シフト管理、スケジュール登録の作業がしたい(知的障害・発達障害のある社員のためのお仕事ハック)~ 総務からはじめる、障害者雇用ノウハウ ~
はじめに(チームより)
「こどもたちのために、日本を変える。」事業開発、政策提言、文化創造の3つの軸で、こども・子育て領域の社会課題解決活動と価値創造を行う国内最大規模のNPOである「認定NPO法人フローレンス(詳しいご紹介はこちら>>)」において、総務関連チームで障害者雇用スタッフのサポートを担当しているジョブコーチ*1の和田です。自己紹介はこちら>>
知的障害・発達障害のある社員が持つ悩みに対して、本人やサポーターが今日から取り入れられる「ちょっとした、お仕事ハック」をご紹介しています。
▼本日のお悩み
「障害のあるスタッフに、シフト管理やスケジュール登録などを行って欲しいのですが、どのように依頼したらよいでしょうか」
お仕事ハック①シフト登録をする
障害のあるスタッフはシフト作成や調整をすることは難しくても、シフトを登録する前の準備や、決まったシフトを登録する作業などを担当することは可能です。
フローレンスではサイボウズのスケジュール予定管理「Garoon」を使っており、事業部のシフト担当者が作成したシフトを、障害者雇用チームのスタッフが登録しています。
障害者雇用チームの具体的な作業はこちらです。
・「早番」「遅番」などを、チームメンバーの順番通りに登録する。
・スタッフのお休みの「希望」を、調整メンバーが確認した後に「確定」に変更する。
・「在宅(テレワーク)」「出社」の共有の枠だけを登録しておく。
シフト管理は、細かく根気のいる作業です。しかし、作業を細分化し、シフト調整以外の準備や登録作業を障害のある社員が行うことで、担当者はシフト調整に専念でき、結果として、シフト管理に要していた時間が短縮され、効率化ができました。
お仕事ハック②スケジュールの代理登録をする
複数の参加者の空き時間を調べたり、会議室をおさえたりなど手間がかかるスケジュール登録も、情報さえまとめておけば、障害のあるスタッフでも登録することができます。
このような情報を伝えて、スケジュール登録をしてもらいます。
【タイトル】広告定例/××代理店××様
【プルダウン項目】来訪
【参加者名】フロレ太郎
【共有先】フロレ花子
【設定頻度】毎月1回
【設定期間】2025年3月まで
【必要時間】45分
【会議室】5人以上の部屋を確保(ない場合は4人でも可)
【メモ欄記載希望事項】
また、チームメンバーが変更になった時は、下記のような作業も可能です。
・「部署異動してきたスタッフや、入社したスタッフ」のチームの定例MTG等のスケジュールを追加する作業
・「部署異動したフタッフや、退職したスタッフ」のスケジュールを削除する作業
お仕事ハック③シフトをチェックする
シフト管理では、シフトに間違いがないかチェック作業が重要ですが、工夫次第で障害のあるスタッフが代行することもできます。
フローレンスの障害者雇用のスタッフも、他事業部からシフトチェックの作業を請け負っています。重要なのは、どのような状態がエラーで報告が必要なのか、「チェックするポイントがわかりやすく書いてあるマニュアル」を作ることです。
例えば、下記は「午前から午後まで予定が入っているか確認して、予定が入っていない状態の場合は報告する」作業ですが、マニュアルには、NG例を図と言葉で記載しています。
障害者雇用のスタッフは、出社後すぐにマニュアルに沿って、シフトを確認し、ビジネスチャットで事業部に報告します。この際、報告用のテンプレートを作成しておくと、とてもスムーズです。
■シフトにエラーがあった場合の報告例
【シフト入力チェック報告】
▼エラーあり
××××さんの
午前中の予定が入っていません。
■シフトにエラーがなかった場合の報告例
【シフト入力チェック報告】
▼エラーなし
これまで事業部のシフト担当者は、毎朝行うシフトのエラーチェックに手間がかかっていましたが、障害者雇用のスタッフがチェックを代行して報告することで、事業部の担当者はシフトのエラーチェックを手放せたことで、チームメンバーとのコミュニケーションに専念できるようになりました。
最後に
決められたことを決められた手順で行ったり、チェックすることが得意な障害のあるスタッフには、シフト登録やスケジュール登録、シフトチェックなどは、安定してできる仕事になるでしょう。ぜひ、参考にしてください。
*1「ジョブコーチ」 企業に在籍し、同じ企業に雇用されている障害のある労働者が職場適応できるよう様々な支援を行う人を、企業在籍型ジョブコーチといいます。
執筆の背景
障害者雇用関連の情報は、採用・育成の事例やノウハウばかりで、採用した障害者雇用の社員に「どのような業務を、どうやってもらうのか」のノウハウが足りていません。
そこで、実務ノウハウや、障害者雇用チームの立ち上げ経緯などを公開することで、障害のある社員自身や総務担当者が、はじめの一歩を踏み出せるシリーズを立ち上げました
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