#3 アメリカで植物を育てる前に必ず見る地図
こんにちは。 今回は、表題の「植物を育てるための地図」についてです。
1. アメリカ農務省(USDA)が作っている便利な地図
(1)「耐寒性ゾーンマップ」って?
日本では、植物を育てる時、寒さの基準は、このように書かれていることが多いようです。
・「関東地方以西基準」
・「温暖地」「寒冷地・高冷地」
これで理解できる私たち日本人は、すごいですよね。
アメリカ合衆国は日本の約25倍の面積があります。
広大な国でのガーデニング、どこに住むかによって、全く違う植栽になります。
植物を育てる人、売る人のためにも、ちょっとした工夫が要りそうですよね。
そこで役に立つのが、アメリカ農務省 (USDA: The United States Department of Agriculture)が発行している 植物の耐寒性をゾーンにまとめた、
「USDA Plant Hardiness Zone Map」 です。
これからは、「(耐寒性)ゾーンマップ」と呼びますね。
現在は2012年版が使われています。
作成:農務省(USDA)
目的:植物を育てる人が、住んでいる場所によって、育ちやすい植物を選ぶためのガイドライン。
基準:毎年の最低気温の値を長年のデータで平均値にしたもの。
(2)「耐寒性ゾーンマップ」は、毎年の最低気温をもとにして作ったマップ
一年の中で一番低かった気温のデータを毎年集め、平均値化し、等高線のように同じ値の場所をつないだものです。
普段、こんなに寒いわけではありません。「最も寒い場合、この気温まで下がる可能性がある、ということを念のために頭に入れましょう」、という感じで使います。
日々の最低気温を足して日数で割った「冬の平均気温」ではないのでお間違いのないように。
言うときは、「私の地域はゾーン8です。 I live in zone 8」.みたいに使います。
(3)ゾーンマップでわかること
数字が、小さくなるに従って、冬の寒さが厳しくなっていきます。このマップでこんなことが一目でわかりますね。
・内陸部に入るに従って、冬の寒さが厳しい
・西海岸よりも東海岸の方が冬の寒さが厳しい
・山脈のある部分は、その周りの地域よりも寒さが厳しい
ニューヨーク市は、このゾーンマップでは、7a, 7bに入ります。
30年近く前、ニューヨーク市のゾーンは、若干寒くて、6a, 6b,でした。
温暖化は、データでも明白です。
とはいえ、昨年2019年の1月のニューヨークは、氷点下30度を記録するような、厳しい寒さでした。
30年前には、ニューヨーク市でも「南(ブルックリン)なら育つ」と言われていた梅やサルスベリ、椿もブロンクスあたり(北)でも見かけるようになりました。
時々、3月の大寒波に梅や椿の花が凍って枯れることがありますけれど。
(ニューヨークでは、梅は定期的な剪定がされないので、どんどん大きくなっていきます。伸び放題です >_<: 2012.3.2)
(上の梅が咲いてから1週間後、大雪となりました 2012.3.9)
2. ゾーンマップは、実際にどのように使われるか
(1)例えば、カタログでショッピングする時に
例えば、あなたはゾーン4の地域に住んでいるということが、ゾーンマップでわかりました。
カタログを見ていて、トライテレイア(Triteleia)を育ててみたいと思いました。
このカタログには、whz(ウインター・ハーディネス・ゾーン:winter hardiness zone)とあって、そこに 5−9と書かれています。
(トライテレイアのページです)
なので、この植物は、「もしかすると外で冬を越すのは難しいかもしれません、もしくは鉢植えなどに」、ということがわかるんです。
(2)暑さにもゾーンマップがありますが、普及はこれから
ちなみに最近は、暑さの方も注目されていて、アメリカ園芸協会が作った、夏どれだけ暑くなるか、というマップ(ヒートゾーンマップ; Plant Heat-Zone Map)もありますが、耐寒性ゾーンマップほどは、まだ普及していません。
ですが、夏の暑さに弱い植物は、いくら寒さに耐えられても、夏には耐えられないわけですから、是非とも考慮に入れたい部分です。
例えば高山植物など。耐寒性ゾーンが3−8 まで、とある場合。
私だったら、ゾーン8に住んでいたら、ちょっと夏はしんどいかも、と思います。
土壌も異なるので、一概にゾーンマップだけに頼るわけにはいきませんが、まずは、この「耐寒性ゾーンマップ」がスタート地点です。
日本の桜前線って、アメリカの耐寒性ゾーンマップと見た目が似てますよね。
日本の桜前線マップ、そういう風に使えるかもしれません。
最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。