見出し画像

転職をしたい(知的障害・発達障害のある社員のためのお仕事ハック)~ 障害者雇用ノウハウ ~

はじめに(チームより)

「こどもたちのために、日本を変える。」事業開発、政策提言、文化創造の3つの軸で、こども・子育て領域の社会課題解決活動と価値創造を行う国内最大規模のNPOである「認定NPO法人フローレンス※ご紹介>」において、総務関連チームで障害者雇用スタッフのサポートを担当しているジョブコーチ*1の和田です。自己紹介>

知的障害・発達障害のある社員が持つ悩みに対して、本人やサポーターが今日から取り入れられる「お仕事ハック」をご紹介しています。


▼本日のお悩み
「障害者雇用で働いていますが、違う職種にも挑戦したくて転職を考えています。何から始めたらいいでしょうか。」

障害のある人の転職は、転職をして希望の仕事が手に入っても、働き方や人間関係が合わず体調を崩してしまうかもしれません。
障害のある人の転職は、自分の考えをまとめて時間をかけて行いましょう。

お仕事ハック①これだけは転職の前に考えておきましょう。

・十分な休息時間を確保できる仕事か確認する

障害のある人にとって休息時間を十分に確保できる仕事であるかは重要です。十分な休息時間は障害や個人によってさまざまです。週5日で8時間働いても体調がいい人もいれば、1日2時間働くことがちょうどいい人もいます。
仕事は心身の健康よりも優先されるべきものではありません。

仕事が生活の負担になる場合は、福祉サービスを受けながら無理せずに暮らす選択もあります。自分にあった勤務時間や仕事内容を考えていきましょう。

・今の職場で他の仕事に挑戦してみる

キャリアアップの方法は転職だけではありません。今の職場で希望の仕事に近づくことができないか、上司などに相談してみましょう。

障害者雇用では「切り出し作業」という他部署の業務を切り出し業務化することも一般的です。今の部署にいながら、希望の部署の仕事を切り出してもらえないか確認をしてみましょう。
こちらの本に切り出し作業の方法があります>>

・自分の得意と苦手を把握する

自分の障害特性に紐づく仕事力を冷静に客観視して強みを知ることは、仕事をする上で大切なことです。「自分が無理なく得意といえるもの」「苦手だからサポートしてほしいこと」を整理しておくと、就職活動や職場で合理的配慮を伝える場合の整理になります。
職場での合理的配慮の伝え方はこちら>>

お仕事ハック②就職・転職支援を受ける/スキルを身につけよう!

障害者雇用では、サポートを受けながら転職を進めることができます。

・就労移行支援事業所

パソコンスキルなどの基礎訓練を受けることができます。
例)Kaien 就労移行支援

・地域障害者職業センター

障害のある人が企業等で働くこと、働き続けることを目的とした職業準備支援を受けることができます。 個別カリキュラムを作成したきめ細やかな支援があります。

・障害者職業能力開発校

IT、建設など多彩なコースを選んで職業訓練が受けられるハロートレーニングがあります。

・ハローワーク

障害のある人のための相談窓口があり、専門知識のあるスタッフが対応します。

お仕事ハック②職場実習やトライアル雇用を利用しよう!

「仕事内容が自分に合っているか」「職場環境が合っているか」実際に体験できる制度があります。

・職場実習

職場実習は、職場体験を通じて障害者雇用への理解を深めることを目的とした企業を対象にした施策です。

就業前に職場体験ができるので実際に働くイメージを持て、労働環境や雰囲気を知ることもできます。
障害者雇用の現場実習例はこちら>>

・障害者トライアル雇用

障害者トライアル雇用は、障害者を原則3か月間試行雇用することで、適性や能力を見極め、継続雇用のきっかけを作ることを目的とした制度です。

最後に

転職は新しい可能性への第一歩ですが、不安も伴うものです。だからこそ、焦らず自分に合った道を選ぶための準備が大切。
支援や制度をフル活用しながら、一歩ずつ着実に進んでいきましょう。その先には、あなたにぴったりの仕事や働き方がきっと見つかるはずです。

*1「ジョブコーチ」 企業に在籍し、同じ企業に雇用されている障害のある労働者が職場適応できるよう様々な支援を行う人を、企業在籍型ジョブコーチといいます。

執筆の背景

障害者雇用関連の情報は、採用・育成の事例やノウハウばかりで、採用した障害者雇用の社員に「どのような業務を、どうやってもらうのか」のノウハウが足りていません。

そこで、実務ノウハウや、障害者雇用チームの立ち上げ経緯などを公開することで、障害のある社員自身や総務担当者が、はじめの一歩を踏み出せるシリーズを立ち上げました

障害者雇用の講演受付中

私たちと同じように障害者雇用に取り組み始めた人、今の障害者雇用の可能性をより広げたい人、へ向けての講演や見学受入も積極的に行っています。

障害のある人と一緒に働くときに知っておきたいこと、障害者雇用社員のための仕事の切り出し方法・工夫など、ニーズにあった内容でお話いたします。

視察や見学のほか、書籍で紹介しているフローレンスの障害者雇用チームの業務内容を体験する、サポート担当者向け1日実習の受け入れも行っています。

▼過去記事一覧はこちら


ここまでお読みくださりありがとうございます。一つだけお願いをさせてください。
認定NPO法人フローレンスは障害児の保育・支援問題、ひとり親の貧困問題、赤ちゃんの虐待死問題、などの子どもや子育てに関わる社会課題の解決に向けて多くの方からのご支援をいただきながら取り組んでおります。何かの形で応援したい、と思ってくださった方は、フローレンスへの寄付をご検討ください。


いいなと思ったら応援しよう!