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質問や報告をしたい、会議に参加したい(知的障害・発達障害のある社員のためのお仕事ハック)~ 総務からはじめる、障害者雇用ノウハウ ~

はじめに(チームより)

「こどもたちのために、日本を変える。」事業開発、政策提言、文化創造の3つの軸で、こども・子育て領域の社会課題解決活動と価値創造を行う国内最大規模のNPOである「認定NPO法人フローレンス※ご紹介>」において、総務関連チームで障害者雇用スタッフのサポートを担当しているジョブコーチ*1の和田です。自己紹介>

知的障害・発達障害のある社員が持つ悩みに対して、本人やサポーターが今日から取り入れられる「お仕事ハック」をご紹介しています。


▼本日のお悩み
「障害者雇用で働いています。質問や報告を上手にしたいのですが、どのようにしたらいいですか?会議に参加する時の注意点が知りたいです」

障害特性によっては、仕事上でわからない点を誰かに聞いたり、報告することが苦手な人がいます。

または、「自分は時間を守っている、仕事ができている」と思っても、「時間がギリギリ、報連相がない」と評価されていることがあります。ここでは質問するタイミングや会議参加のポイントをご紹介します。

お仕事ハック①質問のポイント、確認と報告のポイント

▼質問のポイント
わからないことがあれば、遠慮せず質問することは大切です。ただし、効率的に質問する工夫も求められます。質問後には「ありがとうございます」と感謝の気持ちを伝えましょう。

・基本的なことは、上司ではなく同僚や先輩などに尋ねましょう。
・同じ質問を繰り返さないように、質問内容をメモし、次回はそのメモを参考にします。
・質問のタイミングを工夫し、緊急でない場合は「午前と午後に1回ずつ」などまとめて尋ねるようにします。

▼確認と報告のポイント
作業を依頼されたら、「間違いを減らしたいので、途中で内容をチェックいただけますか?」と確認のお願いをしましょう。

▼確認と報告のタイミング
・1つできたら、作業に間違いがないか確認してもらう
・半分できたら、途中経過を報告し、確認してもらう
・全部できたら、終了報告をする

お仕事ハック②会議やミーティング参加時のポイント

会議では多くの情報が扱われるため、すべてを把握するのが難しい場合もあります。大切なのは会議で決まったことを、自分のタスクや作業に落とし込むことです。

事前準備:会議の前にアジェンダを確認し、全体の流れを把握してから参加しましょう。

発言のプレッシャーは不要:無理に発言する必要はありません。会議内容を完全に理解できなくても大丈夫です。

参加必須でない会議は議事録を活用:出席が必須でない会議には参加せず、あとから議事録を見て内容を確認し、必要に応じてまとめて質問をする方法も有効です。

自分のタスクを確認:会議終了時には、自分が行うべき具体的なタスクを明確にし、迷いなく作業に移れるようにしましょう。

お仕事ハック③作業を依頼された時のポイント

口頭で作業依頼された時に、自分でメモにまとめることが難しい場合は「メモを取ることができないので、作業内容を私のスケジュールに登録してもらえますか?」と伝えて、依頼者に自分のスケジュールを登録してもらいます。概要欄に作業手順も書いてもらいます。

2回目の作業依頼があった場合は、前回の作業スケジュールを自分で複製して、今回の作業で必要な情報を追加してから、スケジュールに登録します。

最後に

今回は、質問や報告を上手にするポイントをご紹介しました。自分で工夫することで解決できることも多いですが、「メモを取るのが難しいので、作業内容をスケジュールに登録してもらえますか?」といった形で、周囲のサポートを積極的にお願いするのも一つの方法です。

チームメンバーに協力してもらうことで、さらに仕事がしやすくなるでしょう。ぜひ、相談する力も身につけてみてください。

*1「ジョブコーチ」 企業に在籍し、同じ企業に雇用されている障害のある労働者が職場適応できるよう様々な支援を行う人を、企業在籍型ジョブコーチといいます。

執筆の背景

障害者雇用関連の情報は、採用・育成の事例やノウハウばかりで、採用した障害者雇用の社員に「どのような業務を、どうやってもらうのか」のノウハウが足りていません。

そこで、実務ノウハウや、障害者雇用チームの立ち上げ経緯などを公開することで、障害のある社員自身や総務担当者が、はじめの一歩を踏み出せるシリーズを立ち上げました

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