録画して永久保存版にしている。

放送は2013年から始まり、これまで321本が作られたという。その中から視聴者の投票で選ばれたベスト10となれば、どれも必見だろう。

何の気なしに午前中から見始めて、途中買い物に行ったり、ビーフシチューを煮込んだりしながら、夜までに10本を全部見てしまった。

録画してまだ見ていない方やこれから見逃し配信で見る方のために順位のネタバレにならないよう、特に印象に残ったものだけ感想を残しておきたい。

私が特に印象に残ったのは、樹木葬の回。
樹木葬というものがあるとは知っていたが、どこか遠くのことのように思っていた。だが、実際にこの番組を見たことで、「ああ、私も樹木葬がいい」と思った。

理由は、映像で映された方々の言葉のなかに散りばめられていた。

(木の下に)たくさんの人が一緒に眠っているので、さみしくない。
いつでも誰かが誰かのお参りに来るので、常にお花がある。
自分の家族だけでなく、いつでもみなさんにお参りしてもらえる。
(だから、よろしくおねがいしますってあいさつするとのこと)
永代供養なので、残された家族の負担にならない。
などなど。

地面を手で撫でながら話しかけている人が何人もいたり、近くのテーブルで家族揃って買ってきた昼食を食べたり、お線香を焚きながら一緒にビールを飲んだり。そこには墓石のお参りとはまたちょっと違った、自然のなかでの過ごし方があった。

お墓参りというのは、亡くなった方のためにするのではなく、残った人がそれぞれに亡くなった方を感じながら過ごし、また日常に戻っていくためのものであるのだと思った。

登場された方のそれぞれのストーリーが愛情深く語られていて、本当にわずかな一部だけれど、そのストーリーにふれさせてもらえて、自分と自分のまわりにも想いを馳せる時間だった。

最後の方で、奥さまを亡くしたおじいさんが出てきて、「石は置かないでくれって。重くて自由になれないから、好きに飛べるように、風になりたいって、好きなこと言って逝ったんだ」と語っていた。

私もその奥さまの言葉に、本当にそうだなあと思った。墓石はなくていいなあと。土の中に、骨壺ではなく分解される布にくるまれて埋められる。そして、桜の木の根が伸びて、自分の遺灰が木の養分となって、毎年咲く桜の一部となる。そうやって、ずっとそうやって生きていくのもいいなあと。

家の近くにも樹木葬をやっている霊園がある。近いうちに見学に行って見ようと思う。

「ドキュメント72時間」は、本当に人生の交差点だ。それぞれの人のそれぞれの人生が、ほんの一瞬だけ交わったりすれ違ったりする。その一瞬に、生の真理がきらめいている。

放送から一週間見逃し配信がされているので、今週の金曜日までにぜひご覧ください!

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大前みどり
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