見出し画像

ホルモン補充療法(HRT)が日本で普及しない理由と海外の現状

女性のライフステージを支えるホルモン補充療法(HRT)は、更年期症状を和らげるだけでなく、骨粗しょう症や心血管疾患の予防にも役立つ治療法です。しかし、日本ではその普及率はわずか2%にとどまっています。一方で、欧米諸国では30〜40%、オーストラリアでは56%と、HRTが広く受け入れられているのが現状です。なぜこのような違いが生まれるのでしょうか?


  1. 日本でのHRT普及率が低い理由

 1-1.過去の研究による不安

2002年にアメリカで発表された「WHI(Women's Health Initiative)」の中間報告では、HRTが乳がんや心血管疾患のリスクを高める可能性があると指摘されました。この報告は世界中で大きな衝撃を与え、HRTの使用率が一時的に減少しました。

しかし、その後の再検証によって、リスクは当初の報告よりも低く、正しく使用すれば多くのメリットがあることが確認されています。それにもかかわらず、日本ではこの報告の影響がいまだ根強く残っており、治療をためらう女性が多いのが現状です。

1-2. 文化的背景

日本では、更年期の不調を「自然なこと」と受け入れ、治療せずに我慢する風潮があります。「薬に頼らない方が良い」「年齢を重ねることは仕方がない」といった考え方が、HRTの普及を妨げている要因の一つです。
日本の社会では、更年期障害やホルモンバランスの問題を公に語ることが少なく、個人的な問題とされてきました。
このため、多くの人がHRTを受けることに対して抵抗感や恥ずかしさを感じている可能性があります。

1-3. 情報不足

HRTに関する正しい情報が十分に広まっていないことも大きな課題です。HRTのメリットや安全性についての最新の知識が一般の人々や医療従事者の間で共有されていないため、リスクばかりが注目されています。
多くの人がHRTについて正確な情報を知らず、その効果やリスクについて誤解している場合があります。


2.考察
日本ではHRT(ホルモン補充療法)に関する正しい情報が一般に広まっていない可能性は否めません。
HRTのメリットやリスク、適応症などについて、わかりやすく説明することが重要になってくると考えます。
このことは、メノポーズカウンセラーとしての使命と課題なのかなと思っています。

また、HRTを処方する医療者の中にも十分な知識や経験を持った人材が不足している可能性もあります。
私が勤務していた内科の医師(60代肝臓専門医)も「HRTなんてやると乳がんになるからやめたほうがいい」と同僚ナースに言っていました。。

HRTがすべてだとはもちろん言えませんが、適応できる方は、辛い症状を我慢せずに、1か月だけでも試してみるのもよいかもしれません。
嫌なら1か月でも3か月でも止めていいのですから。
私は症状がひどく悩んでいる友人や知人に勧めて数名がHRTを始めましたが、嘘のように楽になったとホットフラッシュもまったくなくなったと喜んでいました。もちろん人によるので、自分自身に合っているかどうかは自分で試すしかないのですが、薬のリスクも知りたい方も多いと思いますので、
このブログで皆さんと少しずつ共有していけたらと思います。

最後までお読み頂きありがとうございました☺





いいなと思ったら応援しよう!