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映画『MINAMATA』を見て
午前中に入っていた予定が勘違いだったとわかり、ぽかっと空いた時間を使って映画を見てきた。昨日の夜のうちに座席指定でチケットをとっておき、7:20に家を出て、あさイチの回を見て、お昼前には帰って来た。
見に行ったのは、映画が製作されるとわかったときから必ず見ようと思っていた『MINAMATA』。フォトジャーナリストのユージン・スミスが、日本の公害病“水俣病”を取材した写真集をもとに作られた映画だ。当時の実際の写真や映像もところどころに差し挟まれていた。
1971年、ニューヨーク。アメリカを代表する写真家の一人と称えられたユージン・スミスは、今では酒に溺れ荒んだ生活を送っていた。そんな時、アイリーンと名乗る女性から、熊本県水俣市にあるチッソ工場が海に流す有害物質によって苦しむ人々を撮影してほしいと頼まれる。水銀に冒され歩くことも話すことも出来ない子供たち、激化する抗議運動、それを力で押さえつける工場側。そんな光景に驚きながらも冷静にシャッターを切り続けるユージンだったが、ある事がきっかけで自身も危険な反撃にあう。追い詰められたユージンは、水俣病と共に生きる人々にある提案をし、彼自身の人生と世界を変える写真を撮る──。(公式サイトより)
主演のジョニー・デップが、今もまだ続く水俣の危機にスポットライトをあてることで、各国で同じ環境被害に苦しむ多くの人々をも照らし出そうと、自らプロデューサーにも名乗り出たという。その意図の通り、エンドロールでは、今も世界中で苦しむ人々がいる公害が次々に出てきてハッとした。自分の無関心な態度、目を背け、耳を閉ざしてきたことを、自覚したからだ。
メモしていないので正確に覚えていないけれど、印象に残った言葉。
「人生はジャズだ 即興だ」
「ときに写真は千の言葉よりも真実を語る」
「写真はとるほうも魂が抜かれる。だから覚悟してシャッターを押すんだ」
村の母親が水俣病の娘をお風呂にいれている姿を撮影するシーンは、ジーンが「美しい」と言ったように、本当に美しいと思った。
時代も場所も違うのに、マーティン・スコセッシ監督の『沈黙』と雰囲気が似ていると感じたのは、日本人の村のなかにジーンが入っていくという流れからだろうか。加瀬亮さんも出ていたからか。
水俣病は、私にとっては教科書のなかでしか知らないことだった。だがこの映画のおかげで、水俣に少し近づいた。
これまで見てこなかったことを、ちゃんと目を開いて見ようと思う。見てどうなるのかはわからない。自分事として考え、誰かに問いかけて対話をし、何かしらの行動につなげていくことができるといいのだろう。
そのための第一歩が、関心をもつ、見る、知る、わかろうとすること。
早速、ノンフィクションを読み始めた。
最初の方で、アイリーンの印象に残る言葉がある。
水俣の患者さんたちが泣き寝入りせずに裁判をして勝ってくれた。そのお蔭で企業や行政が環境を重視するようになった。その恩恵を私たちは受けている。知らないままに、受けているの。逆に今、ここで原発を一生懸命に止めなかったら、未来の子どもに「どうしてあの時、止めてくれなかったの」と言われるような気がする。
私が今ここにこうしていられるのも、これまでの時代に生きた人たちがあきらめなかった様々なことの恩恵を受けているからだ。そういうことを教えてくれる言葉だ。
この機会に、石牟礼道子さんの『苦海浄土』も読んでおきたいと思う。
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