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# 59 スノードロップ・ファンの貴方は、ガランソファイルの資格あり?

こんにちは。2月も半ばともなれば、春の光を感じ始めた植物が寒さの中、すでに動き始めています。

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イギリスで大人気のスノードロップ

イギリスで一番人気がある球根と言われるのが、スノードロップ。
学名はガランサ(th)ス(Galanthus)。
知らない人から見たら、「スノードロップって、あの白くて、花びらに緑色の点々みたいな模様がついてる植物でしょ。冬に咲いて、あとはすっかり忘れ去られる、、、」。
イギリスでは2月は、スノードロップの開花のピークとあって、個人やパブリックの庭で一般公開が行われます。

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スノードロップの分類上の種類は、20種くらいです。
そのスノードロップの中でも、育てやすいポピュラーな2種類は、ガランサス・エルウィジアイ (Galanthus elwesii)とガランサス・二ヴァーリス(G. Nivalis)。
日本では、エルウィジアイをジャイアント・スノードロップ、二ヴァーリスをスノードロップという場合もあります。

詳しいことは省きますが、このふたつの種類を見分ける時は、葉の出方(エルウィジアイは渦巻き状、二ヴァーリスは平行)、葉の色(前者は緑色、後者は青緑)、内側の花弁の緑の斑紋(前者は先っちょとベースに2ヶ所、後者は先っちょに1ヶ所)、大きさ(前者は~30cm、後者は~20cm)というのが一般的。
ただし、今はこのハイブリッドがたくさんあって、アマチュアレベルなら、もうどうでもいいかもしれません。品種となると登録されているだけでも数百品種。微妙な違いが気になってくると、あれも欲しい、これも欲しいと、1つ2つ、と増えていくコレクション。中には一球で1万円以上するものも。

スノードロップ(ガランサス)の熱心なコレクター、マニア達は、
ガランソ(th)ファイル(Galanthophile)と呼ばれています。

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(こういう本も出版されています。Amazonのサイトより)

今は亡きイギリス生まれの友人も、「スノードロップだけは、ちょっと贅沢して好きなのを少しだけ、カタログで注文するのよ」とスノードロップへの愛情をアメリカの彼女の庭に注いでいたのを思い出します。

アメリカでは、イギリスのように熱狂的なスノードロップ・コレクターは少ないと思います。
私の狭いネットワークの中では、たった1人。
ニューヨーク州の裁判官をリタイアしたアーネスト・カヴァーロ(通称アーニー)さん。
スノードロップの魅力に取り憑かれて、毎年イギリスのオープンガーデンを巡り、仲間も増え、自宅の庭のコレクションもどんどん増えているようです。
ご自分の庭もスノードロップの時期だけ、オープンして興味のある人に来てもらっています。

「お腹が泥だらけになるんだよ」。

というのも地際に、それも下向きに咲いている高さ20cm足らずの茎につく花を見るために、時には這いつくばって見たりもするのだそう。そういえばニーパッド(膝当て)も必需品とか。


スノードロップのどこが面白いの?

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スノードロップの花をよく見ると、白いシェードランプのように下向きに咲く花びらが、外側に3枚、内側に3枚。
特に内側の3枚の模様(斑紋)がいろいろあって面白いんです。

私は個人的に、バリエーションが好きで、特にシクラメンの原種の葉っぱの色、模様を眺めるのが好きなので、ガランサスも面白そう、と思ったのです。
アーニーさんがスライドプレゼンテーションで、ガランソファイル達が「スノードロップのどんなところに魅力を感じているか」を教えてくれました。

例えば、
・八重咲きのもの
・緑の代わりに黄色の斑紋・子房を持つもの
・内側と外側の花弁の区別がないもの
・花の付き方が珍しいもの(横向き、など)

よし!私も!と、ガーデンに行って、いろんな斑紋(マーキング)を見つけて、「アーニーに知らせなくちゃ!」と大興奮して、写真を送りつけた覚えがあります。以下の写真はその一部です。

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アーニーさんの答えは、「それはどれもただのバリエーションの一部だね。新品種発見、というわけにはいきませんね」。
え!どこが違うというの? 理由は上記のものによるのですが。

そういえば以前、職場に訪れたイギリスのお客さんが、芝生に何気なく咲いていたスノードロップに目をやり、「子房の部分が黄色い(golden ovary)のは珍しい!掘り上げておいた方がいいですよ」と言うのですぐに掘り上げましたが、どうも栄養失調か生育条件の悪いところだったようで、翌年は緑の子房に戻っていました。
見極めは難しいですね。

原種シクラメンのバリエーションには、品種名が少ないのに対し、スノードロップは、品種の名前が多い事が特徴です。
これはクレイジーなマニアの世界。ガランソファイルにはならずに、「やんわりファン」にとどめておいた方が良さそうです。

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スノードロップは一度植えたらあとは楽

先ほどの、黄色い子房のスノードロップでもお分かりのように、
スノードロップは葉っぱが緑の間に移植していいのが嬉しいです。
どこに植えたかもわかりますしね。
逆に乾燥したスノードロップの球根は育ちにくいと聞きます。

ひとたびその場所でうまく育ったら後は何もしなくていいんです。
おまけに種子でもどんどん増えていくんです。

その上、鹿、リス、シマリスに食べられる心配もなし。
上記2種類のスノードロップはまるでイギリス原産のようなイメージとなっていますが、実は、ギリシャ、トルコ、などの地中海沿岸なんです。
よほど風土が合っているのでしょう。
日本だと夏の暑さが厳しすぎない、木陰になる緩やかな斜面が育ちやすいように思えます。

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(クロッカスよりスノードロップに目がいきますか?)

ガランソファイルは稀少な球根を増やしたい、それも早く。
チッピング(Chipping、別名ツイン・スケール)という方法だと早くたくさん増えるのだと、アーニーさんが教えてくれました。
休眠中の球根を 玉ねぎのくし切りみたいに基部の一部をつけて6〜10片にカットして、湿ったバーミキュライトの中に入れておく。3ヶ月くらいすると、小さな芽がりん片の根元に見えてくるので土に植える。
1個何千円もする球根を!勇気があるなあ、と感心します。

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(チッピングの前にアルコールでまな板を綺麗にしているアーニーさん)

さて、この下にイギリスの球根のカタログをリンクしてあります。ご覧になってみてください。コレクションしたくなりませんか?

京都府立植物園ではもう咲いているようです。
どんなマーキングか気になります。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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(注)植物の学名の発音は、動画をご覧になるときのお役に立つよう、普段アメリカの園芸家が使うような発音に近づけさせていただきました。正解、不正解はありませんので念のため(発音のブログはこちら #2)。

おまけ(上の写真をリールにしてみました。よろしければ、どうぞ)


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