『クリスマスカラス』 #毎週ショートショートnote
ゴミ袋を掴んで自宅を出ると、毎年クリスマスのイルミネーションに全力を注ぐご近所の家の前を通る。煌びやかに輝いていた夜とは違い、早朝の今はただ無機質な配線に囲われた家だ。
毎年趣向を凝らしたイルミネーションは確かに綺麗だ。でも「電力供給が~」と叫ばれている昨今。この家庭の電力を抑えるだけで、一体どれだけの家庭の電力が賄えるんだろう?と考える。
まあ電気代は払ってるだろうから、私が文句を言おうと知ったこっちゃないのかもしれないけど。
指定のゴミ置き場に袋を置き、ネットをかけて駅へと足を向けると、上空から黒い鳥が舞い降りる。
もしかして私のネットのかけ方が甘かった?と慌ててカラスの行く先を目で追うと、やつはゴミの山には目もくれず熱心に電飾を嘴でつついていた。
思う存分つついて満足したカラスが飛び立つ姿を見て、私はグッジョブ!と心の中で叫んだ。
イルミネーションを灯した初日。
入浴中に停電が起きたことを私は密かに根に持っていた。
初めて『毎週ショートショートnote』に参加させていただきました。架空の生き物は思いつかなかったため、ふと感じたことを、そのまま盛り込んでみました。お題があると書きやすいので、また参加したいです。
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