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障害特性が出なかったら正解なのか?
どうも、一般社団法人Flow代表の亀井博樹です!
福祉の現場で支援を行っている中で、障害特性が表に出なかった日を「うまくいった日」として捉えることがあります。しかし、特性が表れないことが本当に「正解」なのでしょうか?今回は、私が家庭で体験したエピソードを通して、この問いについて深く考えてみたいと思います。
平穏な一日:通院とその後の過ごし方
先日、長男を月に一度の通院に連れて行くために家族全員で病院に向かいました。長男は寄宿舎に通っているため、通院日を月曜日に設定しています。この日は特にスムーズに過ごせた日で、朝から長男の好きな食べ物を用意し、予定を視覚支援ツールで伝えながら安心させました。結果として、泣いたり怒ったりすることもなく、一日を穏やかに過ごすことができました。
私自身、無事に通院を終え、昼食やプールなども楽しみながら一日を過ごすことができたことで、「今日は本当にうまくいった」と感じました。特性が表れず、泣き出したりパニックになったりすることがなかったことに安堵し、これで良かったのだと思ったのです。しかし、ふとその後、別の考えが頭をよぎりました。
特性が表れないこと=正解?
私が「今日はうまくいった」と感じた理由は、長男が一度も泣かず、怒らず、順調に過ごせたからでした。しかし、それが本当に正解だったのかどうか、考え始めると少し疑問に思えてきたのです。泣いたり怒ったりすることが悪いことだと決めつけて、それを避けるために「うまくコントロール」していたのではないか?そんな疑念が湧いてきました。
泣いたり怒ったりすることは、長男にとって自然な感情の表出であり、彼の一部です。それをあらかじめ防ごうとすることは、もしかしたら彼自身の感情を否定してしまっているのではないか。彼の笑顔や落ち着いた姿だけを「良いもの」と捉えて、泣いたり怒ったりする姿を「悪いもの」として受け入れられていない自分がいるのではないか、という思いがふと浮かんだのです。
このことは、私たち支援者にとっても大切な問いかけです。障害特性が目立たないことを「成功」とするのではなく、特性が表れることも一つの大切な表現として尊重する姿勢が必要ではないでしょうか。
社会的な価値観と個人の感情
社会全体では、障害特性が見えないことが「うまくいった」と考えられることが少なくありません。公共の場で静かにしていられる、問題行動を起こさない、といったことが「良い行動」として評価される傾向があります。しかし、私たちは本当にそれで良いのか、問い直す必要があると思います。
障害を持つ方々が時に泣き、怒り、叫ぶことも、彼らが自分を表現している一つの方法です。その感情や行動を無理に抑え込んでしまうことは、彼らの自由や個性を制限することにもなりかねません。支援者として、彼らが自由に感情を表現できる環境を整えることが本当に求められていることではないかと感じました。
もちろん、全ての状況で泣いたり怒ったりすることが許されるわけではありませんが、その感情や行動を全面的に否定するのではなく、理解し、受け入れることが重要です。例えば、公共の場でのパニックも、その背景に何があるのかを理解し、それに応じた適切な支援を行うことで、より良い対応ができるのではないかと考えます。
まとめ:障害特性を尊重する支援のあり方
今回の経験を通して、私自身、障害特性が表れることをどう捉えるべきか、改めて考えさせられました。障害特性が出ない日を「成功」と捉えがちですが、それは支援者の自己満足に過ぎないのではないかと感じます。特性が表れることも、その人の個性や感情の表現の一部であり、それを否定せずに受け入れることが大切です。
私たちは、障害を持つ方々が持つ全ての側面を尊重し、彼らがそのままで受け入れられる社会を作るために努力していく必要があります。支援者として、「泣いたり怒ったりすることも含めて、その人を尊重する」という姿勢を持ち、社会全体でその価値観が広がることを目指していきたいと思っています。
障害特性が表れることを「失敗」と捉えるのではなく、その人の自然な姿を尊重しながら支援を続けていくことが、私たちの使命だと考えます。これからも、入居者様一人ひとりが安心して自分らしく過ごせる環境づくりを進めていきます。
それでは、一般社団法人Flowの亀井博樹でした。A bientôt!
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