遥かなる旅路

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なんでもない、普通の日だ。僕は朝5時には家を出て、今はもう名古屋辺りまで進んでいる……はずだった。

朝、目が覚めると……目が覚めると?僕は焦燥に駆られた。おかしい。僕は昨日徹夜しようとしたはずだ。現に午前2時前後までは起きていた。サイゼリアで遅すぎる晩御飯を食べていたはずだ。そのはずだ。しかし、なんだ、この状況は。時計を見るともう時刻は8時になっていた。いわゆる、やらかした、というやつだ。全く、計画が台無しじゃないか。自分に悪態を吐きながら僕はベッドから降りてシャワーを浴びた。そうした後、荷物の最終確認をする。歯ブラシは……向こうで買えばいい。必要なものは全て持ったはずだ。キチンとブレーカーを落として、意気揚々と家を出た。

京都駅。
無駄にといったら語弊があるかもしれないが、それがちょうど合う気がしてならないのだ、僕には。そう、無駄にモダンチックな駅舎が古都にある。自動券売機で青春18きっぷを購入した。価格は¥11,850。大学生にとっては旅の頼もしい味方だ。一回あたりに換算したら¥2,400弱。前にも言ったかもしれないが、僕は今大変な金欠だ。その身からするとこれほど嬉しいものはない。今回こうやって帰省するのは生活費を浮かすことも目的に入っている。積極的に親の脛に齧り付いていくのだ。

さて、本題に戻ろう。京都駅二番ホーム。新快速を待っていた。鈍行列車の旅という言葉はどこに行ったのだか。列車は山科、大津、石山を超えて今は南草津をちょうど超えた所である。のんびりまったりの一人旅はまだ、始まったばかりである。決まっているのは、18きっぷで東京まで行くことだけ。それ以外は全て無計画だ。気の赴くままに任せてみるのもたまにはいいじゃないか。僕の場合はいつもそうなのだけれど。

これからの旅路に思いを馳せながら、この下らない小噺を終わらせよう。

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