貢ぎ癖

私には貢ぎ癖がある。「多分」なんて言葉を濁していられないほどには自覚しているくらい。妹、両親、祖父母、友人、TwitterのFFさん。喜んでくれたら嬉しいので、毎回何かしらを送っている。

小さな時からの癖だった。自分が喜ぶものより他人が喜んでくれる方が嬉しいと気付いた辺りから、貢ぎ癖が付いたのだと思う。失敗はしたくないから事前に相手の欲しいものを把握しておいて、サプライズと称してプレゼントを送る。いつものやり方。もしくは、欲しいものを尋ねてからイベントごとなんかに便乗する。こっちも変わらずいつものやり方。

最近。妹が引っ越してしまってから貢げる相手がいなくなってしまった。正確には、妹は現金を欲しがるようになった。それはそれで悪くは無いけど、ただお金を欲しがられているような気がしなくもなくて妹にはちょっと控えめになった。だから、私の欲求の矛先は友人や家族に向いている。

絵描きの友人にホタテをオススメしたら家族と争奪戦になったと聞いた。その後に馬刺しも送ってみたら独り占めにしてやったと満足そうに話された。気のいい友人だなとやっぱり思う。友人のことは好きだ。

憎たらしいけど可愛い妹には、卓上ミラーを買った。またの名を女優ミラーというらしい。そういうものに興味が無い私はツボってしまったけど、これからの生活に役立つというので誕生日も兼ねて買ってみた。スタ爆する程度には使い勝手が良かったらしい。姉としても嬉しいばかりなので、気分は良かった。

最近なら、足や身体を悪くしてしまった母親に母の日も兼ねて評判のいい珈琲を買った。あとは当日にお金を包もうと思っているので、好きなものを買ってくれたら嬉しいところ。母親は普段頑張りすぎている。私のできることといったら、これくらいしか出来ないから少しでも役立ってくれたら幸せかもしれない。

貢ぎ癖があると損をする、というのはよく聞く話だ。都合のいいように使い回されて破産した、なんてことを聞くこともある。でも、私は私のできる範囲でしかしないからまだストッパーが効いていると思いたい。いや、それが油断になっているなら良くないけども。ともかく、私の癖が好きな人の気分を良いものにしてくれていたら嬉しい。多分、そう思っているうちは、私の貢ぎ癖は直る兆しが見えないかもしれない。

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